土地規制法案とは?意見募集締切は8月24日
2022年7月26日、政府は土地規制法に関する意見募集を開始しました。締め切りは8月24日です。
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000238924
土地規制法廃止アクション事務局、土地規制法を廃止にする全国自治体議員団、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックなどが、このパブコメに意見を送るよう呼びかけをしています。土地規制法は国民のプライバシーと表現の自由等を侵害する可能性の高い法律という意見があります。軍事基地や原発などの安全保障に関わる「重要施設」周辺や国境離島に住む市民のみならず、「生活関連施設」の名で今後指定される重要施設周辺の市民は広く調査・監視され被疑者として家宅捜索や取り調べを受ける可能性があります。
国民の権利に関する制限を行う法律は、規制の趣旨や要件を明確にすべきです。本文の規定は極めてあいまいで、誰がどのような行為で処罰されるのか、誰が何をどのように調査されるのかがほとんど明記されていないとして野党議員や市民団体は反対しています。具体的な内容は政府が決める基本方針などに委ねられています。基本方針案に対してパブリックコメントで多くの市民の意見を政府に届けることが必要です。呼びかけ団体の呼びかけは長文ですが、報道などが少ない中、全文を紹介します。
2022 年 7 月 28 日 〈パブコメ呼びかけ団体〉
土地規制法廃止アクション事務局
土地規制法を廃止にする全国自治体議員団
沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック
基本方針案に対するパブコメの意見例
簡潔な意見例を10例、その他の意見例を47例上げています。
【簡潔な意見例】
※重要と思われるポイントを簡潔に書いていますのでご参照ください。
◆高所からの監視は「機能阻害行為」に該当しないと明記せよ
<該当箇所> 第4 2(2)
<意見> 機能阻害行為に該当するとは考えられない行為に、「重要施設周辺の高所からの継続的監視」を盛り込むべきです。騒音などの被害を受けている周辺住民が基地の活動を監 視することは、権利を守るための当然の活動であり、これを制限することは許されません。
◆土地規制法は罪刑法定主義違反の違憲立法であり廃止せよ
<該当箇所> 第4 2
<意見> 基本方針案によっても罪刑法定主義違反は解消されず、土地規制法は違憲立法です。機能阻害行為の「例示」が示されているものの、「この類型に該当しない行為であっ ても、勧告及び命令の対象となることはある」としており、罪刑法定主義違反は何ら解消されず、憲法 31 条に違反します。この法律は廃止すべきです。 ※罪刑法定主義:何を犯罪とし、いかに処罰するかをあらかじめ法律により明確に定めてお かなければならない、という近代刑法上の基本原則
◆思想・信条にかかわる情報は収集しないと明記せよ
<該当箇所> 第3 1(4)
<意見> 土地等の利用者等の思想・信条にかかわる事項や行動などの情報は、いかなる理由があろうとも収集しないことを明記すべきです。このことは、国会答弁でも基本方針案でも述べられているものの、土地等の利用に関連すればできるような説明であり、それは絶対に許されません。
◆密告奨励の窓口をつくるな
<該当箇所> 第3 1(5)
<意見> 「情報提供を受け付ける体制を整備する」というのは、まさに密告の奨励であり、 地域の人間関係の分断や破壊につながります。「情報提供を受け付ける体制」を整備すべきではありません。
◆「その他関係者」から「利用者の家族や友人・知人」を外せ
<該当箇所> 第3 1(3)
<意見> 「その他関係者」から「土地等の利用者の家族や友人・知人」を外すべきです。「土 地等の利用者と共同で~機能阻害行為を行っていると推認される場合には」対象となり得るとしていますが、この「推認」は拡大解釈されるおそれが拭えません。
◆個人情報を厳格に保護すべき
<該当箇所> 第1 2(2)
<意見> 個人情報に関しては、公簿等以外からの収集は禁止とし、例外を設けるのであれ ば、その必要性・内容・収集方法・情報の保有期間を明示すべきです。現状では、公的機関 に対する個人情報保護委員会のチェックは非常に弱く、内閣府による一元的な管理は、個人情報保護を危うくします。
◆情報収集の方法は厳しく制限されるべき
<該当箇所> 第3 1(2)
<意見> 公簿以外に「現地・現況調査」や「報告の徴収等」を組み合わせることで、個人のプライバシーの侵害になりかねません。「必要に応じて」の「必要」を厳格に明示的に規 定すべきです。また、思想・信条等に関わる内容が含まれている任意団体や個人のホームペ ージ、ブログ、SNS 等からの情報収集は行わない旨を明記すべきです。
◆総理大臣による関係行政機関の長への情報提供を厳格化すべき
<該当箇所> 第5 1
<意見> 内閣総理大臣が関係行政機関の長に対し情報を提供すると判断する必要性と提供できる情報の種類を明確にすべきです。法文上限定のない情報提供の必要性の判断や、提 供する情報の内容の判断を全て内閣総理大臣に委ねることは危険です。
◆軍事目的の土地収用は許されない
<該当箇所> 第5 2
<意見> 国による土地等の買取りを行うための要件を明確にすべきです。また、当該土地 等の利用者等が買取りに応じるような圧力をかけるようなことは禁じるべきです。これは 事実上の軍事目的による土地収用の復活と批判されている制度であり、憲法 9 条の平和主義に反するものです。
◆関係地方公共団体の長と協議せよ
<該当箇所> 第2 1
<意見> 「この指定に当たっては、—-あらかじめ、関係地方公共団体の長の意見を聴取する」とありますが、「意見の聴取」ではなく「関係地方公共団体と協議する」とするべきで す。せめて「意見を聴取しそれを尊重する」とするべきです。
