もっと知りたいフッ素の話 その23 米国ではフッ素症拡大によりフッ素添加濃度を下げた
米合衆国では歯フッ素症が拡大(青少年の41%が罹患)したため、2011年1月に、70年間続いた1ppmの水道水フッ素添加濃度を0.7ppmに下げるようHHS(米国健康福祉局)とCDC(疾病管理予防センター)が通達を出しました。
しかし各州、自治体の変更がなかなか進まず、この7月13日にHHSとCDCは2018年10月11日を締め切りとしてパブリックコメント(連邦政府官報の意見)を出しました。
内容は、添加するフッ素濃度を0.7ppm,その範囲を0.6-1.0ppm(非対称)とするもので、1941年からのフッ素濃度1ppm(0.7-1.2ppm)を下げたことになります。しかしながら、0.7-1.0ppmへの変更は0.6-1.0ppmの間違いです。2011年に引き下げた0.7ppmを平均値とするには0.4-1.0ppmでなければなりません。しかし効果のある濃度は0.6ppm以上とされているので0.6-1.0ppmとせざるを得ず、平均値は0.8ppmとなるはずです。0.7ppmとのバランスがとれていません。以前のフッ素化濃度1ppmの時は0.7-1.2ppmであり平均値は0.95ppmでバランスが取れていました。
今回の見直し理由を最大限の虫歯予防効果と最小限の歯フッ素症の発症としています。
しかし飲料水だけではなく、歯磨き剤やその他のフッ素入り製品も含めた総フッ素摂取量が問題なのであって、これだけでは焼け石に水、フッ素化を中止する以外にフッ素症の防止は不可能でしょう。この決定にニュージランド最高裁判決が何らかの影響を与えたのでは、と推察します。
(秋庭 賢司)