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シリーズ 消費税率引き上げを考える~税制度の本質から問う 

国会が始まりました。私たちの生活に直結する増税、2019年10月に消費税率を10%へ引き上げるための議論がすすめられています。マスコミは、消費の冷え込みによる景気の腰折れに「万全の対策を講じる」とする政権の広報役を担っています。その唯一の対策?の目玉は軽減税率です。

国会議論が始まる前には、マスコミは、業者の事務作業が増えるとか、コンビニで食料を買うとき、持ち帰り(家庭食)なら8%、その場で食べる場合(外食)は10%、といった分かりやい例へ消費者の関心を惹き寄せています。

しかし、軽減税率付ならよいのか、もっと言えば、財源が必要だとしてもなぜ消費税増税ありきなのか、といったそもそも論はほとんど見受けられません。

東京大学名誉教授で会計学者の醍醐聡さんが、鋭い論稿を上梓されていますので、ご紹介します。詳細な論稿原文については末尾にご紹介いたします。

醍醐さんのメールより

軽減税率付きの消費税増税の2つの具体的な不条理

家庭食10%、外食8%は生活実態を無視した不当な差別

外食の割合(夕食の場合)

総 世 帯  : 20歳代  3.8%、30歳代  4.8%、 40歳代  5.2%

1人世帯 : 20歳代 19.2%、 30歳代  21.9%、 40歳代 23.9%

(厚労省「平成28年国民健康・栄養調査報告」)

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou/dl/h28-houkoku.pdf

(第10表、95~97ページ)

20~40歳代の単身世帯の場合、仕事明けの遅めの夕食は外食となる傾向が強いためと思われます。

外食に軽減税率を適用しないということは、外食=非必需≒贅沢、などという発想だとしたら、見当外れも甚だしいことです。

かなりの勤労者世帯、多くの単身勤務世帯の生活実態からすれば、家庭食か外食かで消費税率に差を設けるのは、極めて不条理と思えます。

 

軽減税率の逆進負担軽減効果はわずか

消費税率引き上げの脆負担緩和策として、特に逆進性緩和策として、軽減税率の使用が宣伝されていますが、その効果を試算したところ、結果は次のとおりでした。

http://sdaigo.cocolog-nifty.com/keigenzeiritu_no_koka.pdf

(総務省「家計調査」2015年より試算)

政府方針に従って軽減税率(8%据え置き)の主な適用品目を、酒類、外食を除く飲食品、新聞〔週2回以上発行・定期購読〕として試算

これによると、

2人以上/年収400~450万円の勤労世帯では:月平均の負担軽減額945円

単  身/年収200~300万円の勤労世帯では:月平均の負担軽減額451円

まさに焼け石に水です。

この程度の税負担軽減で逆進性緩和など、まやかしにほかなりません。詳しくは『文化連情報』2017年10月号以降掲載をご覧いただけましたら幸いです。(以上引用)

醍醐さんは、法人企業の財務データの推移を詳細に分析し、「法人税率の引き戻しによって約3.1兆円の増収を確保できる。」とされています。

また、消費税増税に頼らない財源案として、①法人税減税の中止、税率の復元、②不公平税制の典型例といえる株式譲渡所得の高額所得者に対する定率分離課税の廃止、累進課税に近似した課税の強化、➂留保利益課税の創設、の3点を提案されています。

『文化連情報』への寄稿は次のとおりです。

http://www.bunkaren.or.jp/description/magazine/bunkaren/index.html

(上)2017年10月号

(中)2017年12月号

(下)2018年2月号

(中)(下)では消費税増税に頼らない財源案を提示しました。

(下)で、留保利益課税について書きました。

元稿は以下です。

http://sdaigo.cocolog-nifty.com/zaigenteian_part3_pdf.pdf

留保利益課税についての見解

留保利益課税というと保革を問わず、どの政党も「二重課税だから」と引いてしまいますので「二重課税ではない」という説明から始めました。ただし、政治家ほかの皆さんには末尾に書いた9行を理解してもらうのが先決と思っています。

「なお、経済界、政府のみならず、労働界や野党のなかにも、企業がため込んだ留保利益の 一部を賃上げに回すべきとの意見がある。しかし、低い労働分配の改善が必要なことは確 かだが、どのような形であれ、給与の引き上げは年度ごとの営業費用の増加→税引き前利 益の減少→留保利益の原資の減少、となって、これ以上、留保利益を増やさない結果には なるが、それによって既存の留保利益が減る(活用される)わけではない。この意味で、『留保利益=賃上げ活用論』は企業会計の基本に関する誤解である。

加えて言えば、留保利益が積み上った要因分析に照らせば、留保利益の一部を業績優良 企業の企業内分配に充てて済ませるのではなく、税によって国庫に回収し、社会的再分配 の財源として活用することこそ税の正義にかなっている。

*要約ですので、ぜひ、原文をお読みいただくことをおすすめします。

CNJでは、消費税率アップや増税に対する皆様のご意見を募集しています。ぜひご投稿ください。

info@consumernet.jp

(文責 古賀 真子)

 

 

 

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