コロナ検証 その3 疾病・障害認定審査会 感染症・予防接種審査分科会 新型コロナウイルス感染症予防接種健康被害審査第一部会(認定部会) 審議結果から

ワクチン副反応被害実態は想像を超える!

ワクチン接種後の被害実態を考える際に参考になる公式発表は、①疾病・障害認定審査会 感染症・予防接種審査分科会 新型コロナウイルス感染症予防接種健康被害審査第一部会(以下、認定部会)によるものと、②厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(以下「副反応検討部会」)によるものがあります。

 

増加を続けるワクチン接種被害者

コロナワクチンは人類史上かつてないほどの膨大な接種回数です。仮に安全を謳ったワクチンであっても接種数が多ければ副反応に遭う人は増えます。国の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(以下「副反応検討部会」)は細切れ的に報告を出していますが、コロナワクチンの種類も増加し、4年という期間を総合的に整理したものはなく、これまでの被害実態を把握できる報告はされていません。まず国は接種開始後から現在に至るまでの報告をわかりやすく国民に示すべきです。しかし、仮にこれまでの報告を総計してもこれは「接種との因果関係」を認めたものではなく単に「医療機関やメーカーからの報告を知らせるためのもの」との整理ではいつまでも接種による被害実態は曖昧にされたままです。

認定という名の切り捨て

一方で、どれだけの方がワクチン副反応として認定されたのでしょうか。2025年3月17日の疾病・障害認定審査会 感染症・予防接種審査分科会 新型コロナウイルス感染症予防接種健康被害審査第一部会(以下、認定部会)の報告によるとこれまでのコロナワクチンによる副反応被害の進達受理件数は13,163件で、うち認定件数は8,988件、否認件数は3,479件、現在(2025年3月17日)保留件数が19件となっています。

 

2025年3月には10日をおいて2回開催された認定部会の結果は下記に示すとおりです。直近の審議件数は99件と89件、認定は30件と29件、否認が64件と60件(3月7日開催・3月17日開催)となっています。1回に審議時間が3時間とすると、1件につき2分前後の時間での審査が行われていることになります。

「報告制度」(副反応検討部会)と「認定制度」(疾病・障害認定部会)

副反応検討部会と認定部会の関係については、「見捨てられる被害者」の本に詳説しましたが、いかにこの2つの制度が被害実態を曖昧にし認定を妨げているのかについて国民的議論を起こし改善する必要があります。

副反応報告部会とは?

予防接種法第12条では医療機関とメーカーには、「報告義務」があり、副反応疑い報告だけは、月に1回必ずしなければいけないことになっており、副反応検討部会がその役割を担っています。 PMDAを通してそれが副反応検討部会に挙げられるには時間がかかります。しかも、この報告は膨大なページが割かれていますが、「接種を継続するのに支障となることはない」ということを前提に進めているとしか思えないほど、会議では一方的に事務局の説明がされるだけで、委員による副反応検討部会での質問や議論はほとんどありません。

認定部会とは?

一方で、法15条では健康被害の救済をすることも明記され、厚生労働大臣が認定したときは給付を行わなくてはいけないとなっています。こちらが認定部会と言われている部会です。市町村窓口に被害申請をしたものがようやく国に進達されても審議がなかなか進まないとの批判がされてきました。進達数も難関を乗り越えての数ですが、その過程でどれだけの人が重篤な障害を負ったまま申請自体を諦めざるを得ない状況に追い込まれたとの声も多数聞かれます。

そもそも、救済制度自体の存在を知らされていないことも多いことから今の救済制度はほとんど画に描いた餅であると言えます。

認定部会に悪影響を与える副反応検討部会

しかもこの報告制度と認定制度はおかしな形でリンクしています。報告制度の方は全国の依頼を受けた1130名の医療関係者のコメントを求めたものが副応検討部会の報告に追記されます。

その上、2022年11月版の「予防接種の実施に関する手引き」には、申請被害の調査についても、都道府県に予防接種健康被害委員会を委任することが可能であるということも示されています。

また、ほとんどの人が誤解してしまうのが、被害に遭った人が個人で救済を求める「認定制度」と、厚生労働省が2~3か月に一回おこなっている副反応報告・副反応疑いの検討をし、報告をする副反応検討部会の関係です。副反応検討部会は基本的には副反応報告だけを受けているべきところです。副反応検討部会には、医療機関薬剤メーカー等も含め、毎回毎回、様々な報告がきます。

報告書は分厚く、多様な症状の報告が年齢を問わず報告されています。もちろん死亡報告もあります。副反応検討部会の報告については健康被害救済制度における副反応疑い報告の進達の案内について「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」の150ページには、副反応報告書を認定部会に提出することになっています10。医療機関と製造メーカーからの報告が被害の報告全部を網羅しているわけではありません。実際に重篤な被害に遭った人の報告漏れも指摘されています。

これに対して「認定制度」は全く別の制度です。副反応検討部会の報告とは別に被害者本人が申請するものですから、自力で申請書を作成し、闘っていかなくてはいけないものです。しかし国認定部会にたどり着いた時、図らずも報告部会からの認定に待ったをかけるような報告書が出されていることを見逃してはなりません。

