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もっと知りたいフッ素の話 その27 米国での歯フッ素症は、4人に1人(25.4%)が中度以上の歯フッ素症①フッ素入り歯磨き剤使用量への注意喚起

秋庭賢司さんからの最新情報です。フッ素入り歯磨き剤はやめましょう。

CDCレポート(2019.2/1):フッ素入り歯磨き剤使用量への注意喚起(FANニュースより) 

 

米国公衆衛生局(USPHS)は1962年に虫歯予防のために飲料水に添加するフッ素濃度を1.0(0.8-1.2)ppmとした。しかし歯フッ素症の多発により米国環境保護局(USHHS)は2011年にフッ素濃度を0.7ppmとし、さらに2015年には米国疾病管理予防センター(CDC)も0.7ppmの勧奨を出した。https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/003335491513000408

フッ素化開始当初の歯フッ素症は10%程度とされたが、歯磨き剤、フッ素塗布、フッ素洗口など虫歯予防フッ素製品の普及で総フッ素摂取量が増加し、フッ素症の最初の兆候とされる歯フッ素症が急増しており、CDCはフッ素入り歯磨き剤の使用量に注意を呼びかけている(以下にCDC機関誌の報告がある、2019.2/1)。

file:///C:/Users/akiniwas/Downloads/Toothpaste%20and%20toothbrushing%20MMWR.pdf

レポートのタイトルは: Use of Toothpaste and Toothbrushing Patterns Among Children and Adolescents — United States, 2013–2016Morbidity and Mortality Weekly Report, by Thornton-Evans G1, Junger ML1, Lin M1, Wei L2, Espinoza L1, Beltran-Aguilar E2.

このレポートの著者のうち4人がCDCの職員なのでCDCレポートと言われる。

 

報告では、3-6歳の1686人の幼児のうち38%が推奨量(豆粒大:0.25mgr)以上の歯磨き剤を使用していた。CDCによると歯の発育中に過量のフッ化物を飲み込むと目に見えるエナメル質の変色や表面の陥凹が起こりうる、としている。

したがってCDCは、3歳未満(2歳まで)は米粒大のフッ素入り歯磨き剤を使用すること。

3歳以上6歳未満は、嚥下反射機能が十分に発達し不慮の飲み込みを防げるまで豆粒大以下の使用量にすべきである、としている

CDCは妊婦、人工乳の乳児、腎疾患者やフッ素アレルギーの人などへの何の警告も無しに「全ての人に0.7ppmのフッ素化水を飲む様に勧奨している」。

CDCはこの報告書の限界として、以下の点を上げている。

  1. 使用量は両親の申告によるもので誤差がある。
  2. 使用量は調査時の量であり、過去の量は推定である。
  3. 歯磨き剤はフッ素入りかそうでないかを特定できていない。

 

CDCは過去5回(1988,1992,1994,2014,2015)歯フッ素症の報告を出している。

驚くべき事に、顕著に増加している歯フッ素症に関する米国国民保健栄養調査(NHANES)の資料(1986-2012など)を引用していない。Neurath ほか(2019, 印刷中) は、歯フッ素症に関する12-15 歳でのNHANESの資料によると: 22% (1986-1987), 41% (1999-2004) そして 65% (2011-2012)であったとしている。

Wienerほか(2018) は NHANESの資料から「16-17歳875名での歯フッ素症の調査は、

2001-2002年は、49.8%が正常、20.5%が疑問型、29.7%が極軽微型以上(軽度6.8%,中度1.6%,重度0%)であった。

2011-2012,年では 31.2%が正常, 7.5% が疑問型, 61.3%が極軽微以上(軽度8.3%,中度24.3%,重度1.6%)であった。

つまり2001-2002年と2011-2012年を比較して31.6%増加していた、としている。

(米国では、歯フッ素症はう蝕、歯周病と共に口腔の3大疾患と言われている:訳者注)

出典:Dental Fluorosis over Time: A comparison of National Health and Nutrition Examination Survey data from 2001-2002 and 2011-2012.

Wiener RC, Shen C, Findley P, Tan X, Sambamoorthi U.; Journal of Dental Hygiene ;February 2018: 92(1):23-29.

