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予防接種ネット・de・講座 その4 日本脳炎ワクチンを病気のない北海道で莫大な予算をつかって定期接種するのは非常識!

日本脳炎ワクチンの問題については、予防接種ネット・de・講座~その1でお知らせしました。

http://consumernet.jp/?p=319

全国的にもワクチン接種と発病者に乖離があること、ワクチンの副作用被害が他のワクチンと比較しても甚大であることなどから、定期接種自体を見直すべき時期にあります。ところが、驚くべきことに、日本脳炎の予防接種について、北海道での定期接種化について総務省が厚労省に検討するように要求をしました。これを受けて、北海道でも定期接種とするかどうかの議論を始められるという報道がありました。2014年7月には北海道の医師会なども定期接種の署名活動などを始めており、知事もこれを検討する等、積極的な対応をするかのような報道がされています。

総務省行政評価局は、行政苦情救済推進会議の意見を踏まえて、関係省庁等に審議の斡旋をするところ、2014年8月22日に厚生労働省に対して、北海道における日本脳炎に係る定期の予防接種を実施することについての検討(注1概要PDF・あっせん文PDF)を出しました。コンシューマネット・ジャパンでは、ワクチントーク全国や北海道の市民団体とともに、2014年9月11日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会に対して、9月9日に下記の申し入れをしました。引き続き、北海道庁への申し入れと交渉を予定しています。厚労省に対しては、これまでの見解を変更する必要はないこと、北海道知事に対しては、区域指定(注1)をやめるべきではなく、北海道の実情に応じて、定期接種化については、知事のこれまでの対応を見直すべき理由はないという趣旨の申し入れをします。

(古賀 真子


 

 

 

2014年9月9日

厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会

部会長 岡部 信彦 様

 

 

ワクチントーク全国代表  母里 啓子

コンシューマネット・ジャパン 共同代表 古賀 真子

MMR被害児を救援する会 栗原 敦

 ワクチントーク北海道代表 荻原 敏子

 

北海道での日本脳炎予防接種の定期接種について、A類の定期接種の対象疾病の中で日本脳炎のみ区域指定ができることとなっている合理性を

尊重することを求める要望書

 

ワクチントーク全国は1990年8月に予防接種を受ける市民の立場から副作用の被害者、研究者、医師、保護者、消費者団体などが考え、行動するための緩やかなネットワークとして作られ、毎年全国で集会を続けています。今回は申し入れ団体と連携して、貴部会に下記の通り申し入れをいたします。

 

申入れ

2014年8月22日、行政苦情救済推進会議の意見を踏まえて、関係省庁等に審議の斡旋をする総務省行政評価局が、厚生労働省に対して、北海道における日本脳炎に係る定期の予防接種を実施することについての検討(注;概要PDF・あっせん文PDF)のあっせん文を出しました。

貴部会におかれましては、日本脳炎ワクチンについては、病気発生の可能性の低い地域において、科学的、疫学的に根拠のある感染症対策を、地域住民の健康を第一に考える自治体の判断を尊重し、予防接種法(昭和23年法律第68号)第5条第2項の規定に基づく予防接種法施行令第2条において区域指定できるとした法の趣旨を踏まえ、厚労省におけるこれまでの判断を継続して、定期接種化を自治体に勧めることがないよう、賢明なる提言をされることを求めます。

 

申入れの理由

1 国及び自治体における疫学的実情把握に基づきこれまでの科学的判断を踏襲すべきです

総務省の斡旋は、日本脳炎予防接種について、定期接種化について検討を要するとしていますが、科学的根拠に欠き、これまでの厚労省の見解にも反するものといえます。区域指定で定期接種としないことに40年間問題がなかったのを、定期接種にすれば確実に副作用被害が出ます。自治体の区域指定の判断を尊重し、今までどおり、科学的根拠に基づいた政策をとることをすすめて頂きたいと思います。

(理由)

(1) 厚労省の担当課の見解によれば、「定期の予防接種の対象疾病に住民が罹患する可能性が極めて低い地域について、あえて定期の予防接種を実施することは、まれとはいえ一定の頻度で発生しうる副反応のリスクに晒すことになり、政策判断として合理的とは言えない。

実際、北海道では毎年度、疫学調査の実施や感染症危機管理対策協議会の開催を通じて、定期の予防接種を実施するか必要性を検討した上で、日本脳炎を定期の予防接種として実施しないという施策判断が行われている。