認定の足を引っ張り接種継続を確認するためだけの副反応検討部会そもそも新型コロナワクチンについては副反応報告基準も不可解、不明確ですが、この副反応検討部会にかけるのに、1130名の専門家と称する人に意見を出してもらい、副反応検討部会で審議する前に、「α・β・γ」判定の分類に分け、「この人は情報不足で不明」等の判断がなされています。まさに、因果関係を否定するために1130名の専門家が待機しているようなものと言えるでしょう。中には専門家が「因果関係を否定できない」との意見書を添付していても、なぜか副反応検討部会では「因果関係あり」と明確に結論づけたものはほとんどありません。

このような実態なので、「まやかしの救済制度」といっても全く語弊はないと思います。とにかく因果関係を否定するためばかりの制度になってしまっています。被害者が切り捨てられ、窮状に陥ってしまっている原因がここにあります。

高すぎる「申請・認定」のハードル

新型コロナワクチンによる健康被害は、そもそも、請求しても、疾病認定委員会まで行くのが難しいのです。申請するためには、医師の所見を書いてもらう必要があります。しかし、接種した医者が、「それは副反応のうちに入らない」などと所見を書くのに消極的ということもあります。医者としては、死亡するという重篤な事態が起こった場合は報告義務があります。しかし、実際被害者が生じて申請をする場合に、申請書類を快く書いてくれる医師は少なく、書くことを嫌がる医者もいるというとんでもないことが起っているのです。

この「認定制度」自体、市区町村が窓口で、決定するのは国ということで、認定にたどり着くまでに2年ぐらいかかってしまいます。しかもコロナワクチンの場合、非常に多くの件数になっているので、なかなか捌き切れていないのが現実です。

申請が非常に難しい、医者が所見を書きたがらない、予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会が、横やりとまでは言わないけれども、副反応に関して非常に矮小化した議論をし、コロナワクチン接種を進めることには支障は無いと進めてきています。潜在的被害者が相当数存在し、その実態の把握はますます困難になっています。

最近の認定状況から

コロナワクチンの場合、2024年4月までは第一部会から第三部会に分けて審議されていました。感染症・予防接種審査分科会(他のワクチンとコロナワクチン)と同部会の中に(コロナワクチンだけの部会を)第1部会から第3部会を作り、4か所で審議していました。初めのうちは「死亡」「死亡を含まない9歳まで」「死亡を含まない50歳以上」という、3つの部会に分けて審議してきていました。現在は年齢・死亡を分けずにそれぞれの分科会で審議しています。

書類を整え、ようやく申請を出せた人のうち、実際にどれぐらいの人が認定されたかを示すのが後掲の3月7日と3月17日の審議結果です。自己免疫性の疾患を含め多様な症状が出ている中で、ギランバレー症や全身倦怠、心筋炎等の疾患が認定されています。

認定されたと言っても医療費と医療手当がほとんどで、死亡や障害年金などは認定率が下がっています。わずか2分の審議でどこまで踏み込んだ審査が可能でしょうか。コロナに限らず認定部会のこれまでの議事録を情報公開した結果を見れば議論らしいものはほとんどされていません。コロナワクチンの被害者が審査請求をするために取得した議事録にはたった1ページのものがあり、審議は皆無と言ったものがありました。

予防接種健康被害救済制度はWHOによる「予防接種後の有害事象の因果関係の評価に関する手引き」を参考にし、医学・薬学的観点から評価基準が設けられているので情報が揃ってさえいればその症例も公平に判断されるとされています。しかしそもそもの情報・資料がきちんと評価されているかは疑問です。否認される症例の中には,予防接種前の健康状態に関する情報が不足していたり、その時点で薬理学的な知見が得られていないために「因果関係があるとは考えにくい」とされる症例も少なくありません。その基準に沿って判断された新型コロナワクチン接種後健康被害救済認定数は、過去45年間の定期接種の約2.6倍,死亡一時金・葬祭料に関しては約6.6倍です。これまでは、どのワクチンに関しても,数名の健康被害,特に重篤な健康被害が生じた場合は後に再開されたとしても調査のために一旦中止されています。
コロナではそれがされなかったのか。

新型コロナワクチンは、人類史上初めて使われるタイプのmRNAワクチンであるにも関わらず従来のワクチンの承認制度を逸脱して緊急承認制度が採用され、接種の拡大がされました。当初から懸念されていた承認前の動物実験においても、医薬品では必須の毒性試験が実施されていません。臨床試験においてはワクチンの体内動態がはっきりしていないのにも関わらず非劣性試験やクロス・オーバー試験で効果/リスクを評価しています。パンデミック騒ぎの中で治験段階での国を挙げての接種促進の背景を検証すことは今となっては困難です。

「死亡すれば4000万の補償と謳った接種勧奨、打たない人は迷惑な反ワクチン」と排除。危険な妊婦や不要な子供にまで接種を強行。努力義務を課し、4億強の世界に稀に見る高接種数。あえて解明されない超過死亡原因。懸念の声が高まる中、強行導入されたレプリコンワクチン、世界で接種中止する中、定期接種B類型にしてまで打ち続ける日本。「疑わしきは認定せず」を貫く日本。常軌を失しているとしか言いようがありません。

(古賀 真子)

 

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