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地方創生と消費者 その1 2040年問題とは?自治体活性化「構想」にどうかかわるか

2019年6月13日に消団連で行われた「自治体戦略2040構想と第32回地方制度調査会」のテーマで東京大学大学院政治学研究科教授の宍戸常寿教授の講演を踏まえて、地方創生のために消費者としてどのようにかかわるべきかを考えていきたいと思います。

宍戸教授は憲法の著名な教授ですが、情報法や行政問題にも精通されており、地方制度調査会の委員をされています。第32次地方制度調査会(以下調査会)は、18名の学識経験者と4名の衆議院議員と2名の参議院議員、岐阜県知事、山口県議会議長、福島県相馬市長、札幌市議会議長、熊本県嘉島町長、宮城県利府町議会議長の6名が自治体代表委員として総勢30名で構成されています。

http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/singi/chihou_seido/singi.html

調査会は直近の2019年7月2日には「人口減少が深刻化し高齢者人口がピークを迎える2040年頃から逆算し顕在化する諸課題とその対応について」中間報告を発表しました。(後掲)


中間報告とともに公表された資料は、現状の地方の取り組み、今後の取り組みに関して重要な示唆をあたえるものです。特に、参考資料1の2040年における人口構造の変化と自治体行政連携(圏域の中心都市とその近隣市町村の連携)の困難さ、地域ごとに異なる課題への対処、人材の希少化、行政のスマート化と公共私の共助の課題など。

一方、消費者庁も令和元年5月17 日「地方消費者行政強化作戦2020策定に関する懇談会」を開催しました。地方消費者行政の充実・強化のために今後の地方消費者行政の目指すべき姿を示した「地方消費者行政強化作戦2020」の策定を行うとしています。

地方創生はなぜ必要か

内閣の取り組み

もともと、内閣官房・内閣府 総合サイト では、まち・ひと・しごと創生総合戦略等、地方創生版「3本の矢」として、

情報支援の矢

人材支援の矢

財政支援の矢

などの項目について、取り組みを推進しており、地方創生政策として、地域活性化施策の活用実績特区設置、まちづくりなどを奨励しています。

特区

などの取り組みをすすめています。

具体的対策への緊急度は?

各地での取り組みが急がれる中、調査会が今回の案を出した背景には、2040年問題についての私たちの関心が低く、消費者、生活者として個人の老後問題を考えるにはもう少し大局からこの問題の本質を見ることが必要であることを示唆しています。

2040年の我が国の人口はどうなっているでしょう。2015年には年間の出生者数(人口動態調査より)は、98.2万人(世代人口)と100万人を切っています。2040年には、団塊の世代(1947年~49年生まれ)の人口が80.4万人、団塊ジュニア(1971年~74年生まれ)が182.7万人と予測されていますが、年少人口(0~14歳)は80万人弱となり、超少子高齢化の人口構造となります。

今回、2040年からのバックキャスティングとして、自治体のスマート化構想として行政サービスを共用し、過疎エリアを圏域で束ねるとともに、公ですべて行うことは無理として公共と私のベストミックスによりこの問題を解決しようという考え方については異論のないところでしょうか。しかし、自治体等のヒヤリングでは従来からの地域利益への還元をめぐって、スマート自治体(AI・RPAなどを活用し、職員の事務処理を自動化したり、標準化された共通基盤を用いて効率的にサービスを提供したりする自治体)への躊躇の声や、公共私、圏域については、「圏域」を法制化し,「圏域」が主体となって「行政のスタンダード化」への抵抗が強いことが指摘されています。

圏域問題は?