このように、科学的知見に基づき定期の予防接種として実施しないという判断を行っている北海道に対し、国が定期の予防接種の実施義務を課し、接種勧奨を行うことを求めることや、被接種者本人やその保護者に対して接種を受ける努力義務を課すことは、感染症の流行状況と一定の副反応が不可避的に発生するワクチン接種の特性を勘案すれば、施策判断として適当とは言えないと考えられる。

このことから、日本脳炎の発生がみられない又は日本脳炎に罹患する可能性が極めて低い地域である北海道が、行政判断として日本脳炎のワクチン接種を定期の予防接種として実施しないことは不合理ではなく、地方自治の本旨に照らしても、国はその判断を尊重する立場にあると考えられる。

また、定期の予防接種の実施は自治事務という観点からも、科学的な知見に基づく判断により定期の予防接種を行っている地域と行っていない地域とがあったとしても、いずれも自治事務の範疇であり、国民に格差が生じていると評価することは適当ではなく(仮に「格差」と称されるにしても、これは合理的な「格差」だと考えられる。)、国民に対する格差を認めるものではない。」というものです。

このことから、厚労省は、自治体の科学的、合理的根拠に基づく判断を尊重するとの立場に立つことを明言しており、定期接種化するかどうかの行政判断は自治体における判断にゆだねるものであるとしています。2014年9月11日の厚生科学審議会でこの点についての議論がされる予定ですが、厚労省の上記見解は極めて正当であり、この立場を変更する必要はないと考えられます。

(2)更に、厚労省は「仮に国が北海道の判断に反して、日本脳炎の定期の予防接種の実施を求める指導等を行うのであれば、北海道に対して定期の予防接種を実施しなければならない科学的な根拠を明示することが前提となるが、感染症の流行状況など疫学的な観点からもその根拠に乏しいのが現状である。

このように科学的根拠の乏しい状況にあるにもかかわらず、国が日本脳炎の定期の予防接種を行う必要がないとする区域の指定を解除する技術的助言を行うことは適当ではないと考えられる。」として、技術的助言についても、定期接種には消極的とする正当な判断を示しています。

(3)また、今回、科学的根拠について検討すべきという、総務省の斡旋に対して、厚労省が、「総務省の行政苦情救済推進会議(以下「推進会議」という。)における本件の論点(北海道において日本脳炎の定期予防接種を実施することについて)は、国民の利便性等といった観点からは、一定程度理解することができる。

一方、厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会。以下「審議会」という。)は予防接種法に基づき疾病のまん延防止や予防接種の効果等の観点から予防接種及びワクチンに関する調査審議(特に定期の予防接種の対象疾病の検討、ワクチンの有効性・リスクなどの評価等)を行っている。仮に推進会議から指摘のあった事項(被接種者個人の利便性を考慮することや地域ごとで定期の予防接種の実施状況が異なること等)について、審議会で議題としたとしても、感染症対策、あるいは予防接種施策という観点から専門家が評価することになるため、感染症の流行状況など、疫学的な点でも引き続き北海道が日本脳炎を定期の予防接種として実施しないことや、科学的根拠に基づき日本脳炎を全国一律に定期の予防接種として実施する必要性がないことについて、議題とする利益は乏しいと考えられる。」としています。

厚労省はこれまで、日本脳炎ワクチンに関する検討会において、病気の実情やワクチンの有効性、副作用の分析などを行い、病気発生地域においてすら定期接種とすることについての反対の議論を踏まえた対応をしてきました。総務省のあっせんは、厚労省の政策に対する過剰な干渉であり、貴部会においても本来検討する必要のない議題と思いますが、北海道においては定期接種化に関しては議論する必要はないとの立場であり、妥当な判断を維持していただきたいと思います。

(4)そこで、自治体がどのような判断をしているかといいますと、北海道保健福祉部健康安全局地域保健課においても、抗原がないこと及び定期接種とすべき要望は過去に数件しかなく、任意接種での対応を支持するものであるとしています。同課の見解は以下のように引用されています。

「ア 日本脳炎に係る区域の指定については北海道感染症危機管理対策協議会(同協議会の下に、感染症流行調査専門委員会がある。)における専門家の意見を踏まえて決定しており、定期の予防接種を行う必要がない理由としては、昭和45年以降、日本脳炎の発症者がいないこと及び日本脳炎に対する抗体を保有している豚がほとんどいない(年間1頭又は0頭)ことが挙げられる。

仮に、抗体を保有する豚が増加した場合などは、当該協議会等の意見を踏まえ、日本脳炎に係る区域の指定を行わないこともあり得る。

なお、これまで市町村から区域指定を行わないようにとの要望は受けていないが、当該協議会等の場で日本脳炎の定期予防接種を北海道においても行うべきとの結論が出された場合は、実施主体である市町村に対して、意見を聴くことになると思われる。