【その他の意見例】
※上記簡潔な意見例と一部重複するところがあります。
第1 重要施設の施設機能及び国境離島等の離島機能を阻害する土地等の利用の防止に関する基本的な方向
〇該当箇所 第1 2法に基づく措置を行うに当たっての留意事項(1)国民の権利との関係
〇意見 「~日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に制限することのないように留意する」 とあるが、「不当に」と「留意」を抜いて、「~日本国憲法の保障する国民の自由と権利を制 限することのないようにする」とすべきである。
〇理由 「不当」か否か、「留意」したか否かは、法を運用する側の恣意に委ねられてしまう。実際、 警察法2条2項には「警察の活動は(中略)いやしくも日本国憲法 の保障する個人の権利 及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってはならない」と規定されてい るにも拘わらず、警察法2条1項の「犯罪の予防」「公共の安全と秩序の維持」という文言 をもって、警察がどんな個人情報の収集でもできるとする運用が罷り通っている。まずは基本方針において「日本国憲法の保障する国民の自由と権利を制限しない」ことを明記すべき である。
〇該当箇所 第1 2法に基づく措置を行うに当たっての留意事項(2)個人情報の保護 〇意見 個人情報に関しては、公簿等以外からの収集は禁止とし、例外を設けるのであれば、その必 要性・内容・収集方法・情報の保有期間を明示すべきである。
〇理由 現状では、公的機関に対する個人情報保護委員会のチェックはいかにも弱い(ないに等しい)。内閣府の一元的に管理することが、個人情報保護を危うくするおそれは大きい。
第2 注視区域及び特別注視区域の指定に関する基本的な事項
〇該当箇所 第2 1 注視区域・特別注視区域の指定の趣旨及び手続
〇意見 「重要施設の周辺に海、河川等が存在するといった地理的特性」がなにかを明確にしたうえ で、海上をも区域指定の対象とするのであれば、市民による正当な海上での抗議行動は機能 阻害行為に該当しないものと明記すべきです。
〇意見の理由 指定にあたって考慮する事項として「重要施設の周辺に海、河川等が存在するといった地理 的特性」をあげていますが、内容がまったく明らかではありません。海上での行動も規制す るものと考えられますが、辺野古新基地現場での市民団体による海上での抗議行動をター ゲットにしたとも受け取られかねません。市民による正当な意思表示の行動を規制するの は憲法で保障された表現の自由に違反するものです。
〇該当箇所 第2 1 注視区域・特別注視区域の指定の趣旨及び手続
〇意見 「この指定に当たっては、—-あらかじめ、関係地方公共団体の長の意見を聴取する」とあ りますが、「意見の聴取」ではなく「関係地方公共団体と協議する」とするべきです。せめ て「意見を聴取しそれを尊重する」とするべきです。
〇意見の理由 土地規制法では、区域指定にあたっては関係行政機関の長との協議しか規定されておらず、 関係地方公共団体の意見を聞くことは国会でも追求され、付帯決議でも指摘されています。 区域指定は不動産取引をはじめとして地域社会や地域経済に影響を及ぼしますし、地方自 治体側からすれば都市計画や経済計画、社会福祉計画、そして税収にも影響が出てきます。 今後、区域指定の際に関係地方公共団体がどのような対応をするのかが重要になってきま した。なお、「意見を聴取する」のは法的意味合いとしては「協議する」よりも軽いと考え られます。
〇該当箇所 第2 2 注視区域の指定の対象(2)国境離島等 ア国境離島
〇意見
有人離島の指定区域の範囲を明確にすべきです。
〇意見の理由 有人の離島については領海基線の周辺と領海警備等の活動拠点施設の周辺としています。しかしここでいう「周辺」には、重要施設周辺概ね1kmというような範囲の制限はなく恣意 的に拡大される恐れがあります。
〇該当箇所 第2 4 経済的社会的観点からの留意事項(2)特別注視区域の指定に当たっ て留意すべき事項
〇意見 特別注視区域の指定に当たって留意すべき事項として1施設の周囲に指定される注視区域 の面積の大部分が人口集中地区であること、とあります。この要件を区域指定しない確定的 な要件とするべきです。また注視区域についても区域をしていない要件とすべきです。 〇意見の理由 例えば、沖縄県の普天間基地と嘉手納基地地を抱える宜野湾市、北谷町、嘉手納町、読谷村、 沖縄市は、基地周辺全てが人口集中地区です。東京の横田基地周辺や神奈川県横須賀軍港周 辺も人口集中地区です。このような場所はいたるところにあり、この要件に従って区域指定 するべきではりません。また、注視区域と特別注視区域の違いは、後者の場合は取引の事前 届出が必要になるということだけです。であれば、これらの要件は、注視区域指定の際にも 指定されない要件とすべきです。特別注視区域の指定だけで適用される理由はありません。
第3 注視区域内にある土地等の利用の状況等についての調査に関する基本的な事項
〇該当箇所 第3 1 土地等利用状況調査 (1)調査の趣旨
〇意見 「機能阻害行為」が不明確である以上、「土地等の利用の状況を把握するため」の調査が拡 大し、「日本国憲法の保障する国民の自由と権利を制限する」ことに繋がるのではないか、 との懸念がある。
〇該当箇所 第3 11 土地等利用状況調査 (2)調査の方法
〇意見 公簿以外に「現地・現況調査」や「報告の徴収等」を組み合わせることで、個人のプライバ シーを侵害することになりかねない。「必要に応じて」の「必要」を厳格に明示的に規定すべきである。
