インフルエンザ予防接種に疑問を呈し続けた母里啓子さん〜その生涯の軌跡と次世代への提言

2024年12月16日、トークセッション「生存学の天窓」が開催されました。この催しは、立命館大学生存学研究所の故立岩真也さんが、所長として生存学の拠点にどのような資料があるか、資料の存在自体を(一般の方や、生存学関係者に)知らせるために開催されました。

https://www.ritsumei-arsvi.org/news/news-5396/

2021年10月に同行先の秋田県能代市で急逝された母里啓子さんは研究者として実務家としてまた市民運動の支柱として感染症や予防接種の問題についての膨大な資料を残されました。私たちはその資料の保管先として快く受け入れてくださった生存学研究所に託しましたが、2021年7月31日、立岩真也さん(注)に初めてお会いして資料の保管のお礼を言いに伺いました。貴重な先人の資料の保管と活用に意欲を燃やされていたその立岩さんご自身も、2023年7月31日に急逝されてしまいました。わずか1年、パワフルな齢62歳の立岩さんがまさか1年後の同日に亡くなるとは夢にも思いませんでした。

このイベントは、故立岩真也さんが所長として、生存学の拠点にどのような資料があるか、資料の存在自体を(一般の方や、生存学関係者に)知ってもらうために開催されました。資料のその来歴(資料がどういった経緯で生存学書庫に収められるに至ったのかという物語)が立岩先生から所内に伝達しきれず、「来歴不明」になり、さらに箱が開かずのままで「内容不明」になっている場合もあるということでした。

生存学研究所の保管場所には、市井の学者や市民運動から専門分野の資料など、さまざまな分野で生存学に関連性がある膨大な資料が集積されています。これらの資料を整理し次世代に残すために奮闘されていた立岩さんが亡くなられたことは悲憤というほかありません。立岩さんの死を惜しむ声は立命館大学だけでなく日本全国やマスコミ、海外からも寄せられました。生存学の窓の今後の活動を応援することは故立岩さんの業績を偲び発展させる活動だと考えます。

トークセッション第1回ではMMR被害児を救援する会の栗原敦さんと古賀が母里さんの残された資料と母里さんの業績についてお話をしました。折しも、母里さんの言葉を残す会として双葉社から「予防接種を考える75の話」の出版が叶ったこともあり、コロナ禍による感染症と予防接種について、母里さんの軌跡を辿る話をすることができました。

母里啓子さんの軌跡 レジュメより

立命館大学生存学研究所 トークセッション   コンシューマネット・ジャパン 古賀 真子

先人の知恵と勇気を子や孫の世代に~立岩さんが残したのもの・「生きて存る」を学ぶ

1 生存学研究所とのご縁:病や老い、障害とともに生きることから社会を考察する「生存学」の礎を築いた生存学研究の範疇において、予防接種は誰のためかを問い続けた母里啓子さんの貴重な足跡。生存の知恵はどんな立場にあっても常に今を見抜き、勇気を持って行動すること。今を研究し次世代に残すことの大切さ。

2 母里啓子さんの軌跡

(1)     幼少期から思春期

(2)     青年期 医学部を志す

(3)     感染症への道程~臨床でなく研究職(ウイルス学)へ向かった動機

(4)     がん研究の時代(与えられた環境への適応と研鑽)

(5)     1970年代 ワクチン禍との出会い

(6)     実務家として B型肝炎研究と母子感染防止事業に寄与

(7)     1980年代 RoundTableDiscussionインフルエンザワクチンへの疑問とMMR問題への対応~国の感染症対策へのアンチテーゼ

(8)     1981年 横浜市全体の小中学校のインフルエンザ予防接種率と学級閉鎖の間の関係を過去10年にわたって調べ、相関がないことを明らかにする。

1986年、前橋市医師会が前橋レポート提出

1987年1月、前橋市インフルエンザ研究班編「ワクチン非接種地域におけるインフルエンザ流行状況」刊行。インフルエンザ流行と社会医学」母里啓子、福富和夫『社会医学研究』第9号。1990年 7月、カナダ・モントリオールで国際感染症学会に参加。1993年前橋市医師会医学講演集録「インフルエンザワクチンを中心に,感染症の現状など」講演

