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もっと知りたいフッ素の話 その36 母子の尿中フッ素濃度とIQに関する5件のフッ素研究 

FANニュース 2019 11/21   秋庭賢司さんのご報告です。                  

最近発表された母子の尿中フッ素濃度とIQに関する5件のフッ素研究(6,7は除く)。

 

  • Till ほか. 2019.11/18 :飲料水フッ素化でIQ低下、フッ素化の粉ミルクは更に低下。雑誌名Environmental International.  

 

  1. Fluoride exposure from infant formula and child IQ in a Canadian birth cohort.:カナダ出生児コホート研究での粉ミルクによるフッ素暴露と子どものIQ 

研究資金National Institute of Environmental Health Sciences (NIEHS) USA

母親の尿中フッ素濃度(胎児へのフッ素暴露と見なす);3~4歳児(IQ測定時)が対象。

人工乳(フッ素化の水で溶く)による出生児は母乳栄養に比べ動作性IQが低下する。

母乳栄養(BF:6ヶ月以上)200人、粉ミルク(6ヶ月以上、又は混合栄養)198人

情報源:Maternal-Infant Research on Environmental Chemicals(MIREC) Program

2008-11,から6都市のフッ素化、非フッ素化地区から抽出された母子(30-48ヶ月)。

158/398人(38%)はフッ素化地区在住であった。

  1. 母親の妊娠中の尿中フッ素濃度を3回測定(Indiana Univ.):これにより妊娠中の

フッ素濃度を推定

  1. 3~4歳児のIQ測定(Wechsler:2002)

ウィクスラー式(児童)IQ検査:全検査(FIQ)言語性検査(VIQ)動作性検査(PIQ)

  1. ①と②の単回帰分析の結果:(飲料水中フッ素濃度とIQ,人工乳のフッ素濃度とIQ)

飲料水中フッ素量0.5mg/L増えるにつれ動作性IQが9.3~6.2ポイント減少する。

人工乳では一日フッ素摂取量0.5mg増えるにつれ動作性IQが8.8ポイント減少する。

 

  • Green ほか.2019.8月:3~4歳でIQ低下雑誌:JAMA Pediatrics(アメリカ小児科学会雑誌)観察された尿中フッ素濃度は、「北米の女性に典型的な濃度である」としている。フッ素研究38号p72-73、2019に紹介

 

    1.  
    2. 米合衆国の母親の尿中フッ素濃度:0.6~1.5mg/L,メキシコの母親の濃度0.5~1.5mg/L
    3. 対象はカナダ6都市512組の母子 で、フッ素化地区の尿中フッ素濃度は非フッ素化地区に比べ有意に高い。尿中フッ素濃度が1mg/L増えるにつれ、男子のIQスコアーは4.49ポイント減った。しかし女子は優位ではなかった。妊婦の総フッ素摂取量が1mg 増えると、男女ともIQスコアーが3.66 ポイント減った。著書らによると、この研究で
    4. Association Between Maternal Fluoride Exposure During Pregnancy and IQ Scores in Offspring in Canada:妊娠中母親のフッ素暴露と子どものIQスコアー
  • Bashash ほか.2017: 4歳、6~12歳でIQ低下

 

  1. Prenatal Fluoride Exposure and Cognitive Outcomes in Children at 4 and 6–12 Years of Age in Mexico,:メキシコでの出生前のフッ素暴露と4歳児、6~12歳児の認知機能の結果:掲載雑誌Environmental Health Perspectives 2017.9月号

12年間299組の母子を経過観察した。妊娠中の尿中フッ素濃度は、出生児である4歳、6~12歳児の5~6ポイントのIQ減少の要因である、と報告している。

妊娠中の尿中フッ素濃度は、合衆国成人の尿中フッ素濃度と同様である。2.参照

この研究は、次の 4.Thomasほかの研究と同様に以下の資金援助による。

The U.S. National Institutes of Health, the U.S. Environmental Protection Agency, and the U.S. National Institute of Environmental Health Sciences.

 

  • Thomas ほか.201:1-3歳でIQ低下2018年3月ドイツで開催された疫学学会( conference on epidemiology in Germany)で発表され、Occupational & Environmental Medicine誌の3月号に抄録だけが掲載されている。ミシガン大学などを中心とした3の追加研究、メキシコで401組の母子を調査したもので、妊娠時の尿中フッ素濃度と、生まれてきた子どもの1~3歳までの知的発達指数(MDI)は逆相関し水道水や食塩のフッ素化は、小児の知的発達を阻害する可能性がある。また妊娠中の母親の尿中フッ素濃度は、米合衆国の女性に普通に見られる濃度である、としている。フッ素研究37号p53、2018に紹介。

 

  1. OPV – 2; Prenatal fluoride exposure and neurobehavior among children 1–3 years of age in Mexico,口演-メキシコでの出生前のフッ素暴露と1~3歳児の神経反応

 

  • Valdez ほか.2017:3-15ヶ月でIQが低下。

 

  1. In utero exposure to fluoride and cognitive development delay in infants:子宮内のフッ素暴露と幼児の認知機能発育の遅延

これはメキシコの3大学共同チームによって実施された最初の母子ペアー研究である。 掲載雑誌Neurotoxicology March 1, 2017. 