 

*アメリカ歯科医師会の歯フッ素症への対処法(以下参照):一部抜粋

https://www.mouthhealthy.org/en/az-topics/f/fluorosis

(米国歯科医師会はフッ素入り歯磨き剤のみを推奨している)

乳児から3歳まで

母乳を与える:米国小児科学会は、生後6ヶ月までの乳児にはもっぱら母乳を推奨(母乳が有害であると診断された乳児以外は)している。その後固形物を与え、少なくとも12ヶ月までは母乳を継続する。

もしも最初から人工乳を与えた場合は、乳児に最良の人工乳を与えられるよう医師と相談をする。

乳歯が萌出したら1日2回(朝と夜)歯ブラシをするか、歯科医や内科医の指導法による。

歯磨き剤の使用量が極少量か米粒大を超えない様に子どもの歯磨きを監視する。

3歳から8歳まで

1日2回の歯ブラシをするか、歯科医や内科医の指導法を継続する。

3-6歳は豆粒大(グリーンピース)以上の歯磨き剤を使わない。

多くの歯フッ素症は、歯磨き剤の様なフッ化部物製品を飲み込まないようにすることで防げる。飲み込み量を最小にする手助けをするために、子どもの歯磨き中に目を離さない。

6歳未満の子どもは歯科医や医療関係者からの助言がない限り、フッ素洗口をしてはならない。米国歯科医師会はこの年齢にはフッ素洗口を推奨しない。なぜなら6歳以下の幼児の多くは嚥下反射機能が十分に発達しておらず、吐き出し量より多くを飲み込みかねないからである。(以下原文:水道水フッ素化の有無やフッ素洗口の熟練さ、などとは無関係:WHOも禁忌としている.1984)


Do not use fluoride mouth rinses for children under six unless advised to do so by a dentist or other health professional. The American Dental Association does not recommend them at this age because many children younger than six haven’t fully developed their swallowing reflex and may swallow more than they spit out.

フッ素の動態と分布

国立医薬品食品衛生研究所 安全性予測評価部による欧州連合 リスク評価書(Vol.8,2001) フッ化水素の日本語訳(2018,11月発行)。

原文はhydrogen fluoride (CAS No: 7664-39-3)に関するEU Risk Assessment Report, (Vol. 8, 2001)。第4章「ヒト健康」のうち第4.1.2 項「影響評価:有害性の特定および用量反応関係」 https://echa.europa.eu/documents/10162/be5a5363-654a-4efd-beae-1abdf730245b

 

動態 [ ]内の解説は秋庭による.

フッ化物やフッ化水素の動態的側面を目的とした研究では、通常、イオン選択的電極、

または付随的に水素炎イオン検出型ガスクロマトグラフィーのような非常に高度なシステムが用いられるが、これらによって最終的に検出されるのは常にF-イオンである点に留意する必要がある。これらの方法はいずれも、検出されたフッ化物の元の資料の性質を識別することはできない。[フッ素化合物に酸性物質を加え強制的にイオン化して測定する方法]

フッ化物の動態については広範囲にレビューされている(例えばWHO 1984; Thiessen 1988)。

全ての無機フッ化物の吸収は、受動的なプロセスであると考えられる。どのような由来の無機フッ化物でも、まずはフッ化水素分子(非イオン性すなわち非荷電)として生体膜輸送される[胃内の塩酸と反応しHFとして胃壁を通過する:フッ素イオンは胃壁の通過に3.9時間、HFはわずか0.005秒である]と考えられる。生理的なpH条件下(弱アルカリ性の血液、組織間液、粘液)では、遊離フッ化物(従ってタンパクや脂質と結合していない)は主としてフッ化物イオン(F-)として存在する;全遊離フッ化物濃度のわずか0.01%が、イオン型と平衡状態にあるフッ化水素分子として存在する (Anonymus 1996)。吸収された無機フッ化物の運命および作用は、フッ化物の由来には影響を受けない(Thiessen 1988)

[自然にあるフッ化物でもフッ化ナトリウムでも全てフッ化水素になる]

 

分布

吸収後のフッ化物は血液中に運ばれる。血中のフッ化物濃度の75%は血漿中に存在し、残りは赤血球と結合している。血漿中のフッ化物の約50%は有機分子と結合して、主としてペルフルオロ脂肪酸(WHO 1984)として非イオン性の形で存在する[血漿中のフッ素イオンは10%程度、との報告がある]。

