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いまこそ真剣に考えよう~放射性廃棄物処理の実情と疑問~NUMO説明会報告

放射性廃棄物処分は今後のエネルギーに対する最重要な問題です。原子力発電設置のときから、「トイレのないマンション」と言われながら、処分問題が棚上げされてきました。3.11以降は特に関心の高いテーマですが、マスコミもふくめ、私たちには情報が正確に伝えられていないようです。

原子力発電環境整備機構(NUMO)は、原発から出る使用済燃料をに再処理してプルトニウムを抽出する過程で発生する高レベル放射性廃棄物の最終処分事業を行なうために2000年に政府が設立した事業体です。

政府はこれまで最終処分場を建設する候補地を全国でさがす調査を行ない、受け入れに名乗りを上げる自治体を募ってきました。これまでに、いくつかの自治体が応募の意向をもっていると伝えられたり、実際に応募しましたが、そのたびに住民から反対運動が起こり、立ち消えになってきました。

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NUMOの「科学的特性マップ」(クリックするとpdfが表示されます)

そこで経産省は、2015年に「科学的特性マップ」を公表し、調査対象となりうる自治体に国が受け入れを申し入れる方式に転換し、同年10月から全国各地で「科学的特性マップに関する意見交換会」を続けています。ところが、さいたま市内で2017年に行なわれた意見交換会の会場で、参加していた学生が「おカネをもらって出席」していることを学生が暴露。その後、他の意見交換会でも同様のサクラ参加者が雇われていたことがわかり、NUMOが陳謝する事態となりました。

今回はグリーンコープ法務部の方から投稿していただきましたのでご紹介します。


NUMO主催の科学的特性マップに関する対話型全国説明会参加報告

平成31年2月8日

グリーンコープ法務部

2月5日夜に佐賀県唐津市民会館で行われた原子力発電環境整備機構(NUMO)と経済産業省資源エネルギー庁との共催による高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する説明会の様子をご報告します。

(1)NUMOでは17年に国が公表した「科学的特性マップ」を基に全国的な対話活動を実施しています。市民との質疑応答を通じて高レベル放射性廃棄物の地層処分の仕組みや、処分の実現に向けた地質環境調査プロセスなどへの理解を進めることを目的として行われています。尚、この説明会は便益供与等による参加者募集や一般的な周知を超える参加要請をしないことを徹底して開催されていることになっています。

(2)プログラムは、映像/地層処分の説明が45分くらい、テーブルでのグループ質疑が75分くらい(途中休憩10分)で合計で2時間10分くらい、質間等は全て少人数テーブルで行われます。参加者7名位に説明者3名位が配置。このような感じです↓

(3)参加は高齢者が多く総数22名位で、主催者(関係者)は10名位居たように思います。属性については、参加者は全く不明、説明者では全体進行役のNUMOの地域交流部部長と資源エネルギー庁放射性廃棄物対策課長以外はわかりません。マスコミは開催規模の割には多く取材参加されていました。

(4)質疑応答は、地層処分を中心とした廃棄物処理の間題に限られ、原子力発電に関する政策の是非等は主旨から外れることが前提です。以前、参加した際には声高に主張される参加者も散見されましたが今回は比較的理性的なやり取りでした。

(5)説明会は既に多く実施されていることから質間への応答は資料の「Q&A」に整備集約されている印象があり、本日説明も丁寧な姿勢ではあるものの基本的にはこれに沿った回答でした。以下に「Q&A」から抜粋(且つ短く編集)します。他にも「原発稼働状況や再処理率を考えると現在想定されている最終処分場の貯蔵能力では実は不足するのではないか」「リスク管理が可能であることを様々示されているが計算根拠に納得がゆかない」「外部の研修者等が検証できるような情報開示が必要ではないか」「今回説明会の地に佐賀が選ばれた理由はここに候補地にしようとする目論見があるのか」等の意見/質間がありました。

Q:再処理工場は稼働しておらず「もんじゅ」も廃炉が決定され核燃料サイクルは破綻しているのではないか。

A:核燃料サイクルは、使用済燃料を直接処分する場合に比べてコストが高くなるものの、高レベル放射性廃棄物の体積が4分の1に減少し廃棄物の有害度が天然ウラン並みになるまでの期間が10万年から8000年まで短くなるメリットがある。17年の六ヶ所再処理工場の竣工時期の変更は安全性向上の観点から行われた。「もんじゅ」は廃炉措置に移行するが今後の高速炉開発に当たってはこの反省と教訓を踏まえ、コスト効率性の追求や責任体制の確立を図ってゆくので昨今の状況変化によっても核燃料サイクルの意義自体は何ら変わるものではなく高速炉開発を含めた核燃料サイクルの推進に取り組んでいく。

Q:地震調査研究推進本部が今後30年間に震度6以上の揺れに見舞われる確率などを示した地図を公表しているが、科学的特性マップにおいても南海トラフなどの大地震によるリスクを考慮しなくて良いのか。

A: 日本では多少の差があるものの地震の揺れから逃れられる地域はない。そのため廃棄体や処分施設が受ける地震の影響について個別地点において過去の地震の履歴などを綿密に調査・評価して起こりうる最大の地震動を想定し、工学的対策によって構造や機能の健全性が確保されるかどうかを検討する。地震の揺れによる影響は、一般論として地下では地表付近と比較して小さくなることや廃棄体と岩盤が一緒に揺れることから地下深部の処分施設に地上と同程度の大きな影響が及ぶことは考えにくい。

Q: 万が一、埋めた後に不測の事態があった場合はどうするのか。

A:人為的管理に依らず安全を確保できる状態にすることが地層処分の目標である。遠い将来に不測の事態が生じた場合のことも考慮してシミュレーションを行い、長期にわたる安全性の評価を実施し、あらゆる対策を施しても安全が確保できないと判断されれば地下のガラス固化体を回収し地上施設に戻す。全て埋め戻した後も一定期間は国の安全規制に従い万が一のことに備え、埋設後でも掘り返して対策を取ることは可能。不具合による影響の度合いと回収の困難性などを総合的に考慮する。

Q: 万年単位の話だがリスク対応・安全責任はどのように考えているのか。

A: 実験によって安全性を直接確認することができないため次のような手順で安全性を確認する(国際的に共通した考え方)。

①埋設後の長期安全性に影響を与えるかもしれない現象を網羅的に抽出する。マグマの処分場への貰入、著しい隆起侵食速度、鉱物資源の存在、高い地温熱水や酸性の地下水の流入、断層のずれ、好ましくない地質環境の特性等。

②放射性物質が地表まで移動することにより人間の生活環境に与える影響をさまざまな要囚を考慮して評価するケースなどリスク要囚がもたらす影響を定量的に評価する。

③解析モデルと解析に必要なパラメータを設定し人間の生活環境への影響を算出する。これら解析により安全性に及ぼす影響が大きい項目を抽出し地下施設の配置などの設計に反映させ、この手順を繰り返すことでリスクを小さくしてゆき、結果、安全基準を満たさなければ地層処分に不適と判断する。NUMOは原子力損害賠償制度に基づく賠償責任を負うが、NUMOが対応困難な事故等が発生した場合やNUMOが解散した後については国が必要な措置を講じる。

【補足情報】幅岡では3月9日(士)に北九州市西日本総合展示場AIM3階での開催が予定されています。

開場受付13:00、開会13:30、閉16:00

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