この研究は飲料水に高濃度のフッ素が自然に含まれる地区に在住する妊婦の調査(地域性フッ素症)である。

  • 65組の母子研究である。 • IQテストは生後3~15ヶ月に実施。
    • 水道水の81.5%以上は1.5 mg/L(1.5ppm)で最高は12.5/L(12.5ppm)であった。
    • 妊婦の33.8% は早産であった。著者らは「早産では、臨月出産に比べて妊娠3ヶ月の尿中フッ素濃度が高かった」と述べている。
    • 著者らは「60%の子どもたちがフッ素汚染水を飲用しており、対照地区ではIQが90以下の子どもたちは25%(尿中クレアチニンは1.5mg/g)であるのに比べ、フッ素暴露地区ではIQが90以下の子どもたちは58%(尿中クレアチニンは5mg/g以上)であった。 我々のデータは、フッ素暴露した母親から生まれた子どもの認知機能の変化は妊娠初期に始まっていることを示唆している。」と述べている。
  • Li ほか.2004:高濃度尿中フッ素群の生後1-3日の新生児の神経行動発育は有意に低い。

 

  1. Effects of high fluoride level on neonatal neurobehavioral development,

高濃度フッ素が新生児の神経行動発育へ及ぼす影響

中国語で2004年に発行され、,英語に翻訳されて2008年に再発行された。

掲載雑誌 Fluoride 41(2):165–170.2008.

91人(男46,女45)の正常出産新生児(生後1-3)を無作為に選び観察した。

陣痛前の妊婦から入院後に尿を採取をした。測定には標準的な神経行動評価法(NBNA)が採用され、専門家(NABAトレーニング計画により訓練された新生児部門で働く小児内科医)により実施された。

高フッ素濃度群の平均尿中フッ素濃度は3.58±1.47 mg/L,で,通常の尿中フッ素濃度0.18-2.6mg/Lに比べて有意に高く、対照群の平均フッ素濃度1.74±0.96mg/Lに比べ有意に高かった(p<0.01)。2群は同じ地域にあり、同様な気候、生活習慣、経済、栄養状態、文化的背景である。フッ素症地区と対照地区には工場によるフッ素汚染はない。

分娩、出生体重、身長、性別に有意差はなかった。

高フッ素濃度群と対照群との新生児の神経行動を評価した結果、高濃度フッ素群では

 

神経行動能力と筋緊張に障害が見られ総合評価では対照群に比べて有意に低かった(p<0.05)。

高濃度フッ素地区の新生児は、非生物学的、生物学的、音方向反応のよう各種神経

行動能力は対照地区の新生児に比べ有意に遅れていた(p<0.05)。

 

  • Chang ほか.2017:フッ素症地区の3.6,9,12ヶ月の新生児の精神発育指数は有意に低い。掲載雑誌 Chinese Journal of Control of Endemic Diseases 32(8):872-873.

 

  1. Analysis on the Effect of Coal-Burning Fluorosis on the Physical Development and Intelligence Development of Newborns Delivered by Pregnant Women with Coal-Burning Fluorosis, :煤燃料型フッ素症地区の妊婦から出生した新生児の肉体的、精神的発育への影響評価。妊婦の尿中フッ素濃度は測定していない
  • 観察群は煤燃型フッ素症地区で出生した新生児68人、対照群は健康な妊婦から臨月で出生した50人の新生児。生後3,6,9,12ヶ月後に知的発達テストを実施。

テストに使われた方法は MDI (Mental development index)とPDI( psychomotor development index)である(CDCCにより標準化されている)。

観察群の新生児の体重、身長、頭周囲長、上腕周囲長、上腕長は全て対照群に比べて有意に小さかった(P < 0.05)。

対照群新生児の生後3,6,9,12ヶ月後の体重、身長の発育は観察群より有意に大きかった(P < 0.05)。

観察群乳児の精神発達指数(MDIとPDI)は対照群に比べて有意に低かった(P < 0.05)。

フッ素症地区と対照地区の3村の経済的状態は全て同じであった。

この結果は、妊娠中の高濃度フッ素への暴露は、新生児の知的発育に顕著な影響を及ぼす事を示唆している。

 

*NTP(National Toxicological Program)レポートの草稿(135頁)2019年9月発行

発行元:Office of Health Assessment and Translation Division of the National Toxicology Program National Institute of Environmental Health Sciences National Institutes of Health

U.S. DEPARTMENT OF HEALTH AND HUMAN SERVICES

高濃度フッ素(1.5ppm以上)で子どもの中枢神経系への影響(認知、IQ低下あり

低濃度(1.5ppm以下)での子どもへの影響の証拠は不十分であるとしている。

2016年にもフッ素と認知機能低下に関するNTPレポートを出している。

フッ素化の政策とは無関係のPeer review であり、査読者の責任は問われない、としている。

査読の文献は2017年6月までであり、草稿には上記の5論文は含まれていない(?)

