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予防接種ネット・de・講座35回 タミフルは使わないが正解!~カギをかけて見守り!と公言するNHKのへんてこ報道の裏側

今年もインフルエンザにかかり、「ワクチン接種をしたのに、・・でもおかげで軽く済んだ!?」「ワクチン接種の予約がとれず心配」「タミフルを処方されて気分が悪くなった」などなどの声が聞こえてきます。前回はワクチン不足病の事情をお知らせしましたが、今回はNHKなどが「タミフルを飲んでも飲まなくても異常行動が起きますが、タミフルを飲んだらしっかり見守り、部屋から出さないようカギをかけましょう」の報道について考えてみましょう。

2017年11月27日、NHKニュースを見ていたら、「タミフルなどの抗インフルエンザ薬の服用の有無に限らず、患者のそばを離れないように見守りましょう」とアナウンサーが真顔で呼びかけをしていました。そこで、厚労省の配信サービスをみると、

・小児・未成年者がインフルエンザにかかった時は、異常行動にご注意下さい
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=238399

異常行動に関する報道発表(厚労省から川田龍平議員が提供を受けた資料一式)

との記載がありました。NHKが一見奇妙な報道を公共放送として流した裏側にはどんな事情があるのでしょう。

薬害タミフルを忘れない

タミフルなどの抗インフルエンザ薬は、インフルエンザに罹ったときに病院から処方されます。ワクチンで防げないインフルエンザを補完するものとして、日本では多用されています。21世紀の新しいインフルエンザ対策として、「ワクチン接種→検査キット→抗インフルエンザ薬」として導入時には、検査キットが不完全(陽性反応がでるのが遅い)なまま、タミフルの処方がすすめられ、一時は世界の7割の量を日本が消費する乱用ともいえる状況の中で、タミフル脳症というべき重篤な副作用により、異常行動により多くの子どもがマンションから飛び降りて死亡したり線路に入り轢死しタミフル訴訟も起きました。薬害そのものといえ、薬害タミフル脳症被害者の会の方たちは、今もタミフルなどの抗インフルエンザ薬の危険性を啓発しています。

http://www.tamiflu89.sakura.ne.jp/

なぜ抗インフルエンザ薬(タミフルなど)が必要なの?

インフルエンザは、感染症を恐れる環境にないこの日本において、いまだに感染とまん延の機会の多い病気といえるでしょう。しかし、死亡や重篤な合併症を防ぐのに、ワクチンの無効性は否定できませんし、タミフル等の抗インフルエンザ薬にも有効性や副作用の点で問題があります。タミフルなどが使用されるのは、インフルエンザウイルスは細胞内へ侵入後に、自らが保有するRNA遺伝情報を細胞内へ放出しウイルス合成に必要な遺伝子やタンパク質を合成するとウイルスが大量に作られ、細胞の外へ放出されます。これを繰り返すことでインフルエンザウイルスの増殖が行われると考えられていますが、インフルエンザウイルスが細胞表面から放出される際にはノイラミニダーゼという酵素が必要となります。

そこで、ノイラミニダーゼ阻害作用によりウイルスを細胞表面に留まらせ細胞外へのインフルエンザウイルスの遊離を抑えることで、ウイルスの増殖を抑えるために抗インフルエンザ薬が使われるようになりました。一言でいうと、インフルエンザウイルスに感染した細胞からウイルスが放出されるのを阻害しウイルスの増殖を防ぐための薬です。

抗インフルエンザ薬の主な副作用や注意点~タミフルはインフルエンザ脳症を予防しない

現在、抗インフルエンザ薬には、タミフルのほかに、リレンザ、ザナビル、ラピアクタなどが認められています。当初から薬剤耐性が問題(だからワクチンはいつまでも必要といわれてきたとされたり、副作用が問題にされながらも使用がすすめられてきました。副作用としては精神神経系症状(薬剤によってあらわれる症状が異なる場合がある)めまい、頭痛、不眠など、消化器症状、吐き気、下痢、口内炎などがいわれてきましたが、薬剤投与後の異常行動に関して、「因果関係ははっきりと解明されてはいないが十分に注意する。特に未成年に関しては薬剤の投与後に一人にしないなどの配慮が必要」とされてきました。

感染症などの病気にアスピリンが多用され、ライ症候群が問題になってのち、日本ではアスピリンに変わり、非ステロイド系解熱剤(ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸(商品名ボルタレン、ポンタール)などのNSAIDs(炎症を抑える薬剤))で子どもに脳炎・脳症が非使用国と比較して増加し、良心的な小児科医などの運動でようやく使用が禁忌となった経緯があります。現在は解熱にはアセトアミノフェン(商品名:カロナール など)が推奨させていますが、原則的には感染症に解熱剤はすすめられません。

