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知らなくてダイジョウブ?カジノ解禁実施法(特定複合観光施設区域整備法)案は現代のアヘン法?~多くの人に法の問題点の拡散を!

2018年7月10日、衆議院第一議員会館で、特定複合観光施設区域整備法案への反対の院内集会が日本弁護士連合会の主催で開催されました。野党議員から、反対の意見表明をがなされるなか、法案の問題点が多く指摘されました。

日本におけるカジノ構想は、2013年12月5日に自民・維新・生活の党により衆議院に「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法案」(カジノ解禁法案)が提出されてから国民的議論になり、賛否両論の研究や意見表明などが活発となりました。2015年4月28日自民・維新・次世代の党により再提出され、2016年通常国会に継続審議扱いになりました。 各地で反対の市民の会が立ち上がる一方、IR法推進の民間の政治団体である研究会がつくられ、議員連盟(名簿はHP上、現在は削除)なども活動してきました。

https://integrated-resort.jp/overview/

2018年4月27日、IR(総合型リゾート)実施法案が国会に上程されました。法案の正式名称は「特定複合観光施設区域整備法案」(以下、IR法という)。全国3カ所を上限にカジノ施設の設置を認めることが柱で、IR整備の目的を、「カジノ事業の収益を活用した特定複合観光施設区域の整備推進による、国際競争力の高い魅力ある滞在型観光の実現、観光および地域経済の振興への寄与、財政の改善」としています。

「特定複合観光施設」とは、カジノ施設と、(1)国際会議場施設、(2)展示施設等、(3)我が国の伝統、文化、芸術など生かした公演等による観光の魅力増進施設、(4)送客機能施設、(5)宿泊施設から構成される一群の施設、(6)その他(観光客の来訪・滞在の促進に寄与する施設を含む)であり、それらを一体として民間事業者が設置・運営するものと規定しています。日本人や国内在住外国人からは6000円の入場料を徴収するとしています。内容は以下のとおりです。

  • 認定区域数
    全国3カ所を上限。認定区域数の見直しは、最初の区域認定から7年経過後とする。IR実施法全体については、最初の区域認定から5年経過後に検討を加えて必要がある場合に所要の措置を講じる。
  • 入場回数制限と本人・入場回数確認
    ギャンブル依存予防対策として、日本人や国内在住外国人の入場回数を「7日間に3回、28日間で10回」に制限。本人・入場回数の確認手段として、マイナンバーカードおよびその公的個人認証を義務付け。20歳未満の者、暴力団員、入場回数超過者などは入場を禁止。カジノ事業者に対しても、これらの者を入場させてはならないことを義務付けています。
  • 入場料
    日本国内に住居を有しない外国人を除いて、1回(24時間単位)当たり6000円の入場料を徴収。国と都道府県・政令指定都市に3000円ずつ割り当てる。
  • 国と都道府県等への納付金
    IR設置運営事業者は、売り上げ(カジノ行為粗収益)の30%を、国と認定都道府県・政令指定都市に半分ずつ納付する。
  • カジノ管理委員会
    独立した強い権限を有する三条委員会を内閣府の外局として設置。委員長と4人の委員は両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。
  • 立地市町村との関係
    認定申請に際して、都道府県は議会の議決と立地市町村の同意、政令市は議会の議決を要件とする。立地市町村の同意については、条例で議会の議決事項とすることも可能。

カジノ施設を含むIRの整備をめぐっては、2016年12 月にIR推進法(特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律)が施行されています。同法には、政府は同法施行後1年以内をめどにIR整備に関する法制上の措置を講じなければならないとの規定があり、政府(特定複合観光施設区域整備推進会議はこれに基づいて、2017年7月に「特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ~『観光先進国』の実現に向けて~」を策定。パブリックコメント、全国9カ所での公聴会などを経て特定複合観光施設区域整備法案を策定、国会に提出したものです。

