北海道からの報告〜予防接種について自治体がなすべきことを市民の立場から強く要請
北海道現地から、三浦雅子さんによる報告です。前回の報告と重複しますが、簡潔にまとめていただいたので掲載いたします。
【2022年度ワクチントーク北海道の道に対する要請報告(2023年1月26日要請)】
1 北海道における日本脳炎ワクチンの定期接種を中止し、区域指定に戻し「受ける側の選択権」に保障求める要請書 (荻原ワクチントーク 北海道代表が手渡す) 2 子宮頸がんワクチン(HPVV)の定期接種を中止し、副反応者救済を求める要請書 (浅川 HPVワクチン薬害訴訟を支える会北海道代表が手渡す) 3 子ども(6カ月〜11才)への新型コロナワクチンの接種勧奨をしないこと及びワクチンの副反応被害 者への対応を求める要請書 (佐藤 市民ネットワーク北海道が手渡す),
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この要請は2022年12月17日に開催したワクチントーク北海道集会で要請行動の確認がなされ、「ワクチントーク北海道実行委員会」として2023年1月26日に北海道知事に対して行ったものです。木葉敦道議をはじめ、ワクチントーク北海道の9名(事務局、HPVワクチン薬害訴訟を支える会北海道・薬害オンブズパーソン会議タイアップ札幌・市民ネットワーク北海道・札幌市母と女性教職員の会・市議会議員)が北海道道議会 会議室に赴きました。要請先側からは知事の参加はなかったものの北海道保健福祉部は感染症対策局対策課予防接種担当課長・課長補佐・総務課課長補佐・ワクチン担当課主査が対応し、14:00〜15:00まで要請主旨説明、道としての回答、再質問、再回答、そして参加者のフリートークが木葉道議の進行で展開され、後日(1月30日)文書で道としての正式な回答がなされました。
*正式な要請書と道の回答文書は別にあります
≪ 今回の要請の課題と 要請状況(抜粋)や今後のとりくみ ≫
課 題 1 道民がワクチンを受けるか否か判断するための情報とする(選択権の保障)のため
北海道の「日本脳炎ワクチン・HPVワクチン.コロナワクチン」の被害状況(副
反応健康被害救済制度の申請数と認定数や副反応疑い報告数)を公表してほしい
現状 北海道民のワクチン被害の現状が公表されていない
昨年の同様の要請に対する回答では「個人情報保護の観点」「副反応に地域性がない」「国は都道府県単体の数の公表についてできるだけ出さない意向である」という事から「公表できない」との答えに終始しました。
要請時の発言など
・保護者が受ける・受けないかを決める目安は副反応リスクとベネフィットです。その目安としては副反応
数を一番心配しています。日本脳炎は道が独自に定期接種にしたことなので、2018年度までは副反応数
をお答えいただいていました。(荻原 日本脳炎について)
・札幌市はコロナワクチン で400人近くの副反応疑いがあり、そのうち17人が亡くなっています。
国では1900人以上の死亡報告がされていますが報道もされません。こういう情報が少ないまま市民
道民が接種してしまう事に危惧しています。情報提供が必要です。(篠田札幌市議 フリートークで)
今回の要請に対する道の回答
国は専門家による分析や評価を行い副反応数を公表しているので、道として独自に調査を実施する必要は
ないと考えます。
今後のとりくみ
ワクチン接種をするかどうかの判断の目安となる、副反応の情報を都道府県単位で公表しないのはリスク隠しです。また道民の要請に応えず、国に追従している道の姿勢も問われなければなりません。道の答弁で「ワクチンは医薬品なので副反応副作用が一定程度生じるのは折込済み」と発言しているのでそれを共有するために
私達は今後も、道民のワクチン被害の実数を公表することを求めて行きます。
① 予防接種健康被害救済制度の申請数 と 認定数 (厚労省審査委員会が判定)
(被害者が市町村に申請)
② 副反応疑い報告数と判定 (厚労省副反応検討部会が判定)
(医療機関や製薬会社が国に報告) (その症状がワクチンの副反応として正式に扱われる)
→国、北海道として収集処理しているワクチン被害(予防接種健康被害申請数や認定数、副反応疑い報
告数)を公表しないという法的な根拠はない。
→市民・道民はリスクを知った上で接種の判断をするために、ワクチン被害を知る権利がある。
→国のデジタル庁方針では情報は共有する方向で、個人情報以外は全て誰が見ても分かるように公開公
表するとしている。私達が公開を求めているのは、1年間の北海道の数値のみであり個人を特定でき
る個人情報情報ではない。
課題2 日本脳炎定期ワクチン接種を中止し、区域指定に戻してほしい
現状 30年間継続してきた「北海道での日本脳炎ワクチン定期接種」の区域指定を、北海道独自の判断で解除し、毎年感染症流行専門会議で検討し定期接種を継続している。(コロナ禍でこの3年間は不明)道内で日本脳炎の発症0が続いているがワクチンによる健康被害認定者は少なくとも1名はいる。(現状事態不明)
