消費者のための安全安心情報サイト

不動産取引の重要事項説明へのIT 活用はありか?不動産の買い手、借り手に対面説明は不要?

国土交通省 土地・建設産業局不動産業課に中間とりまとめについて、意見を出しました。

2014年8月8日、「“賃貸・売買の不動産取引にIT 利用によって消費者トラブルが減少するか?”」というテーマで全国消費者団体連絡会で学習会が開催されました。

国交省では、不動産取引(賃貸・売買)の重要事項説明にITを利用する検討会が開催されています。現在『重要事項説明』は対面で行われていますが、この検討会の議論次第では、不動産も金融商品の目論見書と同じようにIT化され,必ずしも対面説明でなくても良いことにされようとしています。

「IT を活用した重要事項説明等のあり方に係る検討会」中間とりまとめについての意見募集について
http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo16_hh_000107.html

重要事項説明書には不動産の情報が詳細に書かれ、宅建取引主任者の2時間以上に及ぶ説明が義務づけられている

重要事項説明書には不動産の情報が詳細に書かれ、宅建取引主任者の2時間以上に及ぶ説明が義務づけられている

このIT化を強力に主張しているのは、新経済連といわれている、ベンチャー系の経済団体です。規制緩和を主張し、一般医薬品のインターネット販売でもかなり強引な主張を繰り返していましたが、規制改革と成長戦略の波に乗って、今度は不動産取引への本格的なインターネット業界の参入がもくろまれているとの見方もあります。

高齢者や取引に不慣れな消費者への大切な説明義務を代替する手段として、不動産の取得にIT 活用はどこまで許されるのでしょうか。一生に一度の大きな買い物である不動産取得と、学生さんの下宿などの単身者のアパート探しは別個に考える必要もあります。大学生協連では、遠方から下宿探しのためにネットによる手続きの簡略化を望む声があることも指摘されています。一律にネット解禁を推し進めることは慎重であるべきですが、消費者保護の視点に立った利便性を考えることも必要です。

一方で、不動産取引にかかる消費者トラブルは決して減少しているとは言えません、国民生活センターの苦情相談は2012年度第4位となっています。不動産取引にかかるさまざまな観点からの検討が必要です。

国交省から『重要事項の説明のIT化』に関する中間報告については、以下のパブコメを提出しました。今秋には本格的な議論が始められます。引き続き注目していきましょう。

【意見】重要事項説明等へのIT 活用は原則として反対します。但し、学生の単身用のアパートなどについては、十分な情報提供がされることを前提として、一部ネットによる方法を採用する類型を検討する余地はあると考えます。

(理由)宅地建物取引におけるトラブルの発生状況やトラブル防止を背景に取引規制を強化してきた歴史的経緯及び、不動産取引における高額な被害防止のため。参考資料3 では各地方整備局等及び47 都道府県の宅地建物取引業法主管課における来庁相談件数が示されているが、国民生活センターのデータによると賃貸不動産の原状回復トラブルは13,903 件、また、同センターのネット通販トラブルは2013 年203,011件にもなっており、対前年約27,800 件の増加となっている。これは、重要事項説明が義務つけられている現状でも改善すべき問題であるが、ネットによる簡易化では、益々被害が発生する恐れがある。

中間とりまとめでは、IT 活用において期待されるメリットとして「健全な市場の拡大がもたらされる可能性があるのではないか(p2)」と取引の効率化と消費者保護の両立について希望的に述べられる一方で、「IT を活用した重要事項説明の具体的やり方についての市場慣行は現状において存在せず(p4)」という現状についても記されている。トラブルの更なる増加を防止するためにも、簡易な手続きはさけるべきである。

古賀 真子

カテゴリー