フッ化物は特定の組織に蓄積することなく全ての軟組織に分布する。また胎盤を透過し、胎児に到達する可能性がある。骨および歯でフッ化物が補足され、水酸基との置換[歯では否定されている]によりミネラル構造に取り込まれる。吸収されたフッ化物の約半分は骨の構造に沈着する。また一方、若者と高齢者ではフッ化物の骨への取り込みは中間年齢層よりも高い。血漿および骨のフッ化物濃度は曝露濃度に直接相関することが示されている(Morris, Smith 1982; WHO 1984; NTP 1990; Maurer et al. 1990; Maurer et al. 1993)

 

 

骨への影響

Riggs et al. (1990)は、閉経後骨粗しょう症の女性について、無作為プラセボ比較二重盲検臨床試験を行った。1 日当り平均 0.48 mg F-/kg当たり[内服量は多いが,糖衣錠として胃では溶けないようにしている]をフッ化ナトリウムとして 4 年間経口投与した結果、非脊椎骨の骨折率の増加および皮質骨密度の減少が認められた。しかしながら、海綿骨(網状骨)密度の増加は認められたが、脊椎骨骨折の有意でない減少傾向が認められたに過ぎなかった。投与された女性は、非投与の女性より有意に多くの副作用(胃の不快感、下肢の痛み)を報告した。この試験は適切に実施されていたが、この試験がフッ化物の経口摂取によるフッ素中毒のリスクを全面的に示すことにはならないだろう。なぜなら、非骨粗しょう症のヒトとは、骨およびカルシウムの恒常性、ならびにフッ化物に対する感受性が異なる可能性があるからである[骨ソショウ症のフッ化ナトリウムによる治療は現在行われていない、フッ化物による初期虫歯の再石灰化治療はこれと同じである]

フッ化物は、骨の他の成分が既に定常状態に達した後でも石灰化構造に沈着し続ける。当該となる大量のイオンを投与した後でさえ、主要な成分(カルシウム、リン、マグネシウム、炭酸 塩、クエン酸塩)は幼児期に最大濃度に達し、その後は基本的に変化しない。一方、1.0~4 mg/L の濃度のフッ化物を飲料水として摂取すると、骨のフッ化物は10倍増加する。

 

虫歯予防でも有機フッ素:デンタルフロスで血中の毒性フッ素上昇

米・数世代コホート研究  Medical Tribune 2019.1/30より抜粋(坂田真子訳)

毒性有機フッ素化合物(PFAS;per- and polyfluoroalkyl substances)は、撥水・撥油性、防汚性を有し日用品にも広く使われている。そのため、米国人の約98%は体内にPFASが蓄積しているとの報告があり、健康影響が懸念されている。米・Silent Spring InstituteのKatherine E. Boronow氏らはコホート研究の結果、デンタルフロスの使用など特定の消費行動と血中PFAS濃度上昇が関連することが示唆されたと、J Expo Sci Environ Epidemiol2019年1月8日オンライン版)に発表した。

消費行動と血中濃度との関連検討:PFASは、強力な化学結合により高温でも撥水・撥油性に優れる一方、難分解性といった問題がある。また、乳がん、小児への免疫毒性、甲状腺疾患、妊孕性低下などと関連しているとの報告もある。PFASはファストフードの容器、テフロン加工のフライパン、防水服、防汚カーペット、消火剤など幅広い製品に使用されており、これらと直接接触することや、食品や飲料水、室内空気などを介して曝露される。しかし、これまでその曝露経路を調査した研究はほとんどなかった。今回の研究の対象は1959~67年に米・カリフォルニア州オークランドで数世代コホート研究Child Health and Development Studies(CHDS)に参加した妊婦から出生した女性178人(アフリカ系米国人87人、非ヒスパニック系白人91人)。2010~13年に血液試料を採取し、2015~16年(48~56歳時、カリフォルニア州在住94%)に行動に関するインタビューを行った。多重回帰分析を用いて、PFAS曝露に影響すると仮定された自己申告行動6種類とPFAS 11種類〔ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)、ペルフルオロオクタン酸 (PFOA)、ペルフルオロデカン酸(PFDeA)、ペルフルオロノナン酸(PFNA)など〕の血中濃度との関連を調査した。

