ダイジョーブ?成人年齢18才~ギャンブル法も成立、消費者契約法改正と残された課題への取り組み
成人年齢を18才にすることについては、これまで、CNJでも、2016年から消費者問題として注目してきました。主に未成年者取消権が失われることから、若年者保護をどう図るかを巡って学習会や院内集会が開催されました。
https://consumernet.jp/?cat=80
今国会では、野党の反対を押し切って、ギャンブル法(正式名称は特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律、IR法、カジノ解禁法とも呼ばれる、以下IR実施法という)が成長戦略の目玉の一つとして成立する見込みです。全世代的にギャンブル依存症対策や不正な資金の温床になるなどの懸念についての議論が尽くされない中、区域認定数の上限を「3ヵ所」と法定し、区域認定プロセスは、2サイクル実施を検討。IR実施法の成立後、自治体(都道府県、政令指定市)は、事業者選定およびIR整備計画策定のプロセスに入るようです。2021年前後、政府は、第1サイクルの区域認定(自治体からの区域認定申請の受付、選定)を実施する見通しだということです。地方の活性化を謳い、地方を誘致合戦とすることで地方創世が実現可能かは疑問のあるところですが、成年年齢引き下げも含めて注目していく必要がありそうです。
未成年者保護はどうなる?
2018年6月8日に成人年齢を18才とする法律(民法改正)が成立。4年後の施行が決まりました。典型的な問題点としては、18,19才の未成年者取消権が喪失されることから、若年成人の消費者被害のさらなる増大が懸念されます。こうした消費者被害の防止・救済を図るため、消費者契約法の一部を改正する法律としての改正も行われました。
消費者契約法改正
2018年6月8日、参議院本会議で「消費者契約法の一部を改正する法律」が全会一致で可決・成立しました。今回の改正は、消費者が契約を取り消すことができる不当な勧誘行為について6つの類型を追加するほか、無効となる不当な契約条項の追加、事業者の努力義務の明示などを内容としており、消費者の利益の擁護及び増進に資するものですが、残された課題もあります。
「知っておきたい!あなたを守る消費者契約法~恋人商法など「不当勧誘行為」が追加:改正消費者契約法が成立」
https://consumernet.jp/?p=5054
この法律は、公布の日から起算して1年を経過した日(平成31年6月15日)から施行されます。
最終的な法律については下整理されていますので、参照してください。
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/consumer_contract_act/amendment/2018/
消費者庁の取り組みは?
2018年6月13日の岡村消費者庁長官の記者会見で、メディアとのやりとりがありました。消費者契約法との関連や消費者教育の充実にむけての消費者庁の見解が述べられています。
http://www.caa.go.jp/notice/statement/okamura/180613c/
また、消費者庁は、消費者行政新未来創造オフィスのプロジェクトとして、平成29年度、徳島県内の全ての高等学校等56校で、「社会への扉」を配付し、同教材を活用した授業を実施したそうです。
授業参観ができた20校(全日制、定時制、高等専門学校、特別支援学校)では、各先生が試行錯誤や工夫の上、実施された授業例を広く全国に紹介することで、各高等学校、特別支援学校等における実践的な消費者教育の取組の参考にしてもらえるよう、事例集が作成され、6月20日に公表されました。
http://www.caa.go.jp/future/project/project_003/
「社会への扉」の活用方法は、それぞれの学校で異なり、多種多様であったところ、本事例集は活用方法の1例が示されたものです。現場の取り組みとして有用です。
消費者庁では、成年年齢を引き下げる民法改正法案が成立したことも踏まえ、2020年度には、全国の都道府県において、すべての高等学校での、社会への扉を活用した実践的授業を呼びかけています。
消費者被害がIT化、高度化するなかで、被害対象が拡大することや被害態様が多様化し救済方法が複雑化することは避けられません。18才だけでなく高齢者被害も拡大する中で、様々な取り組みは評価されますが、法改正では追いつかない社会の流れの中で、一番大切なのは「うまい話には注意」すること。自分にとって本当に必要なものはなにか。偽物と本物を見分ける目を養いたいものです。
(古賀 真子)
以下引用
消費者庁においては、ギャンブル等依存症に関する注意事項や、対処に困った場合の相談窓口をお知らせするサイトを作りました。
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/caution_012/
この中には、内閣官房、警察庁、金融庁、消費者庁、法務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省の関係省庁で連携して発した注意喚起を掲載しております。
さらに、金融庁と消費者庁は、厚生労働省の協力を得ながら、下記のとおり、ギャンブル等依存症に関連すると考えられる多重債務問題に係る相談への対応に際してのマニュアルとして、相談対応に際しての一般的なフローやその留意点などを整理しました。