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どうなる?電気料金 2~電気経過措置料金は2020年4月以後も継続

2019年4月23日の電力・ガス取引監視等委員会の最終会議で経過措置存続ということで報告書がまとまりました。監視等委員会の親委員会でもこの結果が認められたようです。4月24日には基本政策小委員会でも同じことが報告されました。

【資料5-1】電気料金の経過措置に関する報告書(ポイント)のサムネイル

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2020年3月末まで残すとしていた電気の小売り規制料金の経過措置を同年4月以降も存続することが決められたわけです。小売り自由化で新規参入した事業者の中で、大手電力への有力な競争相手が存在しないと判断し、上限となる規制料金を残すことになりました。

CNJでは、経過措置料金の撤廃については注目してきました。経過措置撤廃に関しては監視委員会だけでなく、競争市場の研究会、消費者委員会の公共料金等専門調査会でも議論がされました。電力市場のモニタリング(17回)関係事業者や消費者団体のヒヤリングがされてきました。

どうなる?電気料金~ 1 2020年4月からの経過措置料金撤廃を知っていますか 監視委員会の議論に注目を!

 

2016年からの電力小売りの全面自由化後も大手を脅かす新規事業者は育っていない

2016年に始まった電力小売りの全面自由化で消費者は自由に電力会社を選べるようになりました。しかし、大手と競う新規事業者がなければ「規制なき独占」に陥り、料金がかえって上がることも考えられます。

とりまとめ案の中では大手電力と新電力の間で「現時点での競争圧力は不十分」と指摘。「電気の調達に係る公平性についての懸念も存在する」としており、競争が持続的に機能する環境とは認められないとしました。

実際に電力市場に競争が起きているのかについては下記の制度設計専門会合(第37回)‐配布資料が参考になります。

https://www.emsc.meti.go.jp/activity/emsc_system/pdf/037_07_00.pdf

スライドの58をみると、

2018年12月時点での新電力への契約先の切替え(スイッチング)実績は約14.2%(約890万件)、みなし小売電気事業者の自社内の契約の切替件数(規制→自由)は約8.5%(約532万件)であり、合わせて約22.7%(約1,421万件)。

○スイッチング率を地域別に見ると、東電PG管内(19.8%)が最も高く、次いで関電管内(17.9%)となっている。一方、中国管内(4.6%)や北陸管内(4.0%)では低調な推移となっている。

※広域機関のスイッチングシステムを通じた新電力への切替申込件数(2019年2月末時点)は約1083万件(全体の約17.3%)。

とされています。新電力の販売電力シェアが高い地域として、北海道、東京、関西が挙げられるとされていますが、今回経過措置を継続するのあたって見えてきたのは、全国的に制度設計そのものが競争環境を十分に整えるものとなっていないという深刻な現実です。

送配電部門における広域性や容量市場の問題、託送料金の今後の監視など、関連する論点についても引き続き関心を持っていただきたいと思います。

 

(古賀 真子)

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