人種による有意な相互作用も:測定の結果、血中PFAS濃度は人種によって異なり、非ヒスパニック系白人女性は、アフリカ系米国人女性に比べてPFHxSおよびPFOAの濃度が高かった(中央値でそれぞれ34%、37%)。相互調整モデルでは、アフリカ系米国人女性は、非ヒスパニック系白人女性に比べて血中PFOA濃度の52.6%(95%CI 34.4~65.8%)低下と関連していた。また、アフリカ系米国人では、PFASがコーティングされた段ボール箱に入った調理済み食品を頻繁に消費すると、非消費に比べてPFAS 4種の血中濃度が89.6%(PFOA:同18.6~203.1%)~124.4%(PFDeA:同43.2~251.5%)上昇した。

PTFE含有デンタルフロスでPFAS濃度上昇:Oral-B GlideデンタルフロスによるフロッシングはPFHxS濃度の24.9%(95%CI 0.2~55.7%)上昇と関連していた。PFASで汚染された水が供給される都市での生活はPFOA(100.3%、同18.2~239.5%)、PFNA(83.6%、同 16.6~189.2%)およびPFHxS(103.5%、同10.3~275.2%)の濃度の上昇と関連していた。ただし、PFAS汚染水域に在住する6人がこれらの推定値の大きな変動要因になっていた。防汚カーペット・家具の所有は、全体ではPFNA濃度の上昇(18.7%、 同0.5~40.2%)に、非ヒスパニック系白人のみでPFDeA濃度の上昇(39.6%、同5.9~84.2%)に関連していた。

粒子線励起γ線放出法(PIGE)を用いてOral-B Glideの3製品を含む18種類のデンタルフロスを分析したところ、Glide製品は全てPFNAのマーカーであるフッ素を含有することが確認された。この結果は、Oral-B Glideはテフロン様化合物PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を使用しているという製品情報とも一致する。さらに”compare to Oral-B Glide”とラベル付けされた他社ブランドの2種類と、”シングルストランドテフロン糸”と表示された1種類のデンタルフロスがフッ素陽性を示した。

Boronow氏は「今回、PTFEを含有するデンタルフロスの使用により毒性有機フッ素化合物の体内蓄積リスクが高まることが初めて示唆された。われわれの調査結果に基づき、消費者はPFASを含まないデンタルフロスを選ぶ必要がある」と、リスクを回避する行動を呼びかけている。非ヒスパニック系白人女性でのPFOA濃度高値は米国民保健栄養調査(NHANES)でも確認されている。今回の研究でも、非ヒスパニック系白人女性は、アフリカ系米国人女性と比べて2種類のPFAS濃度が高い傾向にあった。これは今回評価していないものの、PFAS曝露に関連する他の行動が関連している可能性が示唆された。同氏は「今回の研究によって、大多数の消費者をターゲットとする製品がPFASの曝露源であるというエビデンスがさらに強まった。生体内への蓄積を減らすには、これらの化合物を製品に使用することの規制を優先的に取り組むべき」と指摘している。

環境中化学物質への暴露と子どもの発育中神経障害

著者:ハーバード大学医学部精神神経学科Bellinger DC.

出典:Environmental chemical exposures and neurodevelopmental impairments in children.

Pediatric MedicineDecember 31, 2018、1:9

概要:子どもは環境化学物質に最も敏感である。中枢神経系が最もターゲットとして感受性が高い。一般的に、その衝撃は化学物質の作用様式、濃度、暴露される成長段階に依存する。この論文では、水銀、鉛、ヒ素、フッ素、農薬など環境化学物質の影響のうち子どもの知的発育に焦点を当てる。

Abstract

Children are widely viewed as the population subgroup that is most vulnerable to the toxicities that result from exposure to environmental chemicals. Their enhanced vulnerability is due to a variety of behavioral and physiologic factors. For many chemicals, the central nervous system (CNS) is the most sensitive target organ. In general, the impacts depend on a chemical’s mode of action, the dose, and the stage of development at which exposure occurs. This paper surveys the toxicology of environmental chemicals, specifically the impacts on children’s intellectual development. It focuses on metals (or metalloids), including mercury, lead, arsenic, fluoride, as well as on pesticides, air pollution, synthetic organic chemicals, and endocrine disruptors. The final section discusses issues germane to estimating the global burden of disease associated with exposures to neurotoxic environmental chemicals.

 

解説と訳 文責 秋庭賢司 2019 2/8

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