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アフリカの食品ロス撲滅めざすローテクソーラー冷蔵庫

食料が十分に買えない人が多いアフリカで、フードロスは深刻な問題。栄養不良の人が何百万もいる一方で、アフリカで生産される果物や野菜の半分が捨てられている。最大の理由は、貯蔵設備の問題。冷蔵設備が少ない上に、たとえあっても停電がしょっちゅう起きるため、せっかく採れた穀物や根菜、イモなどの主食の多くが市場に出る前に廃棄されている。国連の報告によると、このフードロスは、アフリカ住民300万人分の食料に匹敵するという。

この問題に取り組んでいるのがナイジェリアの若き企業家ンナエメカ・イケグウオヌさん(35歳)。世界のフードロスが平均33%なのに対して、ナイジェリアのフードロスは実に80%にのぼるとも言われている。ナイジェリア南東部イモ州の農家で育ったイケグウオヌさんは、この国がかかえる農業・食料問題に長い間取り組んできた。最初の取り組みは21歳のとき。収量を上げるために、小規模農家の基金を設立した。さらにその環を広げ、農家向けに地域資源に根ざした農法や害虫防除、マイクロクレジット、家計、食料自給、栄養、エイズやマラリア対策など、農家の生活を支援するラジオの全国放送を運営している。

イケグウオヌさんがいま取り組んでいるのは太陽光発電を使った移動式の共同冷蔵庫だ。「ナイジェリアは広大な国土を持ち、小規模農家が9000万人いるけど、冷蔵設備がないんだ。たとえばトマトは、西アフリカ最大の栽培地帯をもっていながら、冷蔵できないために生産量の50%が廃棄されている。そこで、ソーラーパネルを使った共同冷蔵庫をつくったわけ。これに入れておくと、食料の保ちが最大21日間延びるんだ。目標は、この設備を途上国全体に拡げること。」

コールドハブ ColdHubと名付けられたこの共同冷蔵庫は、ソーラーパネルの屋根に大容量バッテリーと、120mm厚の断熱材で囲った業務用冷蔵庫を組み合わせたもので、消費電力は約1kW。3日間日照がなくても冷やし続けることができる。開発にはドイツの冷凍空調工業会が協力した。各農家は、保存する量に応じて、日単位で使用料を払う。冷蔵することで、農家は作物の廃棄量を80%減らせるという。すでにナイジェリア各地の農場や市場に拡がっている。イケグウオヌさんは、向こう10年間でコールドハブを2万台増やす目標を立てている。

「ナイジェリアの大魚市場にも1台入って、そこで働いている300人の女性が冷蔵庫を使えるようになった。来年はタンザニアの難民市場にも納入することになっている。農家から仲買、卸まで、あらゆる所で生鮮食品のロスをなくして、女性が働ける場を拡げるんだ」とイケグウオヌさんは抱負を語る。

 

出典:Kate Hodal, “How the sun’s rays can keep food chilled: fighting waste in Africa”, The Guardian, 28 Dec 2017. 

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