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予防接種ネット・de・講座 40  風疹ワクチンは妊娠希望者以外不要~ワクチンで感染はふせげるか?

今年は、関東を中心に、風しんが流行しており、10月10日現在で952人以上の患者が発生しており、昨年1年間の10倍以上の数とされています。「風しんワクチンを1回のみの接種もしくは未接種の30代~50代の男性が8割を占め、1回のみの接種の30代の女性にも罹患が目立ち、妊婦さんへの感染が心配される」との報道がされています。

風しんは、妊娠20 週頃までの女性が風疹ウイルスに感染すると、胎児にも風疹ウイルスが感染して、眼、耳、心臓に障害をもつ「先天性風しん症候群」の児が生まれる可能性があるとされています。2013年(平成25年)は全国で1万4千人を超える人に感染が広がり、この流行のあいだに、45人の方が「先天性風しん症候群」にかかったとされています。

2015年~2018年2月まで先天性風疹症候群はない?

ところが、2018年10月19日、国会議員の紹介で厚労省と質疑をした結果、今年の風疹は大した流行ではないことがわかりました。

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1999年から風疹の定点観測が始まりましたが、2007年までの患者数は、年間463人から再考でも3123人でした。2008年からは全数調査となりましたが、2008年294人、2009年147人、2010年87人、2011年378人、2012年2386人、2013年14344人、2014年319人、2015年163人、2016年126人、2017年93人で、2018年は1103人(現時点で)です。

確かに昨年の10倍ですが、昨年がきわめて低い年にあたり、それ比較して大騒ぎするのはおかしなことではないでしょうか。2013年は14344人です。この時、感染の実態について聞いたところ、職場での大人の感染が多かったようだとのことでした。

厚労省にこの点、なぜ、今年はこれほど風疹の流行が強調され、CRS予防が報道されているのか尋ねたところ、明確な回答はなく、「2020年の風疹排除にむけての目標を達成するためですか」と問うたところ、「それもありますが、オリンピック、パラリンピックで海外の方がくることもあってです・・」との回答でした。多分に意図的、政策的な「風疹大流行」騒ぎとしか思えません。

一方、風疹感染の問題の核心である、CRSの発生についてですが、

2015年以降2018年2月まではCRSの報告がないという記事があります。

https://www.niid.go.jp/niid/ja/rubella-m-111/rubella-top/702-idsc/iasr-topic/7902-457t.html

CRSも感染症法に基づく全数把握の5類感染症ですからこの報告は正確なものだと思われます。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-10.html
2012~2013年の全国流行に関連して2012~2014年に45例のCRS患者報告があり, 調査時点の致命率は24%であった(同5ページ)。

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厚労省によれば、今年のCRSの発生報告も0です。なぜなぜこんなに、騒ぐのか??

今年の流行はほんとうに大流行なのか?

風疹は子どもがかかりやすい病気で、「3日はしか」と言われてきたように、病気自体はどうしてもワクチンで防がなければならない病気ではありません。しかし、妊娠初期の感染による先天性風疹症候群を防止するために、ワクチン接種がすすめられています。

風疹はかつて5年ごとに大規模流行が発生しており、調査開始後では1976年、1982年、1987年、1992年を中心に4回の全国規模の流行がありました。2004年には比較的大きな流行がありましたが、2010年には87名の報告数まで減少しました。しかし2011年から再び上昇し、2012年には患者報告数は2386名、さらに2013年には14344名と全国的な流行があったとされています。この流行によって、1999年にCRSの全数報告が始まって以来最大の患者数(2012年4名、2013年32名、2014年9名)が報告されました。この時以来、近年抗体保有率が低いと指摘された成人男性が流行の主体(主犯?)といわれるようになっています。

2014年4月より、「風疹に関する特定予防指針」が告示され、「早期に先天性風疹症候群の発生をなくすとともに、平成32年度までに風疹の排除を達成すること」が目標とされました。

風疹ワクチン未接種はMMR禍による国の責任?