背景:NRCレポート(2006)でフッ素と発育中の脳への影響に関する論文検討があった。

NTPレポート(2016)では、フッ素の学習、記憶障害に関するホ乳類の動物実験の文献を検討した結果、低―中程度のエビデンスであった。使用されたフッ素は高濃度であり、低濃度飲料水での研究がなかった。成熟動物の実験では学習、記憶能力への中程度(強い)影響があり、発育中の動物へは低い(弱い)エビデンスであった。

今回のNTPレポートは、2016年以後のヒト疫学調査、動物実験、メカニズムに関する実験の最新知見を検討している。フッ素の発がん性に関するNTPレポート(1996?)は,ねつ造など作為的であった。

結果:149のヒトでの研究、339の動物実験、60(in vitro)の研究を精査し、82/149論文にフッ素と認知機能低下に関する報告がある。また甲状腺疾患、ほかの起こりうる疾患のメカニズム等がある。

35/339論文が学習、記憶障害の研究であり、そのほかは運動神経や感覚神経に関する研究である。

4コホート研究と9クロス表研究により、高濃度フッ素は子どもへのIQ低下に強く影響すると言える。成人では2クロス表研究があるが限定的で不十分である。

運動神経や感覚神経への影響は動物実験では結論づけられない。

結論:フッ化物は発育中の知能、神経系への危険因子であると言える。

この結論は、高濃度のフッ素暴露が子どものIQ低下やほかの認知機能障害に関連する、という人口数の違う幾つかのヒトでの一致した研究結果に基づいている。

しかし矛盾のない結果は主に高濃度フッ素(1.5ppm以上の飲料水)の場合である。

米合衆国で典型的に見られる飲料水フッ素濃度(0.03~1.5ppm)の研究(Jain 2017)では

フッ素濃度と認知神経発育機能への影響としての量、反応関係は一致していない、それ故不明瞭である。成人へのフッ素暴露とIQ低下や認知機能障害を決定する十分な証拠がない。

IQや認知機能障害のほかに神経発育の影響に関するヒトでのいくつかの研究がある。

結論はヒト研究、動物実験、密接に関連するメカニズム研究などを総合して評価が得られるが、この結論は主にヒトでのエビデンスに基づいている。動物実験によるエビデンスは認知機能障害を通告するには不十分であり、認知神経発育機能に関するフッ素の明確なメカニズムは十分に描かれていない。

 

個人的見解:上記4.7文献は参考文献に掲載されていない。

低濃度フッ素の影響については評価を巡ってFAN等がNTPの出版元に抗議をしている。

飲料水フッ素濃度ではなく一日総フッ素摂取量での評価が必要。低濃度でもフッ素の重複応用により害作用が出る。

合衆国の低所得者の半分以上はフッ素化飲料水を飲んでいない:都市部1171人の調査

毎日水道水を飲む48%,ボトル飲料水を飲む58%;理由:安全性に問題、まずい、汚い等。

(JADA:米国歯科医師会雑誌2019.6月号p503-513)。フッ素化の代替法を提起している。

NTPレポート(1990,12月)はフッ化ナトリウムの毒性と発がん性がテーマであった。

対照、及び25,100,175ppmのフッ素化飲料水で毎日2年間飼育し、オスラットだけに極めて希な腫瘍である骨肉腫が発症した(1/50匹、3/80匹)。

結論は5段階評価の3番目で、equivocal evidence(化学物質の濃度に応じて新生物の増加が見られる:推進派はどちらとも言えない、と訳している)としている。バテレ研究所の依頼で鑑定をしたがん病理学者のウイリアム、マーカス博士は、自分の鑑定を2段階下げられた、と内部告発したが解雇され、後に裁判で勝利し復職している。

本来、Clear evidence, Some evidence, No evidence, Inadequate studyの4段階評価であるが

マーカス氏によるとわざわざEquivocal evidenceを挿入したのだとのこと。

今回も2016年にフッ素の中枢神経系への影響に関するNTPレポートを出版しているにも拘わらず、また同じ内容で3年後に出版するのは 2020年2月のEPAを訴えた裁判対策ではないのかと疑われる。高濃度フッ素の影響を認めながら低濃度フッ素の影響を不明瞭として認めないのは極めて政治的と言わざるを得ない。

相田コメント

  • お茶はフッ化ナトリウムとは違う。

CDCはフッ素化の実施主体なので害作用は認めない。訴訟になったら勝てない。

原文FAN____2019 11__IQ__7__ till-2019 Infant formula and IQ Canadaのサムネイル

(文責 秋庭賢司)

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