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コロナ対応を知るシリーズ4 新型コロナウイルスへの対応を考える ~3つの観点から~ 田中真介(京都大学)

オリンピック、パラリンピックの延期が決まり、首都圏では週末の往来が制限される事態となりました。3つの「蜜」の強調やますますの感染拡大制限への個人の努力が要請されています。国会の論戦も経済対策や財政出動に移りつつあります。2009年の新型インフルエンザ流行をうけ、内閣官房直結で新型インフルエンザのパンデミックに備えた会議が積み重ねられ、直近では昨年11月に動画なども公表されています。しかし今回の対応が適切であるかはまだわかりません。

今回は再度、田中真介さんにこれまでの経緯を踏まえて新型コロナ対応を寄稿いただきました。大学での対応にも苦慮されるなか、わかりやすくまとめていただきましたのでご紹介します。

新型コロナウイルスへの対応を考える ~3つの観点から~

田中真介(京都大学)

京都大学では、2009年の「新型」インフルエンザへの対応を考える際、①病原性の高さ、②感染の規模と広がり、③感染力の強さと感染実態、れら条件を重視しました。今回の新型コロナウイルスによる感染症COVID-19では、「病原性」はインフルエンザ<新型コロナ<SARSの順で高く、「感染の規模」は2大陸以上に広がっます「感染力と感染実態」については、症例報告から、換気が不十分な狭い空間の中に、一定数以上の人たちが密集し、至近距離」となった場合に感染の確率が高く留意が必要。以下の3の観点をもとに、ウイルスによる感染症への対応を考えます。

■(観点1:感染・発症状況)新型コロナウイルスの病原性のレベルを示す(人口あたりの)感染率重症致命率は、高齢者で高い傾向にあり他の年齢層では例年の季節性インフルエンザを下回っています。特に乳幼児の感染や発症は少なく、わが国では重症例や死亡例は報告されていません(子どもの感染率・重症化率が低い理由はよくわかりません)。高齢者及び礎疾患のあるたち(糖尿病、心不全、腎障害・透析や生物学的製剤・抗がん剤・免疫抑制剤の投与中、また妊婦への支援が重要となります

■(観点2:インフルエンザとの比較)わが国での季節性インフルエンザの発症者数は、1シーズン20~30万人以上に達します。若年層の感染率が高く40歳以上の発症数は少ない傾向にあります。また、インフルエンザでの死亡者数は、「超過死亡」数(インフルエンザの影響によって既往症が重篤化して死亡した事例)を含めると1シーズンで平均1万2000人と推定されています(厚労省、国立感染症研究所)。インフルエンザそのものによる死亡者数は、2018年は3325人。2009年の「新型」インフルエンザ発症者数21万人、死亡者数は2185人でした。このA/H1N1型ウイルスはのちに季節性と認定され、近年のインフルエンザA型の主流となっています。新型コロナではインフルエンザと対照的に成人の発症率・重症化率が高いことから、肺炎を起こしやすい高齢者をケアし重篤化を防ぐことが対応の鍵です。

観点3予防の方法コロナウイルスそのものは、既存の、カゼの原因となってきたウイルスです。大きさは、0.1~0.15μ以下(ミクロン。1μは1/1000mm)。マスクの網の目を余裕で通過します。インフルエンザウイルスよりさらに小さく、ウイルスをサッカーボールとすると、通常のマスクの網の目は東京ドームくらいです。非感染者がマスクや手洗いをすることによって大規模な感染が予防できたことを実証した研究はありません。マスクや手洗いは、感染者・発症者が行う場合に、ある程度の感染抑止(感染確率の低下)の効果があると期待されます。

 ウイルスはときに自分の存在を賭けて私たちに「そんな暮らし方してていいの?」と問いかけます。人間にとって病いとは、自らの心身の変化を願い、助けを求めて発信される「SOS「メッセージ」でもありますそしてあなたが「回復」するとは、病気が治って単にの自分に戻ることではなく、病いを経験して心身の不調と共に過ごしそれをすべて受けとめ上で今の自分をつくりあげていったその豊かな道行のこと病気から回復する力と可能性をもった人だけがその病気になることができる、といってもよいでしょう。  

2020324日(火)田中真介、修正3次稿)

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