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消費者庁移転問題を考える~その3 消費者庁の役割は?消費基本計画の重要性から、地方移転による消費者行政後退を考える

消費者庁移転問題については、ほとんどすべての消費者団体が「大反対」の意思表明や緊急集会を開催するなか、担当の河野太郎大臣は移転に積極的であるとされています。「消費者は全国どこにでもいるのであるから、どこが消費者行政の要となっても同じ」との「大臣発言」も取りざたされています。

そもそも、消費者庁は実際にどのような仕事をしているのでしょうか。消費者基本計画を参照しながらみていきましょう。

消費者庁の仕事の中身を知るのには消費者基本計画が大きな手掛かりとなります。消費者基本計画は消費者基本法に基づき策定されます。来年度の基本計画を実施するための2016年度消費者行程表改訂のためのパブコメが、2016年1月上旬から募集され、2月中旬には消費者委員会の意見を踏まえ、関係省庁と調整のうえで3月中旬には改訂が決定される予定です。

消費者基本法の制定趣旨と消費者基本計画の役割

消費者基本法の目的

消費者基本法は、「消費者の権利の尊重」と「消費者の自立支援」を基本理念とし、消費者政策の基本となる事項を定めた法律です。2004年(平成16年)に「消費者保護基本法」(昭和43年法律第78号)が改正され、「消費者基本法」となりました。

消費者基本法は第1条で、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力等の格差にかんがみ、消費者の利益の擁護及び増進に関し、消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念を定め、国、地方公共団体及び事業者の責務等を明らかにするとともに、その施策の基本となる事項を定めることにより、消費者の利益の擁護及び増進に関する総合的な施策の推進を図り、もつて国民の消費生活の安定及び向上を確保することを目的とする。」とされています。

消費者基本計画

消費者基本法第9条は、「政府は、消費者政策の計画的な推進を図るため、消費者政策の推進に関する基本的な計画(以下「消費者基本計画」という。)を定めなければならない。とし、

2  消費者基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

一  長期的に講ずべき消費者政策の大綱

二  前号に掲げるもののほか、消費者政策の計画的な推進を図るために必要な事項

3  内閣総理大臣は、消費者基本計画の案につき閣議の決定を求めなければならない。

4  内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があつたときは、遅滞なく、消費者基本計画を公表しなければならない。

5  前二項の規定は、消費者基本計画の変更について準用する。

とされています。また、第10条1項には、国は、この法律の目的を達成するため、必要な関係法令の制定又は改正を行なわなければならない。」とされています。

消費者基本計画には、冒頭、「平成21年9月、それまでの生産者・供給者の立場から作られた行政を国民本位のものに改める行政のパラダイム(価値規範)転換」を図り、各省庁縦割りになっている消費者行政を統一的・一元的に推進するため、消費者行政の司令塔・エンジン役として消費者庁が、消費者庁を含む各府省庁の消費者行政全般に対する監視機能を有する独立した第三者機関として消費者委員会が設立されてから5年が経過した。」とされ、ています。そして、「これからの消費者政策においては、様々な環境の変化に適切に対応するため、施策の実施体制を充実・強化し、これまでに整備してきた制度を積極的に活用し、真に消費者の利益の擁護・増進が図られるよう一層の成果を挙げていくとともに、新たな課題の解決に向けて今後も不断の努力を続け、消費者政策の更なる充実を目指していくことが求められる。」とされています。

2015年度の消費者基本計画と行程表

2015年3月24日、消費者基本計画が閣議決定されました。消費者行政自体が消費者問題を網羅し、多方面に及ぶものであり、関係省庁も内閣官房をはじめ、内閣府、厚労省、農水省、総務省、法務省、外務省、財務省、文科省、経産省、国交省ほかほとんどの省庁に横断する課題も多くあります。多岐にわたる問題と行程表を見る限り、地方移転により、関係省庁との折衝に重大な支障が出るであろうことは明白です。

*消費者基本計画について

http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/basic_plan/index.html#basic_consumer_act

 

消費者庁・国民生活センターは移転すべきではない

消費者庁の組織図を見てみましょう。

http://www.caa.go.jp/soshiki/pdf/soshiki.pdf

 

地方移転して大丈夫か?

このうち、消費者政策課(財産被害対策室)は基本的な政策等の企画・立案、推進(消費者基本計画等 ・国際関係業務・関係府省庁との政策調整・消費者事故に関する情報の集約、分析、発信(財産分野)・消費者安全法に係る「隙間事案」(財産事案)の執行が職務内容とされています。関係省庁との政策調整が必要であるのに、航空機をつかわなければ行き来できないところに移転するということはコミュニケ―ションを取るうえでおおきな阻害要因となりえます。

消費者制度課では、消費者契約法等を所管、適格消費者団体の認定・監督・制度の企画・立案、推進・公益通報者保護法、個人情報保護法を所管するとされています。消費者契約法や特定商取引法を真に消費者保護に資する改正にと努力する消費者代表委員には多くのプレッシャーがかけられています。新聞協会の圧力で特商法改正等も実質先延ばしになっています。業界団体の横暴に立ち向かう消費委員会の建議をうける消費者庁が消費者委員会の議論の場から遠ざかることは消費者重視の行政の観点から見過ごすことはできません。

消費者調査課は事業者に対する情報提供や物価関係業務(公共料金、国民生活安定緊急措置法等)を所管しています。関係省庁だけでなく人(事業者も消費者も)と情報が集中する首都圏での論議が必要です。

取引対策課は特定商取引法、特定電子メール法、預託法を所管します。これからますます進むIT化のなかで、消費者の立場に立った関係省庁への政策提言力の発揮が求められています。東京オリンピックへの対応や金融や消費者のため預金や預託についても監視・監督の目が必要です。

表示こそが、消費者の知る権利を保障する最大の武器です。表示対策課(食品表示対策室)では、景品表示法、家庭用品品質表示法、住宅品確法はいずれも消費者保護のための必要な法律です。2016年4月からの電力の小売り自由化に向けて、電気の表示の監視もここで所管すべきです。また、消費増税での悪質な転嫁を監視するための消費税転嫁対策特別措置法を所管する役割の重要性はいうまでもありません。

消費者のための立法はどうなる

消費者庁では、不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案、消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案を国会に提出、成立させてきました。いずれも消費者保護の根幹とな重要な法であり、今後の執行についても監視が必要です。

また、法令適用事前確認手続(ノーアクションレター)も消費者だけでなく事業者への法令順守のために、アクセスの保障された都心に拠点があることが望まれます。

河野大臣の見解は?

消費者庁移転に河野担当大臣が積極的であるとされています。河野大臣は自民党の中にあって、再生エネルギーや脱原発に積極的な政策をすすめており、市民団体からも評価されてきました。しかし、大臣就任後、HPの主張・政策はメンテナンス中とされ、主張は封印された形です。

消費者庁移転については、どのような政策ビジョンから移転に前向きなのか理解に苦しみます。CNJでは近々に消費者河野大臣への質問状を提出する予定です。


(参考)

まち・ひと・しごと創生会議(第8回)議事次第

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/meeting/souseikaigi/h27-12-18.html

 

河野内閣府特命担当大臣 記者会見要旨

「はじめに移転ありき!?不都合はこれから検討していく」・・!!

http://www.caa.go.jp/notice/statement/kono/

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