要請時の発言など
・以前より日本脳炎ワクチンの区域指定も含めて考えるという回答ですが、今の回答にその部分はありません
が、そこは今までの押さえと同じですね。
・道は感染症対策流行専門会議で毎年検討すべきものです。なぜかというと区域指定を外し日本脳炎ワクチンの定期接種は道が決めたことだから道に検証の責任があります。ほかのワクチンの定期接種とは違います。
北海道で病気はゼロですから。病気のない所で副反応数だけ多い実態ならぜひ区域指定を元に戻し、定期接
種中止も考えて頂きたい。(以上荻原再質問で)
今回の要請に対する道の回答
今後とも区域指定の必要性の検討を含め法に基づき必要な予防対策を推進します。(話し合いで追加となる)
今後のとりくみ
ここ数年、文書回答に「区域指定を含めての検討」の文言が入っていないので、やりとりが続いていますが、
「区域指定をもとに戻し北海道での定期接種を中止する」ことの要請を継続します。また、感染症流行専門委員会で日本脳炎ワクチンが議題となった場合には傍聴をして行きます。
課題3 日本脳炎ワクチンのリーフレットは保護者判断を担保するものにしてほしい
現状 北海道で定期接種を始めた7年間に少なくとも副反応報告23件、重篤な入院7件、健康被害申請2件、そのうち1件が認定されているが、リーフレットには一切掲載されていないなど、リスクの掲載が不十分。
要請時の発言など
・行政の出す情報というのは内容的にも量的にもベネフィットばかりで、感染予防効果とか接種方法の扱い
が大きく、最後の方に「ごく稀ではありますけど副反応があります」というのが載ってはいますが、それ
で、リスクとベネフィットを理解して判断するのは不可能です。(石川札幌市議 フリートークで)
今回の要請に対する道の回答
予防接種実施規則において「被接種者または保護者に対し、有効性や安全性および副反応について適切な説明を行い、文書による同意を得て行う事」とされ、被接種者保護者には「努力義務」も規定されていることから今後も受ける方の判断に資するようワクチンの有効性や安全性に関する情報提供に務めます。
今後のとりくみ
要請時のY課長からは「個人の選択ができるだけの情報をきちんと提供される事が重要であると考えています。」という発言がありました。私たちはそれに「副反応報告数、重篤な入院数、健康被害申請数、認定数」が含まれると主張しています。道としての副反応数は示さず、全国の副反応数で判断しなさいとしているのは保護者の選択権が損なわれています。今後も北海道の情報を含めてリスクとべネフィットが同等に比較できるリーフレットを求めて行きます。
課題4 HPVワクチン副反応支援センターは被害者実情にあった役割を果たしてほしい
現状 HPVワクチン被害者は副反応の症状を受け止めてもらえず、医療機関をたらい回しにされ積極的な治療を受けられない状況にある。
要請時の発言など
・HPVワクチン副反応協力医療機関は道のホームPでは北大・札医大しかないので、特に全道一帯で2病院しかない問題があります。特に札医大はリハビリテーション科しか書いていませんが、副反応に苦しむ被害者の実際は不随運動、記憶障害・学習障害などリーフレットに一切書いていないもので、対応できないのではないですか。(荻原再質問で)
・被害者の方は札医大も北大にも一回は受診しています。しかし2回目からは行きません。なぜかというと「自分たちは信用されていない」という事がわかるんです。だから高い旅費をかけて鹿児島医大へ行ったり信州大学へ行ったりする事になるのです。とっても残念です。(篠田札幌市議 フリートークで)
・HPVワクチンによる「自己免疫性の増殖が原因である」いう意見と「心理的な問題である」という意見と見解が分れています。国は後者を支持しているため北大や札医大にかかった時には「心理的な問題」だから「認知行動療法」をすすめられますが「私達はワクチンの反応でなった」とする被害者は二度と行かない実態があるので、窓口がもう一つ必要なのではないかと思います。(薬害OPT 三浦 フリートークで)
・行政は様々な「情報」を判断して政策を決定していますが、「情報」の実態(推進派と反対派と見解が別れており、都合の良い情報操作もある等も把握していただきたい。(薬害OPT三浦 フリートークで)
今回の要請に対する道の回答
道ではHPVワクチン接種後に生じた症状について、適切な診療を提供するため北海道大学病院と札幌医科大学付属病院を協力医療機関に選定しています。また、北大では「HPVワクチン副反応支援センター」を設置しておりHPVワクチンの積極的勧奨の再開に関して道と協力して行政機関や医療機関、教育機関向け説明会を開催し、引き続き適切な接種勧奨と診療、相談体制の整備に務めます。
札医のリハビルテーション科は窓口であり、二病院とも全館で対応します。
