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もっと知りたいフッ素の話 その49 包括的かつ多因子による学校での虫歯予防計画に見る長期的虫歯罹患率

アメリカ医学会雑誌より、秋庭さん情報です。

包括的かつ多因子による学校での虫歯予防計画に見る長期的虫歯罹患率 

                                     解説と訳 秋庭 賢司

JADA(アメリカ歯科医師会雑誌)2021年3月号p224-233 著者Jacqueline R Star 他

 背景 子どもの虫歯罹患率は、世界ではここ30年間(1990-2010)変化がなく30%を超えている1)。学校に根ざした虫歯予防計画は罹患率を下げ、伝統的な治療の範囲(従来の歯科医院での治療)を拡大してその障壁を取り除き、ちなみに予防治療はエアロゾル飛沫対策をした状態で実施された。

この研究の目的は学校を拠点とした複合的(複数の組み合わせ)な虫歯予防計画の効果、エアロゾル対策をした臨床的効果をさぐる事である。

 研究方法 フッ素化地区と非フッ素化地区での合衆国公立33小学校、6927人6年間の前向きコホート研究

年2回の歯科衛生士による学校訪問で、歯科検診のあと①予防治療(暫定的なグラスアイオノマーシーラントと充填、フッ素入りバーニッシュ塗布)②口腔衛生教育(歯磨きとフッ素入り歯磨き剤)③必要があれば歯科医への照会。

未治療虫歯の罹患率の変化を推定するためにGEE(Generalized Estimating Equation:一般化推定方程式)理論を採用した。

 結果 未治療の虫歯は50%以上減った;第1群は39%から18%へ、第2群は28%から10%。1回訪問当たりの未治療虫歯本数のオッズ比は0.79(95%信頼区間、0.73~0.85)であった。

 結論と実用的な意義

学校を拠点とした包括的虫歯予防計画は、子どもの未治療の虫歯減少に相当関与し、診療室やエアロゾル対策した地域に根ざした医療を含め、従来の治療を拡大させる構想を支えている。

解説

33校 5~12歳 6927人:内訳(白人1209,黒人393,アジア人230,その他50,不明4767)

第1群:6校 2588人

第2群:27校 4339人

合衆国は、子どもの虫歯を解決しようと子どものメディケイド医療費を3倍以上にし2)(年間400万ドルから1200万ドル)、歯科医師を20%増やした3)(163000人から199000人)。

しかし、全国レベルではこの投資は子どもの虫歯経験に殆ど効果が無かった。乳歯では0.6%(51.5から52.1%へ)永久歯は-3.8%(21.2%から17.4%へ減少)4)。文献1~7 JADA

過去15年間に学校に根ざした虫歯予防計画は大きく増加した。

論文の指導教授であるニューヨーク大学歯学部Niederman教授は「学校に根ざした口腔衛生プログラムは、ずっと長い間健康格差と治療費を節約できる」と述べている。

小学生の5人に1人は未治療の虫歯がある。虫歯は歯科受診と家庭での養生(ケアー)で防げるが、治療費の支払いや付き添いの為に会社を休めないことの葛藤がある保護者もいる。学校での口腔衛生計画は治療に子どもを連れて行く、というより基本的な歯科ケアーを子どもに届ける意味合いがある」と述べている。

2010年に合衆国政府は2020年までに子どもの虫歯を10%減らす、と言う目標を立てた。

我々の研究はその5倍(50%)を達成した。もしも学校での虫歯予防計画が全米に拡大すれば、子どものメディケイド治療費は半分になると試算する研究者もいる。

参考文献:JADAに掲載あり

1) Peres MA,et al. Oral disease a global public change.Lancet.2019;394(10194):249-260.
2) Centers for Medicaire & Medicaid services. CMS National Health expenditure data:

Accessed May 17,2019.

3) American Dental Association Health Policy Institute. Supply and profile of dentists.

Accessed May 17,2019.

4) Centers for Disease Control and Prevention .Oral Health Surveillance Report.

US Department of Health Human Services;2019.

 

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