弁護士会などでは、2018年(平成30年)4月,「自治体戦略2040構想研究会第一次報告」について、(1)「これまでの広域連携の仕組みと異なり,自治体の個別事務ごとの自主的な判断ではなく,全国的に国が主導して,市町村の権限の一部を「圏域」に担わせようとするものであり,自治体が自主的権限によって,自らの事務を処理するという団体自治の観点から問題がある。また,住民による選挙で直接選ばれた首長及び議員からなる議会もない「圏域」に対し,国が直接財源措置を行うことは住民の意思を尊重する住民自治の観点からも問題がある。」として、憲法上の保障である地方自治の本旨との関係で看過できない問題である。」としています。また、(2) 「圏域」単位での行政の在り方を検討するに当たっては,「圏域」の代表的なものである連携中枢都市圏構想について,どのような成果を生み,あるいは,どのような弊害を生じさせたのか,実証的な検証・分析を行い,その評価を参考にすべきであるがそれがなされていない。また,市町村数をほぼ半減させた平成の大合併についても,実証的な検証・分析を行うべきであるがそれがなされていない。」としています。

確かに、「私たちの生活は,その地域の様々な自然資源から生み出される食料,水,エネルギーや生活素材,地域の産業によって成り立っており,気候その他の地理的条件を踏まえ歴史的文化的に形成されてきた生活様式や祭事及びその地域ごとの景観と自然環境が,文化的生活を形成してきました。他方,そうした生活とその基盤は,歴史的文化的に形成されてきたまとまりのある地域共同体によって制度的に支えられてきました(弁護士会意見書)が、今まさに、その共同体自体のありかたについて、変革を迫られているととらえるべきでしょう。

宍戸教授は地方制度調査会18回小委員会資料にある人口構造の変化のパターンのなかの④15~74歳人口が急減(25%減)、75歳以上人口が安定(25%減)すると思われる中核都市5とその他の316市、人口にして2224万人、団体として820(48.8%)の住民の意識を含めた地域活性化が重要とされています。

④は1700自治体の半分近くにあたる。若者を吸収しながらおいていく東京圏と支え手を失う地方圏をどうするか・標準的な人生設計は失われる・スポンジ化する都市と朽ち果てるインフレ~課題は多い

今後の議論に注目するとともに、身近な自治体の動向にも注視しながら、2040年について考えていきたいと思います。自治体や個人で地方活性化問題を考えている方、悩みに直面している方のご意見もお待ちしています。

info@consumernet.jp

(古賀 真子)


(参考)

2040年頃から逆算し顕在化する地方行政の諸課題とその対応方策についての中間報告(案)

目 次
まえがき
第1 2040年頃にかけて顕在化する変化・課題
1 地域において対応が求められる変化・課題
 (1)人口構造の変化と課題
  ①人口構造等の変化の見込み
  ②人口の減少に伴う変化・課題
  ③年少人口の減少に伴う変化・課題
  ④生産年齢人口の減少に伴う変化・課題
  ⑤高齢者人口の増加に伴う変化・課題
 (2)インフラ・空間に関する変化と課題
 (3)技術・社会等の変化と課題
  ①技術の進展
  ②ライフコースや価値観の変化・多様化
  ③災害リスクの高まり
  (4)変化・課題の関係性
2 地域ごとに異なる変化・課題の現れ方
 (1)地域ごとに異なる変化・課題の現れ方の例
 (2)地域ごとの長期的な見通しの必要性

第2 2040年頃にかけて求められる視点・方策
1 2040年頃にかけて求められる視点
 (1)変化・課題への対応の必要性と可能性
 (2)ひとに着目した視点
 (3)インフラ・空間に関する視点
 (4)技術を活かした対応を行うための視点
 (5)ネットワーク型社会において住民の暮らしを持続可能な形で支える地方公共団体の役割
2 2040年頃にかけて求められる方策
 (1)ひとに着目した方策
  ①地域社会を支える人材の育成
  ②多様で柔軟な働き方の実現と地域経済の活力向上
  ③地域の枠を越えた連携
  ④組織の枠を越えた連携
 (2) インフラ・空間に関する方策
  ① インフラ・空間の持続可能な管理
  ② 地域の枠を越えた連携
  ③ 組織の枠を越えた連携
 (3) 技術を活かした対応を行うための方策
  ① ひとへの投資
  ② インフラへの投資
あとがき

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