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アフターコロナ私たちは何を学ぶ その2 電気は誰のもの?託送料金訴訟に込めた思い

旧一般電力の中の九州電力を含む大手電力会社3社及びその子会社2社に対し、公正取引委員会は官公庁や商業施設等で使用する電気の供給に関してカルテルを行ったとして、排除措置命令(4社)と過去最高額の課徴金納付命令(4社/ 計 1010 億 3399 万円)を行いました。
(URL)
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2023/mar/230330_daisan.html

旧一般電力が従来の関連事業者への価格統制をしていたことは消費者(需要家)の利益を大きく損ねるものですが、電力自由化後も送配電部門を独占しているために託送料金により安定した収益を認められています。託送料金は電力自由化後も規制料金として値上げについては経済産業省や内閣府の監視下にありましたが、レベニューキャップ制度の導入により規制方法が変更されました。

 

2016年に本来発電部門が負担すべき原発関連費用の2つを託送料金に上乗せすることが決まられたことに対して、九州を中心に活動するグリーンコープ生協はその違法を裁判を提訴し、組合員は一丸となり訴訟を追行、支援を募ってきました。

今回出された判決は原告適格は認めたものの、上乗せの違法判断についてはまさに肩透かしで、被告国側主張をなぞっただけのもの。控訴審での充実した議論を求めて控訴がなされたものです。根底には原発推進、維持への根源的な疑問をも当裁判。檻からのGX法案で原発事故への反省なく、推進に大きな舵が取られた今、この裁判が問う意味は全国民的な課題といえます。

多くの方の関心が高まるよう呼びかけていきます。

第一審判決全文はこちら

230322_第一審 判決のサムネイル

 

九電管轄内の新電力であるグリーンコープを

 

2020年10月15日に国を相手に提訴して以降、第1回期日(2021.1.15)から第9回期日(2022.11.15)まで足掛け1年強の審理を経て、このたび3月22日に判決が言い渡されました。この間の訴訟提起に至るまで、訴訟の経緯については下記のHPに詳細があります。

https://www.greencoop.or.jp/takuso-ryokin/soshokeikahokoku/

 当日は、判決言い渡しということで多くの傍聴者(組合員・グリーンコープ業者の会・一般・マスコミ 約60名)で傍聴席は埋め尽くされていました。判決に入る10分程前にはTV等の取材が入り、法廷は緊張に包まれていました。
 午後2時、裁判長から判決言い渡しが始まった瞬間に耳にした「主文、原告の請求を棄却する」に傍聴席には「えっ⁉」という、呻(うめ)くような声がかすかに響き渡りました。その後に「訴訟費用は原告の負担とする」と続き、その理由が縷々(るる)述べられていきました。その時間約10分程でした。
 判決は、原告の請求を棄却するというものでした。原告適格は認めましたが、2つの負担金(賠償負担金と廃炉円滑化負担金)は公共のために電気利用者のすべてが負担するものであり、経産省の認可処分は法律の委任の範囲内のものであり、違法ではない、というものでした。国が出した準備書面をそのままなぞるかのような判決でした。

2023年3月30日の臨時理事会では理事からの圧倒的な控訴すべきとの声を受け2023年4月5日に福岡高等裁判所に控訴がされました。
 

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