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出力制御の公平性の確保に係る指針は公平か?~再エネ普及はどうする?

2019年8月23日から9月21日の間に、出力制御の公平性の確保に係る指針改正案に関する意見公募が行われました。

出力制御とは、電力会社から発電設備に対し、パワコンからの出力を停止または減らすよう要請して、発電設備からの出力をコントロールすることです。2015年1月26日に再エネ特措法が改正され、太陽光発電の出力制御ルールが変更になりました。

これまでの出力制限の流れ

前日
1.気象情報を受信(10時頃)
2.翌日の需要・再エネ出力の想定
3.翌日の発受電計画の策定
4.再エネの出力制御量の決定
5.出力制御の指示(オフライン事業者へ電話・メール等で連絡)(17時頃)

当日
6.気象情報を受信(4時頃)
7.6を受けて当日発受電計画を見直し
8.出力制御操作の実働

このやり方では、出力制御量の算出のために、再エネの発電量がどれくらいか想定する必要がありますが、正確な予測は困難として、出力制御量が不足しないように、最大誤差をもとに出力制御量が算出されていました。
出力制御量=供給(火力発電など従来の電源の供給力+再エネの出力想定+最大誤差)ー需要

しかし、2019年10月「出力制御の公平性の確保に係る指針」が改定され、すでに出力制御が実施されている九州電力でも、今後出力制御の運用が変わることが発表されました。
今回の改正では、「出力制御の上限(年間30日)に達するまでの間は、出力制御低減の観点から、オンライン事業者の制御回数がオフライン事業者より少ない場合でも公平性に反することにはならない」という変更が行われました。
8/23〜9/21の間でパブリックコメントが実施され、一部修正を経て以下の結果が公表されました。

https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/dl/fit_2017/legal/guideline_denki.pdf

旧運用では、「想定される最大の誤差」を踏まえた出力制御量が算出されていました。太陽光発電が前日予想よりもたくさん発電した際などに、「下げ調整力」、つまり供給が多すぎるときに供給を減らすために調整できる能力が不足しないよう多めの量を算出の上、出力制御指示が行われてきました。 今後は「平均誤差」で算出されるため、発生確度が比較的高い出力制御量が算出されるされます。
「最大」から「平均」に変わることで、旧方式と比較し前日に算出される出力制御量は低減し、「太陽光発電が前日予想と比べて発電量が少ない」場合などに、出力制御量を低減するのに役立つとされています。

この変更により、今後出力制御の低減に向けた柔軟な取り組みが実施されていくとされ、九州電力のシミュレーションでは、従来の運用よりも9%ほど出力制御量を低減できるとされています。

問題の背景

電気は生産(発電)と消費が同時に行われ、基本的に貯めておくことができません。刻々と変動している電力消費量に合わせて供給する電力量を常に一致させ続ける必要があります。これを「同時同量」といい、電力会社の大切な役割の一つです。
電力会社では、予測される需要(電力消費)に応じて発電計画を決め、発電所の稼働や出力を調整して需給バランスを保っていますが、需給バランスが崩れ、需要に対して供給が少なくなると周波数が低下し、一方、需要に対して供給が多いと周波数が上昇してしまいます。周波数が保てなくなると、電気を使用する設備への悪影響があるほか、最悪の場合は大規模停電発生の恐れがあるため、瞬時瞬時の需給バランスを保つことが大切だとされています。

出力制限の負担を負うのは?

出力制限をうけるのは、太陽光・風力の発電業者です。春秋など電力需要が落ち込むときに稼働停止を求められることが常態化しています。2018年10月13日で九州電力が離島以外で初めて実施して以後、九電の実施回数は1年間で約60日に上り、台風被害が生じた2019年10月13日、14日も実施されました。

九電管内での需要は夏場でも1700万キロワット程度ですが、九電の送電網につながっている太陽光は2019年3月末に853万キロワットと約半分になっています。2018年春から九電管内の原発が再稼働したこともあり、2018年10月13日に出力制御されたときは、九電管内の消費者や反・脱原発に取り組む生協団体などは反発の強い意思を明らかにしました。しかし、その後2019年4月から5月中旬までには30回とほぼ毎日出力制御は継続されました。太陽光はさらに2019年8月末時点で30万キロワット以上増加しており、問題は深刻化していました。

九州以外も四国電力や沖縄、東北電力、北海道電力などが再エネ事業者に対して出力制御の準備を要請している中で、今回のパブコメ募集と指針の改正実施となったわけです。

国は再エネを主力電源化する目標を掲げていますが、地域間の送電網の整備は進んでいません。出力制御は再エネの普及期に避けて通れない事象とされていますが、データ活用などにより制御を効率的なタイミングで行う取り組みや指針適正な運用には注目しつつ、再エネを普及させるために真に必要な政策はなにか。エネルギー基本計画における原発維持の姿勢を見直すなど、引き続き根本的な取り組みにうけた要請を行っていくつもりです。

パブコメの意見にあるなかで、九州地方を中心に脱原発の立場から再エネの普及に取り組んでいるグリーンコープ生協では多数の提出意見をされました。

圧倒的な意見は「出力制御対象が再エネ業者であることを見なおすべきであるというものでした。また、2030年のエネルギー政策の再エネの目標達成にも影響があり、根本的見直しが必要というものでした。オンラインとオフラインの出力抑制率について2倍以上の差があることから、は同一出力抑制についての国の認識に疑問を呈する意見、 オンライン化で数千万単位の出捐の設備投資の投資効果への疑問や、そもそも出力制御を全事業者負担とすることこそ、「公平」だとの意見がだされています。

パブリック・コメント意見公募の実施結果(グリーンコープ)のサムネイル

(古賀 真子)

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