北海道から考える② 日本脳炎ワクチンの中止を!
北海道ワクチントークの北海道に対する申し入れと回答の第2弾。HPVワクチンと日本脳炎ワクチンについての報告です。
2023年1月26日
北海道知事 鈴木 直道 様
ワクチントーク北海道 代表 荻原 敏子
ワクチントーク全国 代表 黒部 信一
特定非営利活動法人コンシューマネット/ジャパン 理事長 古賀 真子
MMR被害児を救済する会 栗原 敦
北海道における日本脳炎ワクチンの定期接種を中止し、区域指定に戻し「受ける側の選択権」の保障を求める要請書
日本脳炎は日本脳炎ウイルスによっておこる感染症であり、感染によりおこる中枢神経(脳や脊髄など)の疾患です。ブタなどの動物の体内でウイルスが増殖した後、そのブタを刺した蚊がヒトを刺すことによって感染します。重篤な中枢神経系疾患を起こすこともありますが、感染しても不顕性感染が多く、発症するのは100から1000人に1人と推定されその場合の致命率は20〜30%です。日本脳炎ウィルスはヒトからヒトへの感染ではなく特定の蚊(コガタアカイエ蚊)が媒介した地域での発生であり、都道府県知事が「定期接種を必要としない区域」に指定できるので、特定の蚊がいない北海道では40年間区域指定とされて、予防接種もされてませんでしたが発症例はありませんでした。しかし、北海道の環境において変化はないにもかかわらず転勤や修学旅行など本州との往来が頻繁になったこと等を理由として2016年度に区域指定を外して定期接種とされました。
日本脳炎の2022年感染者数は全国で5人、2021年は3人、2020年は5人でした。戦後の混乱期は多くの発症があったものの、田畑の整備や家畜(豚)の管理など生活環境の改善とともに減り始め、日本脳炎ワクチンの定期接種が始まった1978年にはすでに年間の感染者数が88名と激減していました。1990年代には毎年10名前後を推移し死亡例も0から1人で現在に至ります。ここまで感染が抑えられている理由として、国立感染症研究所はウィルス散布の希薄をあげウィルスを媒介する蚊の状況をブタの抗体で注視し地域的特性に合致したきめ細かなワクチン接種方式を検討する必要性にも触れています。抗体保有率も要因としていますが、年代別のデータはワクチンだけでは説明がつかず不顕性感染で多くの人が自然に免疫を持つことも示唆しています。過去に発症例がない北海道で育った人達が、40年間、本州との往来で感染が問題にならなかったことからも定期接種化が必要とは思われません。
日本脳炎ワクチンの全国一律定期接種の役割は終っており、北海道はブタやウマの抗体検査の強化や離農や過疎による環境悪化を防ぎ、道民には感染リスクの高い季節と地域(ブタの抗体検査情報)へ移動する際に、年代に関係なく必要とする人がワクチンを受けられるような選択的な予防にシフトするべきです。
一方、厚労省で公開している2022年の日本脳炎ワクチンは、3歳の死亡例と8歳の障害児養育年金を含む6人の子ども達が疾病障害認定されています。2022年4月1日から6月30日までの医療機関や製造販売業者からの副反応疑い報告6名を合わせると、この1年で12名を超える健康な子どもたちが日本脳炎ワクチンによる被害を受けています。そこに北海道の子どもが含まれているのかはわかりません。
私たちは2015年7月北海道においては日本脳炎よりもそのワクチンのリスクが高いことから、定期接種化しないことを求める署名37,328筆を提出しました。その後も11回の要請を行い昨年12月に開催した「ワクチントーク 北海道全道集会2022」には、保護者、地域住民、教育関係者、医療関係者、ワクチン被害者が70名集まり、「コロナで加速されたワクチンで防げる病気はワクチンで防ぐ」という国の方針は、副反応の被害がないものとして進められ、ワクチン被害の救済もされない中、市民の選択が重要になることを確認しました。
定期接種が始まって6年が経過した現在も、日本脳炎の感染リスクは低いというブタの抗体検査結果に変化はありません。しかし定期接種であるが故に、他のワクチン同様に選択や判断を求められます。
病気がないのに申請2名中認定1名、23人以上という副反応被害者が出続けています。
予防の主体者は市民(保護者/対象者)であり、選択権が保障されていなければなりません。各自治体が作成しているリーフレットには年間の感染者数、ワクチン被害認定者数、副反応報告数など安全性に関わる記述は必須であり、北海道の状況(数)も明らかにする必要があります。全国の状況として並ぶ数字のみより、暮らしている地域の情報は理解しやすく主体的な慎重な判断に繋がります。