〇該当箇所 第3 1 土地等利用状況調査 (2)調査の方法
〇意見 「必要に応じて、土地利用者である法人のホームページ等から公開情報の収集を行う」とあ るが、任意団体や個人のホームページ、ブログ、SNS等からは情報収集は行わない旨を明記すべきである。
〇理由 憲法13条、21条の趣旨からすれば、個人やNGO等の情報には思想・信条等に関わるも のが包含されており、たとえ公開情報であっても、公権力がそれらの情報を取得、厳しく制 限されるべきである。
〇該当箇所 第3 1 土地等利用状況調査 (2)調査の方法
〇意見
・「必要に応じて」の範囲を明確にするべし。 ・「現地・現況調査や法第8条に規定する報告又は資料の提出(報告の徴収名等)の方法を 適切に組み合わせる形で、内閣府が一元的に実施する。」とあるが、基本方針(案)2ペー ジ目、(2)個人情報の保護によると「調査事務に一部を民間に委託する場合」について書 かれている。民間委託をする場合の要件等の記載も見当たらず、内閣府が一元的に実施する との整合性が不確かなため、明確にするべきである。
〇該当箇所 第3 1 土地等利用状況調査 (2)調査の方法
〇意見 「必要に応じて、土地利用者である法人のホームページ等から公開情報の収集を行う」とあ るが、任意団体や個人のホームページ、ブログ、SNS等からは情報収集は行わない旨を明 記すべきである。
〇理由 憲法13条、21条の趣旨からすれば、個人やNGO等の情報には思想・信条等に関わるも のが包含されており、たとえ公開情報であっても、公権力がそれらの情報を取得、厳しく制 限されるべきである。
〇該当箇所 第3 1 土地等利用状況調査 (2)調査の方法 ウ 徴収等
〇意見 法8条は、いわば「密告奨励」のような項目であり、そもそも設けるべきではなかった。こ の運用にあたっては、厳しい限定が付されるべきであり、「土地等利用状況審議会の意見を 聴くことがでえきる」だけでは足りない。
〇理由 「関係者」とされた者の負担の多寡に拘わらず、憲法では「望まないことはしない」権利が 保障されているはずであり、「望まなくてもしろ」と命じるには、例えば裁判所の判断を要 する等令状主義的な手続きを定めて然るべきである。
〇該当箇所 第3 1 土地等利用状況 (2)調査の方法 ア公簿等の収集
〇意見 第7条第1項によって提供を求める情報は公簿に限定し、その公簿も限定すべきである。 〇意見及び理由 第7条は「関係行政機関の長及び関係地方公共団体の長その他の行政機関の長に対して」と しているが、基本方針案ではその前に「公簿等を有している」と冠し、さらに「公簿等の収 集を基本」とするとしている。であれば、「第7条で関係行政機関の長及び関係地方公共団 体の長その他の行政機関の長から収集できる情報は、公簿等に限る。」とすべきである。ま た、収集できる公簿も、基本的には不動産登記簿と商業登記簿に限り、公開されていない個 人情報を含むそれ以外の公簿は基本方針にあげているものを列挙して「これに限る」とした 上で、それらの情報提供を求めるには「真に必要あるとき」に限定されるべきである。
〇該当箇所 第3 1 土地等利用状況調査 (2)調査方法 ア 公簿等の収集
〇意見
・第7条第1項及び関係法令の規定によりの場合が記載されている。 「公簿を保有している関係機関の長及び関係地方公共団体の長その他の執行機関は、内閣総理大臣にその情報を提供するものである」と、義務とするのではなく「することができる」 と努力義務に留めるか、「内閣総理大臣に提出理由を聞くことができる。内閣総理大臣は答えなくてはならない」とするべきである。内閣総理大臣から一方的な公簿の収集は、地方自治の本旨に反すると言わざるを得ない。さらには、情報提供をする場合においても情報提供をされる個人・団体に対して、関係行政機関等は、その旨を伝えることができるとするほうが望ましい。
・第22条についての記載がない。
〇該当箇所 第3 1 土地等利用状況調査 (2)調査の方法 ア 公簿等の収集
〇意見 「~必要がある場合においては」公簿等を保有している関係行政機関等に情報の提供を求 めることができるとある。法7条第1項の「土地等利用状況調査のために必要がある場合」 が全く限定されていないので、必要性につき運用主体の恣意(不当な拡大)が入り込む余地 がありすぎる。必要性に関して厳しい限定を明示すべきである。
〇該当箇所 第3 1 土地等利用状況調査 (2)調査の方法 ア公簿等の収集
〇意見 関係行政機関等に提供を求める情報に関して法7条1項では「その他政令等で定めるもの」 としているが、他の法律(政令ではない)を乗り越えて、政令で定めれば関係行政機関等に 提供を求めることができるというのは、法治主義を逸脱している。
〇理由
「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」(行政機関等個人情報保護法)では第 4条で利用目的の明示を義務づけている。しかし現状で個人情報を保有する関係行政機関 等は、その法律取得時には「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査 及び利用の規制等に関する法律」の第7条1項によって内閣府に提供されうるとは明示さ れていないはずである。また行政機関等個人情報保護法第8条第1項では、利用目的以外の 目的のために保有個人情報を提供してはならないとしている。同条第2項3号の「相当な理 由のあるとき」としたいのであれば、どういう場合が「相当な理由のあるとき」であるのか、 基本方針においても明示すべきである。
〇該当箇所 第3 1 土地等利用状況調査 (2)調査の方法 イ現地・現況調査
〇意見 現地・現況調査を行う必要性の内容、及び現地・現況調査で行う事項について明確に規定す べきである。また、関係行政機関が協力する内容を明記すべきである。