イ 日本脳炎が定期の予防接種となっていないことに対する苦情や意見について、過去に数件寄せられている。主な内容は、北海道においては日本脳炎が任意接種であることから、自己負担により接種しなければならないことに対するものである。

ウ 転居や旅行などにより日本脳炎に感染する危険性が高い地域を訪れる際は、各自の判断で、任意の予防接種を受けるなどして対処してほしい。」

とされています。

(5) また、札幌市保健所感染症総合対策課の見解によれば、「 札幌市において、日本脳炎の定期予防接種が行われていないことに対する苦情や意見は年間1、2件の頻度で寄せられており、子供が将来北海道外に住むかもしれないこと、旅行や転勤で本州を訪れる可能性がある等、道外への転出又は道外からの転入があることから定期の予防接種を行ってほしいというものである。

以上より、北海道においては、転入者からの定期接種化(無料化)の要望はあるものの、北海道に居住している限り、日本脳炎に感染・発症する可能性は限りなく低く、日本脳炎の予防接種に対する需要もほとんどないとされ、感染可能性が高い地域を訪れる際は各自の事情や判断に基づき接種すべき」との判断を尊重すべきです。

2 区域指定の合理性と日本脳炎ワクチンの問題点

こうした疫学的現状や科学的根拠によれば、国がこれまでの判断を変更し、かつ地域の保健担当の見解を顧みることなく、定期接種を選択しない権利を奪うことは、病気発生の可能性の極めて低い地域において、予防接種法(昭和23年法律第68号)第5条第2項の規定に基づき予防接種法施行令第2条において、地域的実情を考慮して科学的根拠に基づく公衆衛生政策を行うとする法の趣旨に反するだけでなく、一部のニーズを殊更にとらえて100億円単位での公費を支出することは真に住民の利益と、公的接種である国民の医療費全体における支出の正当性からも大いに疑問がもたれるものです。

北海道では、本件について、検討する委員会において、「A類の定期接種の対象疾病の中で日本脳炎のみ区域指定ができることとなっている。区域指定をするしないに関わらず、国のワクチン接種に係る地方交付税措置はされている。実施にあたっては、実施主体の市町村には交付税措置がされている」としていますが、日本脳炎ワクチンの定期接種に莫大な交付税を使うかどうかは道民の意見を良く聞き、真に住民の利益ではないものに支出をされることは厳にいましめるべきです。

人と物が世界的規模で移動をすることは常識ですが、日本脳炎ワクチンについて、発症のない北海道以外で受けられるものが、北海道在住者が無料で接種を受けられなくなっていることを平等の問題にしていますが、「必要な人に必要な医療」が原則であり、そもそも長い間、接種しないことで問題(発病)になっていない訳ですから、もし今後発病する人がいたとしても、定期接種として多くの人が被る害のほうがは遥かに大きいと思います。

今回総務省が、関係行政機関の意見を聞きながらも、「北海道における日本脳炎への感染・発症の可能性は、限りなく低いことは理解できるが、都道府県域を越えた広域的な移動が頻繁に行われる現在、北海道のみ日本脳炎の定期の予防接種が行われていないことは、国民の利便性や、感染可能性のある地域へ未接種者が移動することを考慮した場合、法第5条第2項に基づき施行令第2条で日本脳炎を規定していることは不合理な対応と思われる。

一方で、日本脳炎の地域における発生状況、予防接種を行った際の副反応の危険性及び都道府県域を越えた移動が拡大した中で、感染性の危険性については、医師等の専門家を含めて更なる検討を行う必要があると考えられる。」としたことは、定期接種の区域指定の解除における合理的判断について、地域性や科学的根拠を理解されないまま一律に地域的平等性や機会均等をいうものであり、評価委員会における公衆衛生や医学的な知識の欠如について、非常に未熟であると言わざるを得ません。そもそも本件を苦情として取り上げること自体が的外れであり、有識者という構成員に偏りがあると思われます。

3 日本脳炎予防接種の定期接種の区域指定をはずすことは法制度の見直しが必要

利便性を強調するのであれば、転出入に伴う希望者への接種機会の確保を考慮すれば足り、一律に定期接種する場合には法制度上も多くの問題点、疑問点があることを考慮すべきです。

従って、どうしても打ちたい人の権利に配慮するために定期接種とすることで救済体制が整えられると言うのであれば、逆に定期接種という制度自体の見直しを厚労省(貴部会)において検討すべきだと考えます。予防接種法の趣旨、大原則を含めた大幅な改正が必要であり、予防接種の基本政策の根本的な見直しが必要です。