ワクチンの安全性の担保として予防接種健康被害救済制度を説明しながら、その実情や実績に触れないのは、すでにこの制度は市民が期待する安全性の担保ではないということになります。定期接種として積極的な勧奨をしながら副反応を稀なこととして認定のハードルを上げるのではなく、幅広く救済する方向に国の制度自体も改善を求めて行くことが不可欠です。どんなワクチンも副反応は不回避であることを行政と私たち市民で共有する努力を惜しむべきではないと考えます。被害に遭う確率は低くても被害者にとってはそれが100%となりうる状況も想定しなければなりません。
また、定期接種は受けるのが当たり前という風潮や同調圧力、ワクチンを受けないことで虐待を疑われ、医者の診療拒否や医師の不機嫌な態度も強制ではないとしながら「受けない」選択を妨げています。 北海道は一部都市部を除き、ほとんどが医療過疎地域であり地域医療に山積している課題を直視しなければなりません。このような状況を踏まえると、道は全ての定期接種のすすめかたについて「強制がないこと、子ども達の健康が真に担保されているか」を常に検証することが、当然の責務だと考えます。
以上の経緯から以下の要請を行います。
記
1.日本脳炎ワクチンの定期接種中止に向けた検討を進め、区域指定にもどすことを求めます。
2.日本脳炎ワクチン接種で、誤接種や副反応の申告者には、国の救済制度への接続など迅速に進め、また道として被害者が幅広く救済されるように制度の改善を国に働きかけることを求めます。
3.道は、接種者状況についての全例調査を行い副反応および誤接種の実態を情報公開することを求めます。
また被害者救済のために2019年以降の副反応者数及び認定申請数・認定者などを提示すること。
4.日本脳炎に限らず、保護者や本人に対して、予防接種は強制ではなく「受ける」「受けない」という選択権が保障されていることを周知することを求めます。
5.選択権を保障するために、ワクチンの必要性(年間の感染者数)、有効性、安全性、副反応、(年間の副反応報告数)救済制度(年間の申請数、認定数)、保護者の判断、(選択権)がリーフレットにわかりやすく記載されているか、各地域のものを確認し、未記載の場合は具体的な内容となるように指導することを求めます。
6.特にワクチン接種をためらう保護者に対し、ワクチン(同時接種等)の強要やそれらを理由に医師の診療拒否がされないように医師に対する指導を強化することを求めます。
7.感染症流行専門会議」「道保健福祉委員会」に、日本脳炎ワクチンの区域指定の検討を含め、私たち道民の要請内容について周知していただき科学的知見に基づく丁寧な議論を公開で行うことを求めます。
以上
北海道回答書 (下線は筆者)
ワクチントーク北海道 代 表 荻原 敏子 様
ワクチントーク全 国 代 表 黒部 信 一 様
特定非営利活動法人コンシューマネッ ト・ジャパ ン 理事長 古賀 真子 様
MM R被害児を救済する会 栗原 敦様
「北海道における日本脳炎ワクチンの定期接種を中止し、区域指定に戻し 「受ける側の選択権」の保障を求める要請書」に ついて
2023年1 月2 6 日付けで提出のありました標記ワクチンに関する要請書について 、次のとおり回答いたします。
記
・ 「1」定期接種の中止等について
道では、専門家で構成される北海道感染症危機管理対策協議会からの「国内外の患者発生状況や免疫の保有状況、道外や国外への道民の移動状況等から、本道においても日本脳炎ワクチンを定期接種として実施する必要がある」との意見を踏まえ、平成2 8 年度から予防接種を行う必要のない区域の指定を行わないこととしたと ころです 。日本脳炎患者の発生数は、予防接種の効果や、媒介する蚊に刺される機会が減少していることなどから全国的に少ない状況にあるものの、ウイルスそのものは、現在も 我が国に広く存在しており 、感染・発症した場合に重大な健康袚害が生じる恐れがあることから、国は、引き続き日本脳炎ワクチンの定期接種を進めているところであり、 道としても、引き続き、接種を希望される道民の皆様が、円滑に接種を受けられるよう取り組んでまいる考えです。
・ 「2 」救済制度について
予防接種法に基づく定期接種による健康被害については、国が設置する「疾病・障害認定審査会」において、接種に関する過失の有無にかかわらず 「予防接種健康袚害救済制度」により補償金が給付されます。
道としても、健康被害が生じた方に適切な救済が行われるよう、引き続き、健康被害救済制度の周知に努めてまいる考えです。
感染症第 4991 号 令和5年(2023年)1月3 0日
北海道保健福祉部感染症対策局 惑染症对策課予防接種担当課長
*北海道は国の言いなり、独自に判断することができない機能不全に陥っているとしか言いようがありません。また認定制度についての理解もされていません。(後日詳説します)