〇意見及び理由 現地・現況調査を行う場合の「利用の実態をさらに具体的に確認する必要があると認められ る場合等」の内容は例示もひとつしかなく不明確である。明確にすべきである。 また、関係行政機関の協力に関しては、市民と野党の共同ヒヤリングにおいて、防衛省職員 は現地案内をすると答えている。関係行政機関は公簿に記載された個人情報以外にも多くの個人情報を有しており、それらが関係行政機関の協力として提供されてしまうことはあってはならない。したがって、関係行政機関の協力についてはその内容も明確にし、限定す べきである。
〇該当箇所 第3 1 土地等利用状況調査 (2)調査の方法 イ 現地・現況調査
〇意見 関法22条でもこの基本方針案においても「必要に応じて」としか書かれていないが、必要 性の中身、程度等を詳しく明示すべきである。
〇理由 「必要に応じて」というだけは運用主体の恣意に委ねてしまうことになる。特に自治体に対 して、国(内閣府)がいわば問答無用で協力を強制するのは、地方自治の原則に悖る。
〇該当箇所 第3 1 土地等利用状況調査 (2)調査の方法 ウ報告の徴収等
〇意見 「土地等利用状況調査のためになお必要があるときに限って行う」の内容を明確にすべき。 〇意見及び理由 「報告の徴収等」は、「対象者の負担を必要最小限とする観点から」法第7条の情報提供を 受けた結果「土地等利用状況調査のためになお必要があるときに限って行う」とし、「例えば、公簿等の収集により把握した土地等の利用者が活動実態のない法人であって、実態上は 当該法人以外の第三者による利用が推認される場合など、土地等の利用状況を正確に把握 するために追加的な調査を行う必要があると認められたとき」としているが、この例示だけでは他にどんな場合が必要があると認められるのか分からない。「対象者の負担を必要最小限とする」というのであるから、その内容を明確にし、限定すべきである。 また、必要があれば審議会の意見を聴くことができるものとするとあるが、どのような場合がそれに該たるのかも明確にすべきである。
〇該当箇所 第3 1 土地等利用状況調査 (2)調査の方法 ウ 徴収等
〇意見 「関係者」とされた者が、報告の徴収等に応ずる義務はないことを明記すべきである。仮に 義務を課すのであれば、当該「関係者」の不服申立の機会を与えるべきであり、その旨(報 告の徴収等への不服申立の権利)の教示をすることも明記すべきである。
〇理由 「関係者」とされた者の負担の多寡に拘わらず、憲法では「望まないことはやらない」権利 が保障されているはずであり、「望まなくてもやれ」と命じるには、例えば裁判所の判断を 要する等令状主義のような手続きを定めて然るべきである。
〇該当箇所 第3 1 土地等利用状況調査 (3)調査の対象
〇意見 法第7条と第8条の「その他の関係者」は拡大しないよう、明確に限定すべきである。 法第7条については基本方針案にあることを明確に定義規定とし、第8条については「例示及びこれに類する者」と定義し、家族、有人・知人は除外すべきである。
〇意見及び理由 法第7条と第8条には「その他の関係者」がある。法では土地等の所有者や利用者について は第4条第2項第4号に定義されているが、「その他の関係者」についてはどこにも定義規 定はない。これでは、「その他の関係者」が「調査の必要」によって際限なく拡大されてい く。そうならないように限定されるべきである。
第7条については、基本方針案にあることを明確に定義とするべき。すなわち、「法第7 条の「その他の関係者」は、公簿等に記載されている情報によって土地等の利用状況を把握 することにつながる以下のような者をいう。」として、「1不動産登記簿上の所有者が法人である場合の当該法人の役員、2移転登記未了の土地等の被相続人」とし、「等が考えられる。」 は削除すべきである。
第8条については、「法第8条の「その他の関係者」は、1土地等の利用者が法人である 場合の当該法人の役員、2土地等の利用者との契約により当該土地等における工事に従事 している請負事業者及びこれに類する者をいう。」と定義すべき。「家族、友人・知人」はその明確な基準がないため、第8条の「その他の関係者」には含ませないように、先の定義に 続けて「ただし、家族、友人・知人は含まない。」とすべきである。
〇該当箇所 第3 1 土地等利用状況調査 (3)調査の対象
〇意見 「その他の関係者について調査する」とある「その他関係者」につき、法7条第1項の関係 で2つ、法8条の関係で2つ挙げているが、どちらも「~等が考えられる」としているだけ で、拡大解釈されるおそれが大きい。限定列挙とするべきである。
〇該当箇所 第3 1 土地等利用状況調査 (3)調査の対象
〇意見
「その他関係者」から「土地等の利用者の家族や友人・知人」を外すべきである。
〇理由 「土地等の利用者の家族や友人・知人であることのみを理由として」対象となることは考え られないとする一方、「土地等の利用者と共同で~機能阻害行為を行っていると推認される 場合には」対象となり得るとしている。しかし「機能阻害行為」が不明確である以上、この 「推認」も拡大解釈されるおそれが大きい。こうなれば、「注視区域、特別注視区域の土地 利用者とは距離を置く(友人・知人の関係を絶っていく)」というような人間関係の分断とい う極めて深刻な人権侵害が発生する蓋然性が否定できない。
〇該当箇所 第3 1 土地等利用状況調査 (4)調査項目
〇意見 例えば、土地等の利用者の本籍や性別(二分法の「性別」を拒否する人も存在する)と、「そ の土地等の利用」が「機能阻害行為」(をなしうる可能性)との間には関連性は全く見いだ せないのに、調査項目に挙げている。つまり「思想・信条に係る情報を含め、その土地等の 利用には関連しない情報を収集することはない」という文言の信頼性は極めて低い。