本件は医療行政的な観点から接種費用および救済補助をすべきかどうかという、極めて限定された行政判断が求められている問題であり、制度の趣旨を逸脱した判断を行うべきではありません。

4 日本脳炎自体の発症と予防接種について、全国的にも接種自体に疑問が大きい。 

また、あえて付言すれば、日本脳炎は発症した場合は20~40%が死亡するこわい病気としてワクチン接種が勧められています。しかし国内で発症者は、殆どが九州・沖縄や中国・四国であり、年間10人に満たない状況です。人から人に感染する伝染病ではなく、コガタアカイエカを媒介とする病気であり、現在は全国的に見ても発症は激減、発病者も限定された地域の高齢者であり、接種対象である子どもに定期接種をすることすら問題です。

全国的に定期接種をすることこそ見直しをすべきですが、特に日本脳炎が発生しない北海道で定期接種をすることには全く合理性はありません。

5 1人の子どもについて通算4回の接種が必要であるが、費用対効果に疑問がある。

接種費用は1回約7000円といわれていますが、これを道内で定期接種とした場合、それにかかる費用は莫大であり、将来他地域に行くかもしれない費用対効果を考えても合理性は認められません。接種費用は約11億3千万円とされていますが、これまでの国の方針では、小児期に接種できなかった人への補充接種をしています、この方針がとられた場合、仮に接種対象として、北海道の19歳以下の住民(約90万人)に4回接種を行う場合、接種費用だけでも単純に計算して90万人に4回×7000円で約252億円と言う莫大な支出となります。

5 死亡を含む重篤な副作用が他のワクチンに比較しても多く、接種する根拠がない。

日本脳炎ワクチンは不活化ワクチンですから、基礎免疫に加えて追加接種が必要ですが、通算4回の接種においてはADEMを含む重篤な副作用が発生しており、これは日本脳炎発症数より多いのです。ワクチン接種で発症を防いでいるという検証もされていません。5年前に改良されたワクチンになったとされていますが、副作用の発生率はむしろ増加しています。定期接種した場合は副作用の発現、増加は避けられません。

以上

(注1)

予防接種法
(昭和二十三年六月三十日法律第六十八号)

 

最終改正:平成二五年一二月一三日法律第一〇三号
第五条  市町村長は、A類疾病及びB類疾病のうち政令で定めるものについて、当該市町村の区域内に居住する者であって政令で定めるものに対し、保健所長(特別区及び地域保健法 (昭和二十二年法律第百一号)第五条第一項 の規定に基づく政令で定める市(第十条において「保健所を設置する市」という。)にあっては、都道府県知事)の指示を受け期日又は期間を指定して、予防接種を行わなければならない。
 都道府県知事は、前項に規定する疾病のうち政令で定めるものについて、当該疾病の発生状況等を勘案して、当該都道府県の区域のうち当該疾病に係る予防接種を行う必要がないと認められる区域を指定することができる。
 前項の規定による指定があったときは、その区域の全部が当該指定に係る区域に含まれる市町村の長は、第一項の規定にかかわらず、当該指定に係る疾病について予防接種を行うことを要しない。
予防接種法施行令
(市町村長が予防接種を行うことを要しない疾病)
第二条  法第五条第二項 の政令で定める疾病は、日本脳炎とする。

(注2)

総務省行政評価局は、行政苦情救済推進会議の意見を踏まえて、関係省庁等に審議の斡旋をするところ、2014年8月22日に厚生労働省に対して、北海道における日本脳炎に係る定期の予防接種を実施することについての検討を出しました。

これによると、総務省は、「日本脳炎の地域における発生状況や都道府県域を越えた移動の拡大を踏まえると、感染の危険性などの疫学的検討については、医師等の専門家を含め、更なる検討を行う必要があると考えられます。したがって、予防接種法(昭和23年法律第68号)第5条第2項の規定に基づき予防接種法施行令第2条において日本脳炎を規定していることの是非等について、厚生科学審議会において調査審議して頂くことが適当であると考えられます。 なお、これを踏まえ、貴省において御検討の措置結果等については、平成26年11月25日までに当省に回答してください。」として厚労省における検討を求めています。

北海道における日本脳炎に係る定期の予防接種を実施することについての検討

-行政苦情救済推進会議の意見を踏まえたあっせん-

http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/87727.html

概要

http://www.soumu.go.jp/main_content/000308163.pdf

あっせん

http://www.soumu.go.jp/main_content/000308189.pdf

(文中ゴシック体部分はあっせん文中より引用)

以上