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抗インフルエンザ薬ゾフルーザによる副作用死急増~先駆け審査指定法はもんだいでは?

改正薬機法は国民の安全のために機能するのか?

2019年11月27日、大幅におくれていた「医薬品・医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律(薬機法)」が成立しました。今回の改正には。患者への迅速な情報提供のためとして規制緩和で承認を急ぎ、安全性有効性の確保が危惧される医薬品の「条件付き早期承認制度」と「医薬品・医療機器・再生医療等の「先駆け審査指定制度」の法制化、さらには医薬品等の安全性確保の施策実施状況を評価・監視する医薬品等行政評価監視委員会(第三者監視組織)の設置などが含まれています。

医薬品の適正な使用の大前提として前段階の医薬品自体が安全性が確保され副作用被害については迅速な情報提供や使用中止、救済がなされるべきです。しかし、先駆け総合評価相談、優先審査の対象として指定された抗インフルエンザ薬ゾフルーザに大きな問題があることがわかりました。

抗インフルエンザ薬はほんとうに必要か

インフルエンザワクチンの接種率は増加の一途をたどっていますが、ワクチンで防げるのであれば不要なはずの抗インフルエンザ薬の使用も増大しています。問題は副作用の実態です。

厚生労働省がまとめた昨シーズンの抗インフルエンザ薬の副作用報告の内容は衝撃的なものです。

現在、日本で主に使われている抗インフルエンザ薬は、タミフルとその後発品と、イナビル、リレンザ、ラピアクタ、それに昨シーズン本格的に使われるようになった新薬ゾフルーザがあります。これらの抗インフルエンザ薬の昨シーズンの推定使用患者数 992万人に対して、重篤副作用報告症例数が489人、死者が55人も出ていたのです

過去8シーズンの重篤副作用報告症例数は例年200人前後、死者数は10人前後から、昨シーズンは、それがぞれ2.5倍、5.3倍に急増。昨シーズンは、前年に比べて抗インフルエンザ薬を使った人が減っていたのに、重篤副作用報告症例数と死者数は逆に増えていました。

ゾフルーザで加速された抗インフルエンザ薬の副作用

ゾフルーザについては、CNJでも問題提起をしてきました。

予防接種ネット・de・講座 43回 インフルエンザウイルス増殖抑制剤ゾフルーザは安全か!?インフルエンザ対策どうすべきか?

ゾフルーザは改正薬機法にいうところの早期承認、申請からわずか4か月で承認販売されました。しかし、その有効性は既存のタミフル同様、症状がほぼ1日早く治まる程度にすぎません。そして高率で耐性ウイルスが発生します。

厚労省は2019年3月、添付文書の重大な副作用欄に「出血」を書き加えるよう指示しました。2019年6月には「ショック・アナフィラキシー」も書き加えられました。

さらに、2019年10月の安全対策調査会資料によれば、2018年9月から2019年8月までのゾフルーザ服用後の重篤な副作用報告は348人501件に上り、うち37人が死亡しています

2018年10月から2019年3月までのゾフルーザ推定使用患者数は427万人であり、極めて高率の死亡率です。厚労省は担当医が「因果関係あり」として33例全例を「情報不足により因果関係は評価できない」としています。

マスコミはなぜ報じない?

薬害オンブズパースン会議は、2020年121日付で、ゾフルーザの承認取り消しと先駆け審査指定制度の見直しを求める再要望書を、厚生労働省と製造販売業者(塩野義製薬)に送付しました。審議会でも問題にされているというのに、記者クラブで発表されないせいか、マスメディアは全く報じる気配がありません。

薬害オンブズパーソン会議のブログ

https://yakugai.hatenablog.jp/draft/QLNOEEWUN_J6ay9HN0mRvkdi-Ek

 

「毎年同じしくみで副作用報告を収集しているのに、ゾフルーザが市場に本格参入した昨シーズンに急に死者が増えています。マスコミ各社は書きません。ゾフルーザがA香港型ウイルスに耐性を持ちやすいということも、2018年秋の段階で分かっていたのに、学会がコメント出すまで書きませんでした。

新型コロナウイルスによる「脅威」が世界中を席巻しています。インフルエンザ同様、飛沫感染によるウイルスの侵入を防ぐ日常的な方法は感染源を遠ざけることが第一です。マスクバブルが起き、マスコミもバラエティ番組化しています。マスクと手洗いは飛沫感染の初期段階でのある程度の予防にはありますが、防ぎきれるものではありません。一方で感染源地からのチャーター便での濃厚感染が騒ぎになっていますが、不顕性感染概念を捨ててしまった日本ではうつる病気への基本的な対応すら危ぶまれます。ワクチンや薬の過大な評価も含め「うつる病気の基本」にもとづいた正しい感染症対策を求めていきたいと思います。

(古賀 真子)

 

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