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5/29まで「でんきの市場価格高騰」問題にパブコメをを出しました

2020年度冬期の電力需給ひっ迫・市場価格高騰に係る検証中間取りまとめ(案)及び一般送配電事業託送供給等約款料金算定規則の一部を改正する省令案等の概要に対する意見募集|e-Govパブリック・コメントが締め切られました。

電気料金高騰対象となった消費者は一部ですが、電力市場が未成熟であったために価格が高騰し、一部の事業者に多大な利益が還元され、影響を受けた事業者、消費者には公平な形で還元されない提案がされていること、また、電力自由化および再生エネルギー普及の障害となる制度としての設計不備が露呈した問題です。
【パブコメ掲示URLはこちら】
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620121018&Mode=0
 
コンシューマネット・ジャパンの意見

(総論)

1.関西電力の原発(高浜3、大飯3)の再稼働が予想外に遅れたことが、LNGの在庫切れの大きな要因となった可能性がある。このことについて、改めて検証を行うべきである。原子力など大規模集中電源への依存が需給逼迫のリスクにもなることから、レジリエンス強化のためにも分散エネルギー化を進めるべきである。

2.特に再エネ新電力(FIT電気や市場電気の割合が高い)が大きな損失を抱えることになった。今回の価格高騰は制度の不備のため、補正をして影響を受けた事業者に還元をするなどの措置が必要である。

該当箇所へのコメント

・(10ページ)関西電力の原発(高浜3、大飯3)の再稼働が予想外に遅れたことが、LNGの在庫切れの大きな要因となった可能性がある。このことについて、改めて検証を行うべきである。

・(48~50ページ)今回の事象で、特に再エネ新電力(FIT電気や市場電気の割合が高い)が大きな損失を抱えることになった。今回の価格高騰は制度の不備のため、市場価格およびインバランス料金の算定について補正を行い、送配電事業者の余剰利益を影響を受けた小売電気事業者に還元をするなどの措置が必要である。インバランス料金の延納や貸付は、一時的な対処療法に過ぎず、消費者が負担する電気料金支払いが繰り延べされるだけであり根本的な解決策とはならない。

中間とりまとめでは「市場高騰後に送配電事業者が得た大量の余剰利益を、過去の送配電の赤字の解消にあて、残りを託送料金に合わせて配分する」との論議がされているが、託送料金はそもそも送配電のネットワークに要する費用として限定すべきである。返金配分は、高額なインバランス料金を支払った事業者に配分し、高額な電気料金を支払った(または支払う)需要家に還元すべきである。

 ・(79~80ページ)FIT電気の送配電買取(FIT特定卸供給)についても同様で、余剰分はFIT賦課金の軽減に充てられるとされているが、補正をおこなって小売電気事業者に還元すべきである。

・(83~84ページ)原子力のような大規模集中型電源への依存が大きなリスクであることが改めて明らかとなった。容量市場によって、原子力や石炭火力などを温存することは、むしろ市場価格高騰のリスクを高めてしまう。容量市場を白紙から見直し、戦略的予備力(公的主体が決定した、緊急時に不足すると見込まれる容量の電源を、系統運用者が予め確保するための制度)など別の方法を検討すべきである。

・(87ページ)

 信頼性の高い電力システムの市場を構築するため、旧一電の独占状態を解消し、公平公正、透明性の高い卸売・小売取引ができるよう市場整備を進めるべきである。

市場高騰の発生リスクが大きいままでは、新電力事業者の経営を危うくするとともに、再生可能エネルギー利用(または選択)による普及への大きな阻害要因となる。発電と送配電を併せ持ち電力売買に非対称的な競争条件にを維持している旧一電事業者の利益還元構造を解消し、公正な競争環境が確保できる自由で透明性のある市場メカニズムを整備、構築していただきたい。

まとめ

仕入れ価格が上がれば、一般的には最終価格であるわたしたちが支払う電気料金が上がる。仕入れ価格が電気料金に連動する価格体系をとっている新電力の利用者には、今回のような値上がりがあることが明らかになった。今回、契約している新電力が、数千万・数億円単位の値上がり分を抱えることとなったと言われており、同じことがまた起着れば、新電力はまたその損失を抱えられない。

新電力は直接買いができず、送配電事業者がいったん「高いFIT価格」で買い取り、新電力に市場価格で引き渡すために、このFIT電気の仕入価格も、連動して高騰したと言える。

市場価格がFIT価格より安いということが前提であったが、2021年1月の市場価格高騰では、市場価格がFIT価格の「6倍」にもなった。再エネ新電力は、その価格でFIT電気を引き取らねばならなかった。1月の市場価格高騰は、一部の新電力だけの問題ではない。

今でも発電と小売のシェアは大部分を大手電力が握っている。電力市場のシェアは4割程度、そこにも大手電力が半分くらい電気を売っている。

この大きな力の差がある中で、市場価格高騰が発生し、多くの新電力が打撃を受けました。新電力が倒産していくことになれば、大手電力による独占がさらに強くなる。健全な市場で消費者の合理的な選択権が保障されるシステム改革を改革理念の原点に帰って貫徹していただきたい。

                                               以上

                                          (古賀 真子)

 

 

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