〇該当箇所 第3 1 土地等利用状況調査 (4)調査項目
〇意見 「土地等の利用者その他の関係者について、それらの者の思想・信条に係る情報を含め、そ の土地等の利用には関連しない情報を収集することはない」としているが、「その土地等の 利用には関連しない情報」であるか否かは誰がどう判断するのか?外見的には同様の行為 でも「機能阻害行為」(どういう行為を指すのか判然としないが)との関連の有無は、その 行為の目的、即ち内心を「推認」しなければ判断できないのではないか?基本方針には「思 想・信条に係る情報は収集しない」とする条項を明記するべきである。
〇該当箇所 第3 1 土地等利用状況調査 (4)調査項目
〇意見の概要 法第7条第1項に基づく関係行政機関の長等から収集する情報は、土地等の利用者の氏名 又は名称、住所、本籍、国籍等、生年月日、連絡先及び性別に限定すべきである。 また、土地等の利用者等の思想・信条にかかわる事項や行動などの情報はいかなる理由があ ろうとも収集しないことを明言すべきである。
〇意見及び理由 法第7条第1項に基づく関係行政機関の長等から収集する情報は法律に規定がないところ、 基本方針案では「土地等の利用者の氏名又は名称、住所、本籍、国籍等、生年月日、連絡先 及び性別」とするのであり、これに限定するよう明示すべきである。また、土地等の利用者 等の思想・信条にかかわる事項や行動などの情報については、「その土地等の利用には関連 しない情報」としているが、関連するか否かを判断するのは調査する側であり、少佐の対象 となる者からすればそれらが「その土地等の利用には関連しない」とされたか否かは分から ない。政府はこれまで思想・信条に係る情報は収集しないと言い続けてきたのであるから、 「その土地の利用には関連しない」などという留保を付けずに、いかなる理由があろうとも これらは収集しないと明確にすべきである。
〇該当箇所 第3 1 土地等利用状況調査 (5)情報提供の受付体制の整備
〇意見
このような受付窓口は設置すべきではない。
〇意見及び理由 このような情報受付窓口は、土地等の利用者に関する情報を、当該利用者等が知らないまま に提供されるのであり、まさしく密告というべきものである。また、基本方針案では「重要 施設を所管する関係行政機関等、重要施設を運用する事業者」からも情報を受け付けるとす る。その内容に限定はなく、法第7条による情報に限られなくなる。例えば自衛隊情報保全 隊が収集した情報をこの制度で提供することも可能となる。法第7条で公簿等に限ったと しても、ここで抜け道ができてしまう。 このような、法律に規定の無い情法収集の方法は禁じるべきであり、受付窓口のようなもの は設置すべきではない。
〇該当箇所 第3 1(5)情報提供の受付体制の整備
〇意見 「情報提供を受け付ける体制を整備する」というのは、まさに密告奨励であり、地域の人間 関係の分断・破壊に繋がる。「情報提供を受け付ける体制」は整備すべきではない。
〇該当箇所 第3 2 特別注視区域内における土地等に関する所有権等の移転等の届出
(2)届出の対象
〇意見
届出の対象となる建物の「床面積」は「建坪面積」とすべきである。
〇意見及び理由 特別注視区域における取引等の事前届出の対象(面積200平方メートル)は、土地の場合はすぐ理解できるが、建物の場合は「床面積」としており、その意味は判然としない。国会答弁では建坪面積をいうかのような説明がなされたこともある。事前届出義務は、取引当事者に負担をかけることであり、また、調査対象者をいたずらに拡大させないためには、建物についてもできるだけ限定する必要がある。そこで、ここでいう「床面積」は、各界の床面 積の合計ではなく、建物の建坪面積に限定すべきである。
〇該当箇所 第3 2 特別注視区域内における土地等に関する所有権等の移転等の届出 (4)届出制度を円滑に運用するための取組
〇意見 (4)の「届出制度を円滑に運用するための取組」において、届出制度の運用を円滑かつ確実に 行うために、制度趣旨や具体的手続きについての広報やマニュアル作成・公表、オンライン 届出方法と、不動産取引に際して告知すべき「重要事項」として業者に説明する義務を課す としているが、これにより土地取引にマイナスの影響を及ぼし、当該国民に損失が生じた場 合、国は、その損失の補償をすべきです。
○理由 上記のマイナス影響の存在は、政府も国会答弁で認めています。にもかかわらす、政府答弁 では損失補償をしないとされ、今回の基本方針にも損失補償の記載はありません。 しかし、この制度で土地等の取引が制限されたり、販売価格が低下したりするなどの損失を 国民が甘受すべき理由はなく、私的財産権の保障を定めた憲法29条に反します。
第4 注視区域内にある土地等の利用者に対する勧告及び命令に関する基本的な事項
○該当箇所 第4 1 勧告及び命令の趣旨及び手続
○意見 勧告に不服がある場合は行政不服審査法の手続きによるという内容に変えるべきです。そ して、不服審査の申立ての結論が出るまでは正当な理由がないことにはならないので、命令を発することはできないとすべきです。
○理由 勧告・命令の手続きについては、1勧告を受けた者が正当な理由なく勧告で示された措置をとらなければ措置をとるよう命令するとしています。さらに、2勧告を受けた者が措置に従わない正当理由があると申し立てた場合は、内閣総理大臣は、それが正当理由に該たるか否かを個別に判断するとしています。この2に関連して、国会で政府は、勧告を受けた者は行 政不服審査法に基づく申立ができると答弁しました。審査請求の手続きであれば、勧告を受けた者は勧告を受けたことを知った日の翌日から3カ月以内(かつ勧告があった日の翌日 から1年以内)に、行政不服審査法の規定に従った事項を記載した審査請求書を内閣総理大臣に提出し、併せて勧告の執行停止の申立ができます。内閣総理大臣は、却下・棄却・認容 のいずれかの裁決をしますが、却下や棄却の場合は再審査請求ができます。しかし、2は見る限りこのような厳格な手続きではありません。土地規制法に規定のないこのような手続きを設けて、行政不服審査法の手続きは行わないようなことは明らかに違憲違法であり許 されません。