同「取りまとめ」では、日本のIR 施設は「集客施設とカジノ施設」で構成することが前提であり、それぞれの施設が果たすべき役割として、

  • 集客施設(MICE〔Meeting、Incentive tour、Convention/Conference、Exhibition〕施設、魅力発信施設、宿泊施設など)には、民間ならではの自由な発想で国際的・魅力的なコンテンツを提供するなど、国内外から観光客を誘客し、滞在させる機能。
  • カジノ施設には、高い収益を得てIR 事業全体の採算性を担保する機能。

を挙げ、両施設を法制度上、一体化して構成するところに、「日本型IR」の独自性と先進性があるとしていました。

現在、東京都や愛知県、大阪府・市ほか、北海道から沖縄県まで全国各地でIR誘致の検討が進んでいるとされていますが、院内集会では各地での反対運動の取り組みが紹介されました。

2018年7月17日には7.17大阪カジノの誘致反対を求める2つの行動

http://ucra.jp/ir-information/%E5%A4%A7%E9%98%AA%E3%81%A7%E3%82%AB%E3%82%B8%E3%83%8E%E3%81%AB%E5%8F%8D%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E5%B8%82%E6%B0%91%E3%81%AE%E4%BC%9A%E3%81%8C%E7%99%BA%E8%B6%B3/

7月20日には横浜市でカジノ実施法案可決反対、横浜にカジノはいらない!

http://www.y-simin.jp/archives/161

が開催されます。

日弁連は、カジノ解禁には、暴力団対策上の問題、マネー・ローンダリング対策上の問題、ギャンブル依存症の拡大、多重債務問題再燃の危険性、青少年の健全育成への悪影響等、多数の弊害があることを理由に、一貫して、カジノ解禁に反対してきました。今回提出されたカジノ解禁実施法案では、これらの弊害は除去されないとしています。見解はこうです。

カジノ解禁実施法案は、ギャンブル依存症対策として、入場回数制限を「7日間で3回、28日間で10回まで」とし、入場料を「6,000円」と定めている。しかし、7日間に3回もカジノ施設に入場することになれば、既にカジノに入り浸っている状況と言える。また、入場料の6000円が、カジノ施設に安易に入場することを抑止する効果を持つ金額と言えるのかは疑問である。政府は、世界最高水準の規制を導入すると繰り返し説明してきたが、例えばシンガポールでは、入場回数を最大月8回に制限し、入場料は約8,000円としていることと比較しても、世界最高水準の規制とは言えない。

一方、昨年8月に実施された意見募集(パブリックコメント)でも、提出された1234件のうち、カジノに反対するとする意見が829件も提出され、各種世論調査でもカジノ解禁に反対あるいは慎重との意見が賛成意見を圧倒する結果が示されており、国民の理解や納得は得られた状況とは言えない。  (以上引用)

野党議員は、数の力で成立は阻止できないが、賭博条項免責など、明らかに刑法の違法性阻却事由にはあたらない違法な法といえ、仮に法が成立しても施設を整備するには地元の許可等が必要であるので、粘り強く反対していきたい。7月20日をめどに成立がもくろまれているが、西日本を中心とした水害への対応が優先である。米国企業の要請をうけた解禁で、日本にはメリットはない。北海道の医療グループからはギャンブル依存症の多い日本で賭博が公的に認められれば依存症による被害は避けられない。カジノ管理委員会にカジノ事業者の従業員採用が認められるのでは管理に支障がでる。貸金業法の潜脱により、多重債務者が増加する、マネーロンダリングの危険が増大するなどの発言がありました。

地域限定の枠もいつはずされるかわかりません。なによりも、賭博を違法として、健全な市場経済と労働環境を国是としてきたはずの日本で、賭博を公的に認めることは大きな転換あり、弊害除去は画に描いた餅です。「3分の1が外資に提供される。これは現代のアヘン法であり、絶対に成立させてはならない」と断言した議員がいました。

(古賀 真子)

 

 

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