日本では、1976年から風疹の接種が開始され、1977年8月からは女子中学生を対象とした定期接種(当時は義務接種)が始まり、1994年まで実施されました。(現在2018年現在39歳から56才の女性が対象でした)。

1988年12月に乾燥弱毒生麻しん・おたふくかぜ・風疹混合ワクチン(MMRワクチン)が認可され、1989年4月から生後12か月から72か月未満の男女は麻しんワクチン接種時にMMRワクチン接種が「選択できる」という触れ込みでしたが、実際はMMR推進の勧奨が強かったために、多くの子どもたちはMMRワクチンを接種しました。MMRワクチンは接種直後から懸念されていら無菌性髄膜炎を多発させました。市民の反対運動の成果でもありましたが、厚生省(当時)は副作用を認めず、統一株から自社株と、保護者の同意書をとってまで接種を続けようとしましたが、死亡を含む裁判も起き、MMRワクチンは多くの副作用と国の安全配慮に対する反省も十分検証されないまま、結局1993年4月に中止されました。

1994年10月の予防接種法改正に伴い、1995年から風疹ワクチンは他のワクチン同様、集団接種から個別接種になり、接種対象者も生後12~90か月未満の男女となりました。(2018年現在13歳から30歳の男女)同時に2003年9月までの経過措置として、16歳未満の中学生男女への接種もされましたが、この年代の接種率は急激に低下したため、2001年11月には年齢制限がなくなり、1979年4月2日から1987年10月1日生まれの男女すべてに対して経過措置による接種が実施されました(2018年現在30歳から39歳)

2006年4月からは、乾燥弱毒麻しん風疹混合(MR)ワクチンが導入され(対象:生後12~24未満の男女および小学校入学前年度1年間の小児:2018年現在5~13歳、および9~18歳)、同年6月からは小学校入学前の小児への2回目の定期接種も開始されました。

さらに、2007年10~20代を中心とした麻しんの流行により、麻しんとともに風疹対策も強化され、2008年1月からはCRSだけではなく通常の風疹も全酢報告が行われるようになり、さらに2008年4月からは、10代への対策強化を目的に、中学1年生相当者(12~13歳;第三期)および高校3年生対象者(17~18歳;第4期)に対する定期接種が2012年までの経過措置として追加されました。(2018年現在18歳~23歳、および23歳~28歳)

マスコミ報道では、「先天性風疹症候群」はワクチン接種を怠った責任のようにいわれ、妊婦に感染させないよう、周りの人への接種が声高に呼びかけられていますが、今回の流行は、国の失政といえるものであり、風疹流行と抗体保有率の相関関係は明瞭ではありません。抗体がなく、何度ワクチン接種しても抗体ができない人もいます。

国はまず、風疹未接種者と、抗体保有、り患の正確な情報を知らせるべきでしょう。また「必ずワクチンで防げる」としていますが、副作用の情報もあわせて知らせるべきです。

アニメを使っていたずらに成人男性への接種のよびかけをおこなっても2年後に風疹を排除できないことは明らかです。またワクチンで排除できないことも明らかといえます。先天性風疹症候群を防ぐためであれば妊婦さんへの的確な対応で防げるはずです。

厚労省も、30代の男性へワクチン接種をよびかけているわけではなく、実施しているのは抗体検査補助だと明言しています。抗体検査(抗体検査補助事業は2016年から開始され、国が半額、自治体のうち都道府県が4分の1、市町村が4分の1の負担をすることが始められています。自治体によっては、抗体検査の実施を求める要望を出すところもあるようですが、抗体検査をするより、抗体を取得するために「有効なワクチン接種」をするほうが効率がよいと進めている医師もいるようです。

ワクチンで抗体を得られない場合もありますし、不要にMRワクチンを接種することも医療経済的な観点からも疑問があります。

(古賀 真子)

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