○該当箇所 第4 1 勧告及び命令の趣旨及び手続
〇意見 「機能阻害行為」が不明確である以上、「当該行為の用に供しないことその他必要な措置を とるべきこと」の中身は全く判然とせず、行為の萎縮に繋がる。「勧告」を云々する前に、 「機能阻害行為」が「類推解釈」「不明確性」という明らかに罪刑法定主義に悖るものであることを正してから、この議論に入るべきである。
○該当箇所 第4 1 勧告及び命令の趣旨及び手続
〇意見 勧告を出す場合につき、「総合的に勘案」とか「社会通念上相当程度が高い」とか極めて漠然とした表現が重ねられており、運用主体の恣意的判断が入り込む要素が大きすぎる。萎縮効果を生じ、「~日本国憲法の保障する国民の自由と権利を“不当”に制限する」ことになる。
○該当箇所 第4 1 勧告及び命令の趣旨及び手続
〇意見 「勧告を受けた者が正当な理由なく勧告で示された措置をとらなければ措置をとるよう命 ずることができる」とあるが、「勧告を受けた者」がその勧告に不服がある場合の規定が曖 昧で、「勧告を受けた者」が重大な不利益を被る恐れがある。行政不服審査手続きで「勧告 を受けた者の申立には正当な理由がない」と確定するまで内閣総理大臣による「命令」は行 わない旨を明記すべきである。
〇理由 勧告を受けた者が措置に従わない正当理由があると申し立てた場合は、それが正当理由に該たるか否かを個別に判断するが、その際必要に応じて土地等利用状況審議会の意見を聴くことができるとしている。しかし土地等利用状況審議会の意見のみをもって、命令という不利益を甘受しなければならないのは適正手続きの原則に反する。しかも「~意見を聴くこ とができる」という表現で土地等利用状況審議会に諮るかどうかも内閣総理大臣の裁量に 委ねられている。国会審議での答弁でも「行政不服審査手続き」に言及があった。基本方針でも「行政不服審査手続き」を明記し、かつ手続き中に命令を出すことがない旨を明記すべ きである。
〇該当箇所 第4 2 機能阻害行為全般について
〇意見の趣旨 基本方針によっても罪刑法定主義違反は解消されず、土地規制法は違憲立 法である
〇意見の理由 機能阻害行為は、国の勧告・命令の根拠となる根本的な概念であるにもかかわらず、法律で 明確に規定されておらず、罪刑法定主義に反すると指摘されてきました。 基本方針は、機能阻害行為は「対象となる施設の種類、機能等に応じて様々な態様が考えられ、また、技術の進歩等によって、その態様が複雑化・巧妙化するとも考えられる」し、「潜在的に行われるリスクも考慮する必要がある」が、「勧告及び命令の対象となり、土地等を 当初予定していた用途に用いることができなくなれば、その対象者にとっては予想外の不 利益となる」ことから、「一定の予見可能性」を確保することが重要であるとして7つの類型(ただし類型そのものも「等」という接尾語付き)を例示しました。しかし、「これらは 例示であり、この類型に該当しない行為であっても、機能阻害行為として、勧告及び命令の対象となることはある」とし、さらに「例示する類型に形式的に該当しても、個々の事案の態様、状況等によっては、勧告及び命令の対象とならないこともある」としています。そし て「内閣総理大臣は、実際に勧告及び命令を行うか否かについて、個別具体的な事情に応じ、 適切に判断する」とし、さらに「例示する行為類型については、安全保障をめぐる内外情勢 の変化、技術の進歩、法の運用状況等をふまえ、適時に見直しを行う。」としています。基 本方針のこの内容によっても、罪刑法定主義違反は何ら解消されず、土地規制法は憲法 31 条に違反します。この法律は廃止すべきです。
〇該当箇所 第4 2 機能阻害行為 (1)機能阻害行為の類型並びに勧告及び命令の対象 となり得る行為
〇意見 示された類型は他の法律でも処罰されうるような事柄だけであり、かつ「この類型に該当し ない行為であっても、機能阻害行為として、勧告及び命令の対象になることはある」として いる。これでは何が「機能阻害行為」と判断されるのかは予見できず、市民の行動の萎縮を 招く。機能阻害行為に関しては、明確に例示し、例示以外のものは対象にならないとするべ きである。
〇該当箇所 第4 2 機能阻害行為 (1)機能阻害行為の類型並びに勧告及び命令の対象と なり得る行為
〇意見の趣旨 機能阻害行為について類型を例示するのではなく施設毎に明示すべきです。 〇意見の理由
機能阻害行為は「対象となる施設の種類、機能等に応じて様々な態様が考えられ、また、 技術の進歩等によって、その態様が複雑化・巧妙化するとも考えられる」としています。先 に述べたように、注視区域指定の対象となる防衛施設は4百数十あります。それぞれの施設 にはそれぞれの施設ごとの任務・役割があり、施設機能もそれぞれに違うはずです。レーダ ー施設でも、レーダーの役割ごとに機能が違います。一つの施設であっても複数の任務があ れば複数の機能があります。基本方針案自体が機能阻害行為は「個別具体的な事情」で決ま ると言っています。したがって、類型を例示したからといって、土地等の利用者が行ってい る、あるいはこれから行おうとする土地等の利用が実際に機能阻害行為になるのか否かは わかりません。機能阻害行為については、注視区域や特別注視区域の指定毎に、「その区域 内ではどういうことをすれば機能阻害行為に該当し処罰される可能性がある」かについて 明示すべきです。
