日本の現行DPTワクチンを小学生・成人に接種するのは疑問

2025年4月より、百日咳の流行がマスコミでも取り沙汰されています。

•COVID-19に対する公衆衛生対策が緩和されて以降、日本を含む世界各国でインフルエンザ、RSウイルス感染症など呼吸器感染症や、麻しんといった飛沫、飛沫核感染によって伝播する感染症の流行が報告されています。感染症情報センターによれば、

•欧州連合(EU)/欧州経済領域(EEA)では、2023年には25,000例を超える百日咳の症例が、また、2024年1月から3月の間で32,000例を超える症例が報告されている(ECDC, 2024)。

•米国では2024年に報告された症例数は12月28日(第52週)時点で35,435例と、2023年の同時期と比較して5倍以上であり、COVID-19パンデミック前の2019年よりも多かったと報告されている(CDC, 2025)。

•中国においては、2023年には41,000例を超える症例が報告されていたが、2024年に入ってから百日咳が増加し、2024年1月から3月の間で合計59,000例を超える症例が報告され、さらに5月には97,000例が報告された(中国疾病予防管理局, 2024)。この2024年の流行において、中国国内では3歳から6歳及び6歳から16歳の小児で感染者数が増加していると報告されている(Hu Y, 2024)。6歳児に対するDT(ジフテリア・破傷風)ワクチンDPTワクチンへ変更

•韓国済州特別自治区で2024年に報告された百日咳患者960例中832例(87%)が学生であり、適切に定期接種を受けていたものの割合が66.8%であったこと(Park D, 2025)、韓国国内で2024年に報告された百日咳患者において、5歳から14歳の小児の割合が高かったことが特徴であったこと(Lee J, 2025)が報告されており、東アジアにおける昨年の流行では、以前と比較してその感染者の年齢層が年長児に移行していると指摘されている。

日本での流行は、

•2017年までの感染症法上の5類感染症小児科定点把握対象疾患から、2018年1月1日以降は、すべての医師が届出を行う5類全数把握対象疾患へと変更年間届出数は、2018年12,117例、2019年16,850例であったが、2020年2,794例、2021年704例、2022年494例と2019年までと比較して大きく減少した。

•2023年は1,000例で、2022年と比較すると約2倍に増加していたものの、依然低い水準(2019年と比較し約94%減少)で推移していた(国立健康危機管理研究機構, 2025)。

以後、2024年、2025年と増加傾向がみられており、2025年は診断週第12週時点で4,200例である。これは全数把握対象疾患になった2018年以降の同時期(第12週)としては過去最多(図1)とされています。

 

しかしながら、「いざワクチン」とするのは少し早計です。医療問題研究会代表の医師林敬次さんのご好意で医療問題研究会のニュースの転載許可をいただきましたのでご紹介します。                       (古賀 真子)

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