(11)1989年日教組との出会い 学校保健の問題に提言

(12)1990年 8月、子どものためのワクチントーク全国発足

(13)MMR問題への関与 カナダへの手紙 MMR裁判意見書

(14)実務現場から市民運動へ

①1993年瀬谷保健所長を皮切りに2000年まで所長

②2000年から2004年までやよい台仁で老健施設長(インフルエンザ関連書籍出版、反対運動)

③    2007年 12月、『インフルエンザ・ワクチンは打たないで!』(双葉社)刊行以後、インフルエンザ、子どもの予防接種についての本の出版

④    2010年11月、『必要ですか?子宮頸がんワクチン』(日本消費者連盟)刊行以後HPVワクチン反対運動に積極的に参加。

⑤    2013年7月、消費者のための安全安心情報サイト、コンシューマネット・ジャパン発起人、理事。同時接種死亡、全てのワクチンの考察、コロナ禍以降2021年逝去までタネまきトーク等での情報発信。

2024年名言集「人は治るようにできている、感染することは悪ではない、人はみんな違う〜薬に依存しない生活を」。

(パワーポイントのレジュメはstoresで販売します)

母里さんは前橋データの作成に貢献し、インフルエンザ予防接種に疑問を呈していたことはよく知られているところですが、日本脳炎ワクチンの開発に関わり、B型肝炎の母子感染事業に功績を収め、MMR問題でもカナダの被害を防いで来たことは知られていません。

子どもと親のためのワクチン読本シリーズでは、長年の経験に基づいた、貴重な言説が展開されています。

多くの方にお読みいただけますと幸いです。

*コンシューマネットのstoresでも販売しています。お申込みいただいた方には期間限定で2023年のワクチントーク紙版の資料を一緒にお送りしています。(2024年版はpdfのネット販売だけです。2024年のワクチントーク報告はおっていたします)

https://consumernetjp.stores.jp/

1回「生存学の天窓」参加者アンケートの結果

対象:2024年12月16日(月)、栗原敦さん・古賀真子さんによるトークセッションの感想

回答期間:2024年12月18日(水)~25日(水)

回答者数:7名  ※イベント参加者の総数は18名

1.どの方法で本企画に参加されましたか?

対面         0

オンライン(Zoom) 7

2.本企画をどこで(どのような経路で)お知りになりましたか?【複数回答可】

→その他は「たねまきトークからの紹介」

3.全体として、第1回「生存学の天窓」にどの程度満足されましたか?

4.第1回「生存学の天窓」での資料紹介の内容や議論についてのご感想を、ご自由にお書きください。

(→回答6件)

母里先生の軌跡、栗原さん・古賀さん・青野さんらが、母里先生の所有資料や、功績を残し、保管していこうと奔走してくださった様子がよくわかり、感謝の思いで拝聴しました。今後、この資料が、長く保管・活用されることを切に望みます。

母里啓子さんのお生まれから、どういう経緯を辿られ、どういう風に活動されたのか、どういう方だったのか、など大変勉強になりました。私も母里さんの思いを継承し、未来に自分の思いも乗せて継承していきたいと思いました。

古賀さん栗原さんに長年お世話になっております。母里先生の追悼会に中井さんがいらっしゃってくださり、ご親族様もいらっしゃっていて、そこでの繋がりがこのようなプロジェクトになっていることを詳しく知れてよかったです。同じ会場にいたもので、さらに元気をいただきました。ありがとうございます。

母里さんの資料の概要と生存研への経緯(栗原さん)、母里さんご自身のあゆみ(古賀さん)の両方が分かり、とても良かったです。少しだけですが、私が直接接した母里さんの人となりを思い出しました。お話を通して、ワクチン禍を告発した吉原さんの資料はどこかに保存されているのだろうかと心配になりました。母里さんだけでなく、ワクチン被害関連の資料が生存学研究所に収集・保存されていくと大変心強く思います。ありがとうございました。

子供の予防接種について調べている中で毛利さんのことを知りました。古賀さんのお話は毛利さんのお人柄を知れて為になりました。

私がいま調べている研究内容にも関連するお話が聞けたので、参加させていたたきとても学びある時間でした。
ありがとうございました。

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