〇該当箇所 第4 2 機能阻害行為 (2)阻害行為に該当するとは考えられない行為
〇意見の趣旨 阻害行為に該当するとは考えられない行為に、「重要施設周辺の高所からの継続的監視」を盛り込むべきです。
〇意見の理由 基本方針は、「次に例示する行為は、日常生活・事業活動として一般的な行 為であり、通常、機能阻害行為に該当するとは考えられない。」として5つの行為を例示しています。
もし阻害行為に該当しないということを例示するのであれば、「日常生活・事業活動として一般的な行為」ではなく、国会でも問題とされ、国民が懸念しているような行為、つまり、 基地や原発のデモや集会を含む反対運動や監視活動などは該当しないことを明確に規定すべきです。
特に、1番目の「施設の敷地内を見ることが可能な住宅への居住」については、該当しな いことは当然のことですが、情報公開請求により開示された法案説明資料には機能阻害行為の1番目にあげられていた「高所からの継続的監視」が含まれていました。 しかし、監視活動自体は施設に何らの(電波も含む)物理的な影響を与えるものではなく、 そもそも阻害行為とされるべきではありません。騒音など様々な被害を被っている基地 周辺の住民が基地における諸活動を監視することは市民が自らの権利を守るための当然の活動であり、これを制限することは許されません。
この基本方針案では、該当例にこのような活動は取り上げられていません。法案説明資料にあったものが無くなったのはこの間の土地規制法反対運動の成果と言っていいと思います。しかし、それが機能阻害行為に該当しないと考えて基本方針案に記載しなかったのであ れば、先ほど述べたように、「重要施設周辺の高所からの継続的な監視行為は機能阻害行為 には該当しない」と明記すればいいはずです。しかし、基本方針は、そうしていません。施 設の敷地内を見ることができる住居への「居住」は問題ないが、単なる「居住」ではない「居 住して継続的に監視する」ことは機能阻害行為とされる可能性が残っているのです。私は、 このような住民の普通の活動を機能阻害行為にしないことを明確に基本方針に定めるべきだと考えます。
第5 その他重要施設の施設機能及び国境離島等の離島機能を阻害する土地等の利用の防 止に関し必要な事項
〇該当箇所 第5 1 関係行政機関の長に対する情報提供等
〇意見 内閣総理大臣が関係行政機関の長に対し情報を提供する場合の、提供すると判断する必要 性と、提供できる情報の種類を明確にすべきである。
〇意見及び理由 基本方針案では「法では、土地等利用状況調査を通じて確認された機能阻害行為を是正する ための措置として、勧告及び命令を定めているが、仮に、他法令に基づく措置によって、迅 速かつ適切にその機能阻害行為を予防又は是正できるのであれば、その方策を追求するこ とが求められる。」とする。すなわち、勧告を行うべき状況になった場合で、勧告による措 置をとることと同様の効果がなされる場合に、その措置をとるようにという情報提供がで きるということである。 法文上限定のない情報提供の必要性の判断や提供する情報の内容の判断を全て内閣総理大臣に委ねることは適切ではないので、せめてこの基本方針案でいうことを明確な要件とし、 それに限定すべきである。
〇該当箇所 第51 関係行政機関の長に対する情報提供等
〇意見 内閣総理大臣が関係行政機関の長に対し情報を提供すると判断する必要性と提供できる情 報の種類を明確にすべき。
〇意見及び理由 法第21条第1項は「内閣総理大臣は、注視区域内において重要施設の施設機能又は国境離 島等の離島機能を阻害する土地等の利用を防止するため必要があると認めるときは、関係 行政機関の長に対し、当該施設機能又は離島機能の阻害の防止に資する情報の提供をする ことができる。」と規定しているが、どのような場合が「必要がある場合」となるか不明。
基本方針案では「法では、土地等利用状況調査を通じて確認された機能阻害行為を是正する ための措置として、勧告及び命令を定めているが、仮に、他法令に基づく措置によって、迅 速かつ適切にその機能阻害行為を予防又は是正できるのであれば、その方策を追求するこ とが求められる。」としている。すなわち、勧告を行うべき状況になった場合で、勧告によ る措置をとることと同様の効果がなされる場合に、その措置をとるようにという情報提供 できるということです。法文上限定のない情報提供の必要性の判断や提供する情報の内容 の判断を全て内閣総理大臣に委ねることは適切ではないので、この基本方針案でいうこと を明確な要件とし、それに限定すべき。
〇該当箇所 第51 関係行政機関の長に対する情報提供等
〇意見 「関係行政機関の長」とあるが、地方公共団体の長は、内閣総理大臣の「下」に位置するわ けではないので、要求を拒むことも可能なはずである。地方公共団体の独自の判断を尊重す る旨を明記すべきである。
〇該当箇所 第5 2 国による土地等の買取り等
〇意見 国による土地等の買取りを行うための要件を明確にすべきである。また、当該土地等の利用 斜塔が買取りに応じるような圧力をかけるようなことは禁じるべきである。
〇意見及び理由 法第23条の買取りの制度は事実上の軍事目的による土地収用の復活と批判されている制 度である。ここでいう防止すべき「機能阻害行為の用に供される」見込みとはどのようなものであるのか、「国が適切な管理を行う必要」とはどういうことなのかについて、内容が明 確ではない。この制度を続けるのであれば、基本方針案では、これらの要件について、明確かつ具体的に規定すべきである。また、基本方針案では、買取りの申出に応ずるか否かはそ の土地所有者等の判断に委ねられると当然のことを書いてあるが、それに続けて「国には、 当該所有権等を有する者の理解が得られるよう、最大限の努力を払うことが求められる。」 としており、買取りのために住民の側からすれば相当強い圧力がかけられることが予想される。「国には、当該所有権等を有する者の理解が得られるよう、最大限の努力を払うことが求められる。」は削除し、国は当該所有者等に対し圧力となるような買取りの働きかけは しないとすべきである。
