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公益通報者保護法が閣議決定されました

2020年3月6日、「公益通報者保護法の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。

公益通報者保護法は2006年4月に施行されて以降、法施行後5年をめどに見直しを行うことが附則に記載されていたにも関わらず、これまで抜本的な改正が一度も行われてきませんでした。

企業の内部通報制度が機能せず大きな不祥事に発展した事例や、通報者が企業から不利益処分を受けた事例は後を絶ちませんが、公益通報者保護法は、通報者が企業から不利益処分を受けないことで、国民生活の安定や社会経済の健全な発展に資することを目的としています。

今回の法案は、

・通報者の範囲に、退職者・役員を含める(現行法は社員のみ)

・通報対象の範囲に、行政罰の違反行為を含める(現行法は刑事罰の対象行為)

・大規模事業者(国・自治体含む)に内部通報体制の整備義務づけ(現行法は義務なし)

・報道機関等に通報した場合の保護要件に、財産に対する重大な危害を追加(現行法は生命・身体の危害がある場合のみ)

・通報に伴う損害賠償責任について、通報者が保護の対象となる公益通報を理由とした損害賠償責任を負わない旨を規定(現行法は規定なし)

などの点において、消費者委員会ので専門調査会報告書にほぼ沿って整理されたものです。また、現行法には規定がない「守秘義務」が措置されることになりました。

1.残された課題

①「不利益取り扱いに対する行政措置等」の論点について、専門調査会報告書では、「通報を理由として通報者に不利益取扱いをした事業者に対する行政措置を導入すべき」として、「助言・指導・勧告・公表」について言及されていましたが、今回の法案では措置されず、附則第5条にて「施行後3年を目途とする見直し」が規定されるにとどまりました。

②「通報者の範囲」について、退職者の範囲が「退職後1年以内」に限定されたこと(報告書では「期間制限を設けないことが望ましいが、退職後一定期間内の者に限定する場合には、法制的・法技術的な観点から整理を行い、実態等に照らして合理的な期間を設定すべき」とされていた)

③通報対象事実の範囲について、追加されたのが行政罰の対象となる違反行為にとどまった。(報告書では「行政罰・行政処分の対象となる規制違反行為の事実を追加すべき」とされていた)

④報道機関等に通報した場合の保護要件の拡充(特定事由への追加)が、「通報者の特定につながる情報を故意に漏えいした場合」とされたこと(報告書では「事業者が内部通報体制の整備義務を履行していない場合につき、客観的・外形的に判断可能な要件について法制的・法技術的な観点から整理を行い、当該要件を特定事由に追加すること」とされていた)

⑤立証責任の緩和について、通報者が解雇及びその他の不利益取扱い(降格・減給・配置転換等)を受けたときは、通報を理由として不利益取扱いを受けたことの立証責任を事業者側に転換するとされなかったこと。

⑥通報者の範囲に、合理的範囲内での取引先等事業者を含められなかったこと。

今後も企業の懇プライアンスの向上と内部通報者保護法制に充実を求めていきます。


閣議決定されました。消費者庁提案の今期の他の法案も見てください

https://www.caa.go.jp/law/bills/

(古賀 真子)

(参考)

公益通報者保護法改正法案 未確定のサムネイル

 

公益通報者保護制度ガイドライン改正が公表

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