今後のとりくみ
重篤な副反応の頻発で9年前に積極的な勧奨を中止したものと同じワクチンの再開、さらに2023年4月からはさらに副反応が心配な9価ワクチンの導入、しかし「副反応は心理的なもの」とする体制は被害者に寄り添うものとはかけ離れ期待できません。今後、新たな被害を起こさないように接種対象者が被害実態や医療体制、被害救済のリスクを理解して判断できるようにリーフレットの改善を求めるとともにHPVワクチン薬害被害者訴訟を支える会北海道作成のリーフレットを広げることも必要です。また、協力医療機関や北大の「HPVワクチン副反応支援センター」の動きも注視が必要ですが、まずは道や医療機関が被害者の実情を受け止めるよう求めて行きます。
課題 5 予防接種健康被害救済制度で被害者が救済されるように国に対して要望してほしい
現 状 全てのワクチンの副反応には国の予防接種健康被害救済制度で救済されると説明をしているが、特にHPVワクチンは認定されない被害者が訴状を起こしており、コロナワクチンでは申請者が多く保留されていたり、死亡しても因果関係が認められないとして救済されず「泣き寝入り」が常態化している。これらの実情もリーフレットには記載されていない。道は「国の制度」として関与することに消極的。
要請時の発言など
・多くの命を救うためと言いながら自分が副反応被害に遭ったらとんでもないですね。知人の息子さん20代で接種後に亡くなりました。その方が被害を申請するか認定されるのかわかりません。わかっているのは救済されても命は戻ってこないことです。HPV被害に遭った女の子達も、救済されても元の生活に戻れないのです。せめて今、救済してほしいと思います。 (札幌母女 八島 フリートークで)
・全国市長会予防接種事故賠償補償保険制度がありますので、国がなかなか救済をしない場合はぜひ救済をするように、市町村が行うものだからと北海道が傍観するのではなく、やはり道の立場でワクチンが子ども達の人生を奪うことにならないように動いてください。 (HPVⅤ薬害訴訟を支える会 浅川 要請趣旨発言で)
今回の要請に対する道の回答
HPVワクチンの被害者救済のために、健康被害に関する救済制度の一層の周知と申請に対する早期認定を国に要望します。コロナワクチン のリーフレットでは予防接種健康被害救済制度について、国が啓発資料を作成したのでそれを広く周知しているところです。
今後のとりくみ
ワクチンの種類は今後も増え続けると予想されるため、予防接種健康被害救済制度が実情にあったものになるように、地方自治体から声をあげていくよう要請を継続していきます。また、ワクチンのリーフレットには「現在は認定ハードルが高いこと」がわかるように申請数や認定数を記載をするよう求めて行きます。
まとめ ・今後も被害者に寄り添いワクチンを慎重に考えるとともに道民が医療を安心して受けられる状況をよろし くお願いします。来年も要請を継続して行きます。今日はありがとうございました。(荻原) ・道民の命と健康を守る道保健福祉部の方には厳しい言葉もありましたが、皆さんへの期待や思いを直接伝 える場面はここしかないので意見を一つでも反映させていただけたらと思います。(木葉道議) |
課題6コロナワクチン 副反応相談センターは様々な副反応症状を認め必要な医療機関につなげてもらえるのか 相談センターのホームページには症状別に病院が紹介されているが、かかりつけ医や接種した病院でなければ受け付けず利用できない。また、文字も小さくわかりにくい。 道回答 コロナも北大と札医を協力医療機関としていますがそこだけでは完結しません。その前に重点医療機関を指定していますがかかりつけ医や接種した病院で基礎的診断をして、専門的な治療が必要な場合協力医療機関に紹介していただく仕組みです。 |
課題8 被害者の声を届ける 全道集会では「被害者の声こそ傾聴しなければならない」ことが確認され、参加者は趣旨説明やフリートークでワクチン被害者の現状を訴えた。また、HPV被害者が訴えたDVDを手渡した。 課長 国レベルではワクチン接種が救える命が多いという判断だが、個人に落とし込んだ時一人一人の人生がどうなのかを含めてリスクとベネフィットを考える必要があると皆様の考えを聞いて感じました。 課長補佐 身近な人がそうなった時はやっぱり違うなというその辺の思いが伝わってきました。 |
課題7学校で文書配布や集団接種をしないこと 学校を介したワクチン関係物の配布は大きな圧力になる。また年末に配布した検査キットも現場が混乱した。(市民ネット佐藤 趣旨説明にて)
道回答 国は学校での集団接種を①接種対象者に説明が乏しくなる ②同調圧力が生じやすい③接種後の体調不良に細かな対応ができないことから推奨していません。行事の参加にワクチン接種を条件としないこと。校外実習など止むを得ず把握する必要な場合は保護者の同意、個人情報扱いに十分注意するようにしているところです。 |