該当箇所 第5 2 国による土地等の買取り等
〇意見 国による土地等の買取りを行うための要件を明確にすべき。また、当該土地等の利用者等が買取りに応じるような圧力をかけるようなことは禁じるべき。
〇意見及び理由 法第23条の注視区域内にある土地等で機能阻害行為に用いられることを防止するために 国が適切に管理する必要があるものの買い取りに努めるという制度だが、これは事実上の 軍事目的による土地収用の復活と批判されている制度。基本方針案では、買取りの申出に応 ずるか否かはその土地所有者等の判断に委ねられると当然のことを書いてあるが、それに 続けて「国には、当該所有権等を有する者の理解が得られるよう、最大限の努力を払うこと が求められる。」とし、買取りのために住民側からすれば相当強い圧力がかけられることが 予想される(辺野古新基地建設では、沖縄県民の度重なる反対の民意が示されたが、国は「引き続き丁寧な説明を行う」と言いながらあらゆる手段を講じて工事を続けている)。 沖縄県では、戦後、米軍により「銃剣とブルドーザ」で県民の土地が強制接収されたが、今 度は本法を根拠にし、日本国による強制接収が可能になるように思える。また、辺野古以外の基地問題として嘉手納基地周辺住民3万5566人が令和4年1月に第4次嘉手納爆音差止訴訟を起こしたが、本法でいう防止すべき「機能阻害行為の用に供される」見込みとは どのようなものか、「国が適切な管理を行う必要」とはどういうことかについて、内容が明確でなく、殺人的な爆音を止めろ、静かな夜を返せという地域住民のささやかな願いを「第 3者行為論」という国民の基本的人権を無視した米軍の無法・違法を容認する馬鹿げた理屈 を盾に損害買収請求は認めても飛行差し止めは認めなかった事からも今度の裁判では本法 を盾に爆音差し止めの運動への圧力や裁判の結果に影響を与えるのは必至である。北谷町砂辺区のように変わらない現状に憂い、引っ越しが相次ぎ、地域の文化や伝統芸能等への影響は甚大で本法の施行による影響は避けられない。 この制度を続けるのであれば、基本方針案では、これらの要件について、明確かつ具体的に 規定すべきである。また、「国には、当該所有権等を有する者の理解が得られるよう、最大 限の努力を払うことが求められる。」は削除し、国は当該所有者等に対し圧力となるような 買取りの働きかけはしないとすべき。
〇該当箇所 第5 2 国による土地等の買取り等
〇意見 「国による土地等の買取り」は、所有権等を有する者の側からの申出に限るとするべきであ る。 〇理由:国からの買取りの申出があった場合、「所有権等を有する者の判断を尊重する」と 書いてありながら、実際には拒否できない(当該土地等の利用を制限され、かつ「理解が得 られるよう、最大限の努力」という圧力が加えられるため)、実質的な強制収用となる。「第 4 3(2)」の補償において土地収用法を援用することと併せ、憲法の平和主義の下、「軍 事目的の強制収用をしない(土地収用法の対象としない)としてきた趣旨を大きく変えることになる。法23条と「基本方針」をもって、土地収用の原則を根本的に変えるのは、立法 府軽視も甚だしい。
〇該当箇所 第5 3 土地等利用審議会の概要及び役割
〇意見 土地等利用状況審議会の委員は、真に「公正中立な立場から調査審議を行う」ことを担保するため、その選定・構成において、この法律に批判的な立場の有識者も審議会委員の一角を 占める構成にする旨を明記すべきである。
〇理由 「審議会=お墨付き自動販売機」という見方が社会の一般常識のようになってしまっている現状がある。これは「運用主体にとって好都合」とばかりはいえない。国民の信頼をえられなければ、結局は法の運用は滞ることになる。国会での参考人質疑で反対意見を述べた参考人とか、この法律制定に反対した野党から推薦を受けるとかを積極的に考えて然るべきで ある。
〇該当箇所 第5 4 法に基づく措置の実施状況の公表
〇意見 土地等利用状況審議会の審議の公開を明記すべきである。最低限、議事録は、逐語的なものを委員の名前も「黒塗り」することなく公開する旨を明記すべきである。
〇理由 「審議会の公開」への努力は以前から少しずつでは取り組まれており、議事録は公開が原則 となっているにも拘わらず、委員の名前も意見も全部黒塗りという審議会もいまだ存在す る。隠し事が多ければ「公正中立な立場から調査審議を行」っていないと疑われることにな り、土地等利用状況審議会委員の名誉にも関わることになる。
(参考)
<パブコメの対象など>
◆対象となる基本方針案(これがメインです)、施行令案(政令案)、施行規則案(内閣府
令案)、郵送の場合の意見提出用紙(基本方針案、政令案、内閣府令案)は以下にありま
す。
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=095220660&Mode=0
とりわけ重要な基本方針案はこちら
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000238921
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◆意見提出用紙を郵送する場合
〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
内閣府 政策統括官(重要土地担当) 意見募集担当
※封筒表面に「重要土地等調査法に関連する基本方針案、政令案及び内閣府令案に関する意
見」と朱書きしてください。
(古賀 真子)