再エネ電力が買えなくなる制度変更?小売電気事業者によるFIT電力買取維持を求める要望書を提出しました
3.11以降、大多数の国民が再生可能エネルギーを増やし、原発をなくすことに賛成しています。電力システム改革の一環として、2016年4月から一般消費者がふつうの商品と同じように電気を選べるようになります(小売りの全面自由化)。
ところが、現在進められている制度改革の行方によっては、再生可能エネルギーでつくられた電気を実質的に消費者が買えなくなるかもしれなくなってきました。
再エネ電力事業者が再エネ電力を調達できなくなる?
消費者が再エネを選べるためには、新規の再エネ事業者が参入しやすい制度であることが望まれますが、資源エネルギー庁の「制度設計ワーキンググループ」や、「再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会」では、固定価格買取制度(FIT)の下でつくられた再エネ電力の買取義務者(特定契約の申込みに対する応諾義務者)を変更することが議論されています。
現行制度では、小売電気事業者はFIT再エネ発電所と直接契約し、電気を仕入れることが可能です。(FIT:再エネの固定価格買取制度)消費者は、どの発電所で発電されたFIT再エネ電力であるかを知り、選んで買うことが可能です。ところが、これを根本から変える制度変更案が議論されています。仮に制度変更されると、FIT再エネ発電所はその電力を「送配電事業者」に売ることになります。つまり、小売電気事業者はFIT再エネ電力を仕入れることができなくなり、結果として、「FIT再エネ100%電力」のようなメニューは日本には存在しないことになり、消費者がFIT再エネ電力を選んで買うことができなくなります。(これらはあくまで懸念であり、何か救済措置があるかもしれませんが、注視していくことが必要です)どのような制度にもメリット・デメリットがありますが、この大きなデメリットは見逃すことはできません。
CNJでは、「現行制度どおり、小売電気事業者がFIT再エネ発電所から直接電気を仕入れることが出来る制度、消費者がその電力を選んで買える制度を維持して下さい」との要望書を提出しました。
再エネを買いたい消費者、再エネに取り組む事業者のかたも、ぜひこの問題について検討していただき、要望を出してください。
2015年9月17日
資源エネルギー庁長官 日下部 聡 様
再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会
委員長 山地 憲治 様
特定非営利活動法人コンシューマネット・ジャパン
小売電気事業者によるFIT電力買取維持を求める要望書
2016年度に予定されている電力の小売全面自由化の実現により、すべての消費者が電力を選択できるようになります。再生可能エネルギー電力の固定価格買取制度(FIT)は、再エネ発電の拡大に大きな役割を果たしてきました。消費者がFIT再エネ電力を選択し購入するためには、FIT再エネ電力を販売する小売電気事業者が存在すること、小売電気事業者がFIT再エネ電力を自由に調達できること、が大前提となります。
資源エネルギー庁における制度設計ワーキンググループや、再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会では、FIT電力の買取義務者(特定契約の申込みに対する応諾義務者)を変更することが議論されています。
私たちは、FIT電力の買取義務者について、以下のように要望します。
FIT電力の買取義務者(特定契約の申込みに対する応諾義務者)は、現行制度と同じく、小売電気事業者とする制度を維持すること。 |
貴小委員会等では、FIT電力の買取義務者を送配電事業者に変更することが提案されています。この制度変更案には以下のような大きなデメリットが想定されるため、消費者として看過することはできません。
・小売電気事業者が、FIT再エネ発電所から、FIT再エネ電力を購入・調達することが出来なくなる。
・小売電気事業者が、「FIT再エネ100%電力」を売ることも出来なくなる。 ・消費者が、新電力からFIT再エネ電力を選んで買うことも出来なくなる。 |
よって、FIT電力の買取義務者を送配電事業者に変更する案には反対します。
消費者が、FIT再エネ電力を選択する、小売電気事業者を選択する、FIT再エネ発電所を選択し、その電力を購入する。こういう素朴な消費者の願いが今後も実現されるよう、FIT電力の買取義務者を変更することなく、現行制度を維持するよう要望します。
以上
(連絡先)特定非営利活動法人コンシューマネット・ジャパン
略
参考図表(作成:CNJ研究員 船津 寛和)
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