電力政策を問いただす 原発重視の制度設計の欠陥を問うグリーンコープの取り組みに注目と共感・支援を!!〜控訴審で明らかにされる国と電力会社の問題点
諸物価のが上がる中、電気代の高騰は私たちの日常生活を直撃しています。
3.11以降の再生エネルギーの普及や電力システム改革の流れの中で、電力の安定的供給とできるだけ安価での供給を目指した中で、多くに時間と改革のための努力が行われてきたはずでした。
私たちが日々当たり前のように使っているエネルギーや電力。日本はこれまで、エネルギーの多くを石炭やガスなどの化石燃料や、ウランを使う原子力発電に頼ってきました。化石燃料を燃やせば気候変動の影響がますます深刻になります。また、GX専門会合以降、政権は原発復帰への道をまっしぐらに進めています。原発からは、数万年以上にわたり管理が必要な核のごみが出るのに加え、スリーマイル島原発事故、チェルノブイリ原発事故、そして東電・福島第一原発事故にみるように大規模な事故のリスクを忘れたかのような政策のもと、私たちの電気料金は高騰し続けています。
電気料金の3割強を占める託送料金。ここはいまだに規制料金とされていますが、本来発電にかかる費用ほかが政策的に入れられ続けています。暮らしや生物多様性保全を重視する、民主的で持続可能な新たなエネルギー社会を実現するためには、合理的な費用分担を問い直す必要があります。
グリーンコープが始めた託送料金を問う訴訟はエネルギー政策そのものを問う大きな訴訟への進化しています。訴訟の帰趨に注目し、訴訟の支援を広く呼びかけたいと思います。今回はグリーンコープ専務理事の東原さんに控訴審第1審での澎湖k樹をしていただきました。 (古賀 真子)
託送料金訴訟控訴審第1回期日ご報告
グリーンコープ 東原晃一郎さん
秋晴れの9月19日に控訴審が始まりました。提訴時と同様に横断幕「経済産業省令による「賠償負担金」と「廃炉円滑化負担金」の託送料金(電気料金)への上乗せは認めない!! 国の独断は許さない! 守れ、民主主義!!」とグリーンコープでんきののぼり旗を掲げ、40人が隊列を組んで裁判所の門まで行進し、これから始まる控訴審への決意を新たにしました。
口頭弁論として、小島弁護団長がパワーポイント(注1)を使って40分の意見陳述をしました。今回の陳述は、電力全面自由化に備えて経済産業省の機関としてつくられた電力・ガス取引監視等委員会初代委員長を2015年から2021年まで務められた八田達夫氏の「意見書」(注2)をもとにしています。内容的には、2つの負担金を託送料金に上乗せすることは電力自由化の観点から問題があること、また議事録等を精査したところ、平成11年の電気事業審議会基本政策部会料金制度部会及び平成25年の電力システム改革小委員会制度設計ワーキンググループでは、国が主張する「公平に負担すべき費用を託送料金で回収できる仕組みとすることが必要ではないかと専門家が提言した」という事実はないことも指摘しています。以下、要旨を紹介します。
① 八田氏は電力・ガス取引監視等委員会委員長のほかにも経済産業省の電力システム改革委員会員や内閣府(統合)規制改革会議委員・議長代理を務めてきた。その意見書の意味は大きい。
② 電源費用事故負担原則=ある電源で発生した費用負担はその事業者自身が負担すべき⇒原発事故の損害は発電者に負担させるべき。
③ 公益補助一般財源負担の原則=全国民に便益をもたらす公益効果の発生を促す補助金は、応能原則に従って一般財源で賄うべき。
④ 廃炉円滑化負担金については、発電所廃止のための費用であるから、「電源費用自己負担の原則」に従い、発電事業者が負担すべき。国が義務付けた結果として生じたものは国が負担すべき(公益補助一般財源負担の原則)。
⑤ 賠償負担金については、原子力発電による事故の危険は外部不経済であり、それによって生じる損害は発生者に負担させるべき(電源費用自己負担の原則)。東電が支払えない場合は、国が代行すべき(公益補助一般財源負担の原則)。
⑥ 今回過去の経産省管轄の検討会議の議事録を精査したところ、託送料金で回収する仕組みなどに関する国の主張と証拠に誤りがあることがわかった。本日準備書面として提出している。
明快な意見陳述に、傍聴者からは「終わった瞬間拍手しそうになった」「私たちにもよく伝わる内容だった。裁判所はちゃんと判断してほしい」との感想でした。
控訴審は1回の審理で結審になるケースが多々あるようですが、第2回期日の相談がされ、「12月14日(木)14時30分から」に決まりました。私たちからもう1つ準備書面を提出すること、またもう1つ意見書を作成中であることを述べています。
期日終了後の記者会見&報告集会で、小島団長から「今回経済学者であり電力自由化に詳しい八田さんが意見書を書いてくれたことはとても幸運だった。電力自由化とは何だったのかという基本的な考えかたを提示してくれたことで、全体1つの枠組みとして捉えることができたのが今回の重要なポイントである」と、第一審で検証できていなかった点を今回検証できたことの報告もありました。こうした新たな検証への弾みがつくのに加え、問題の本質的部分の議論を嫌がって手前である原告適格で切ることへの備えももちろんしていくこと等が、弁護団各位から報告されています。そして参加者から多くの感想や質問、エールの声が寄せられました。
これから先、あらためて託送料金訴訟を盛り上げ支えていくために何ができるか、強くアクションを起こしていくことも検討します。多くの皆さんに知っていただき、応援の声を届けていただけますことを願い、これからもどうぞご注視ください。
以上
次のURLから詳しくご覧いただけます。
⇒https://www.greencoop.or.jp/takuso-ryokin/kososhin_keikahokoku/
注1 小島延夫弁護士の説明資料
註2 八田意見書
訴訟にご支援を!!!
託送料金訴訟を支える会のHPリンクアドレス
https://www.greencoop.or.jp/takuso-ryokin/sasaerukai/