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泉南アスベスト訴訟、原告勝訴 より広く被害者救済を!

2014年10月9日、泉南アスベスト訴訟で、最高裁判所が「国の責任認める」判決を出しました。

泉南アスベスト訴訟は、大阪府の泉南地域にあったアスベスト加工工場の元労働者と遺族が、「国がアスベストに対する規制を怠り、肺がんなどの健康被害を受けた」として、「国の規制が遅れ、健康被害を受けた」として国家賠償を求めた裁判です。最高裁は、国の責任を認め、国に3億3000万円の賠償を命じました。

アスベストは中皮腫や肺がんなどの原因となりますが、耐火性や断熱性に優れることから、1970年代以降、建材などに利用されました。

9日の判決で最高裁は、「国は1958年には被害が深刻だと認識しており、工場に排気装置の設置を“義務付ける”べきだった」と指摘し、『国の責任を認める』初めての判断を示し、国が規制を始めた1971年までの間に工場で働いていた元労働者について、およそ3億3000万円の賠償を国に命じました。

一部の原告について賠償額を算定するために審理を高裁に差し戻していて、国の賠償額はさらに増える見込みです。

最高裁の判決は、ほかのアスベスト訴訟や被害者救済に向けた国の対応に影響を与えそうです。

当然の判決、最高裁まで引き延ばした国の責任は問われるべき

泉南アスベスト訴訟は、2013年12月25日に、大阪高等裁判所が、泉南アスベスト国家賠償2陣訴訟の控訴審として、原告勝訴の判決を言い渡しました。1958年から95年までの長期間にわたり、国の重大な責任を認めた画期的な判決です。

国は、1陣、2陣訴訟の各大阪地裁判決に続き、3度にわたって断罪されたわけですが、高裁判決により、産業発展のためには労働者の命や健康が犠牲になってもやむを得ないとした1陣高裁の不当判決は完全に否定されました。

高裁判決では、「国は、抽象的な規制や一片の通達を出して事足れりとするのではなく、採った措置が実際に健康被害を防止する効果を上げているかどうかを絶えず検証しなければならない。不十分であればその時々の最新の知見に基づいて健康被害を防止すべく、速やかに新たな規制を行わなければならない。」という内容でした。

泉南アスベスト訴訟には、全国から26万筆を超える署名や、各界からの公正判決を求めるアピールがされましたが、国は最高裁への上告をしていたもので、この上告には、被害者補償の引きのばしとして非難されていました。今回の最高裁判決は当然とはいえ、命や健康を第一に考える姿勢が明らかにされたものとして評価できます。

 (古賀 真子)


ミニ知識

(アスベストとは)

石綿とは、天然のケイ酸塩鉱物繊維で次の6種類のことをいいます

蛇紋石系 : クリスタル(白石綿、温石綿) ・・・・・・・ 市場使用
角閃石系 : アモサイト(茶石綿、グリュネライト)・・・・・・市場使用
クロシドライト(青石綿、リーベックカイト)・・市場使用
トレモライト・・・使用されていた事が確認されました。
アクチノライト
アンソフィライト

白石綿、茶石綿、青石綿と日本名がついている程身近な石綿で、この3種類が主に使用されています。

トレモライト・アクチノライト・アンソフィライトは、原料への共雑物(混ざり物)として建材に含まれているとされてきましたが、石綿代替品として使用されていた事が判りました。

1970年(昭和45年)から1990年(平成2年)にかけて、年間約30万トンという大量の石綿が輸入されていますが、これらの約8割が建材に使用されたとされています。
1970年から現在までの累計で約1,000万トンになります。

石綿(アスベスト)の有害性

石綿粉塵を吸入することに、次のような健康障害が発生する恐れが指摘されています。

(1) 石綿肺(じん肺の一種) 発症までの期間は15 ~ 20年
肺が繊維化するもので、せき等の症状を認め、重症化すると呼吸機能が低下。

(2) 肺がん 発症までの期間は15~40年
肺にできる悪性の腫瘍です。

(3) 胸膜、腹膜等の中皮腫(がんの一種) 発症までの期間は20~50年
肺を取り囲む胸膜等にできる悪性の腫瘍。

(4) 胸膜炎 比較的短期間に発症
石綿による胸膜の炎症で、左右の胸腔に水がたまり胸膜の癒着がおこる。

(5) びまん性胸膜肥厚
胸膜炎が治った後の胸膜が癒着した状態

これらの疾病については、石綿粉じんを少量吸入しても発症する可能性があり、また石綿粉じんの暴露から発症までの期間が長いこともあります。石綿を直接取り扱っていいない場合でも、建築物から劣化した石綿粉じんが発散し、その粉じんを吸入する可能性があります。

 

アスベストはWHOの付属機関IARCにより発癌性がある(Group1)と勧告されています。アスベストは、肺線維症、肺癌の他、稀な腫瘍である悪性中皮腫の原因になるとされています。

*アスベスト問題とは、石綿(アスベスト)による塵肺、肺線維症、肺癌、悪性中皮腫(ちゅうひしゅ)などの人体への健康被害問題のことを指します。

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