インフルエンザワクチンの大復活がもくろまれた1990年後半から、高齢者施設でのインフルエンザによるとされる肺炎死亡や、子どものインフルエンザ脳症が問題とされる中で、「インフルエンザ脳症はNSAIDsが原因」との調査結果がでましたが、調査方法などを変更することであいまいにされました。NSAIDsに変わり、タミフルなどで異常行動が問題とされる中、12歳以下にはタミフルは使わないという方針がだされましたが、結局タミフルを使用してもしなくても脳炎発生には差がないなどとの報告がされ(この点はHPVワクチンの副作用についても厚労省は同様の主張しようとしはじめています)、赤ちゃんへのタミフル(ドライシロップ)が認められ、ザナビルやラピアクタなどが認可されました。高齢者施設では意味のない予防投与も認められ、成人にはもちろん、「見守り」を条件に子どもにも処方され続けています。

今年のタミフルなどの生産量は?

日本では、新型インフルエンザ対策などとして、自治体は莫大な予算を組んでタミフルを備蓄しています。日本では、もう約10年前の2007年2月5日に 薬のチェックが加盟している国際医薬品情報誌協会(ISDB)は、2月2日、一般市民向けにはインフルエンザに対してタミフル(オセルタミビル)の使用を控えること、WHOに対して新型インフルエンザ対策としての備蓄を中止するように要請する声明を発表しています。これは、「薬のチェックは命のチェック」やFDAからの情報から、タミフルでは利益よりも害の面が急速に増大してきていることをうけ、ISDBが声明を出したものです。

(原文 http://www.npojip.org/sokuho/no75-ISDB.pdf)。

今年の抗インフルエンザ薬の生産量を見てみましょう。厚労省によれば、

今年の生産量は

抗インフルエンザウイルス薬  今シーズンの供給予定量(平成29年9月末日現在)は約1,886万人分で、それぞれについては以下のとおりです。昨シーズン(2016年10月~2017年3月)の消費量は約577万人分でした。

ア タミフル(一般名:オセルタミビルリン酸塩 中外製薬) 約710万人分 ※タミフルカプセル75及びタミフルドライシロップ3%の合計

イ リレンザ(一般名:ザナミビル水和物 グラクソ・スミスクライン) 約281万人分

ウ ラピアクタ(一般名:ペラミビル水和物 塩野義製薬) 約70万人分

エ イナビル(一般名:ラニナミビルオクタン酸エステル水和物 第一三共)約825万人分

今般、厚労省がこのような広報を始めた背景にはタミフル脳症(副作用)が無視できないほど把握されたのではないか確認する必要があります。

タミフル問題への貴重な提言

タミフル裁判にも関わり、一貫してタミフルの危険性を提言されてきた浜六郎医師は、薬のチェックで以下のように情報提供されています。

薬のチェック速報No176

タミフル服用後は、異常行動が16倍に

先日来、抗インフルエンザ剤など服用後の異常行動が報道されています。荒い分析では、タミフルの異常行動の危険度(オッズ比)は、リレンザの2倍、イナビルの11倍、全体で5倍でした。年齢別に服用人数が異なります。タミフルは10代が原則禁忌だからです。

そこで、これを考慮して、さらに詳しく分析しました。年齢別に分析して、メタ解析したもので、年齢調整オッズ比となっています。タミフルは他剤よりも16倍異常行動を起こしやすいということが分かりました。

速報版 http://www.npojip.org/contents/sokuho/1.html

http://www.npojip.org/sokuho/171127.html

また、インフルエンザ用抗ウイルス剤(ノイラミニダーゼ阻害剤)を、日本は英国の1200倍超使っています。人口換算値です。基本的には使う必要のない薬剤なのです。鍵をかけるより、使わないようにするべきです。抗ヒスタミン剤や咳止め、抗生物質などもインフルエンザには無効です。きつい解熱剤 (非ステロイド抗炎症剤)は害が大きいので使わないこと。そして、インフルエンザに は、十分な睡眠と休養が最も大切であることを、今一度見直してください。NPO法人医薬ビジランスセンター(薬のチェック) 浜 六郎さん

国際的なタミフル評価に注目

医療問題研究会代表で医師の林敬次さんは、インフルエンザやタミフルの問題を海外の学者などと共同研究されて、コクランにも採用されています。海外の状況についてのレターの引用を許諾いただきましたのでご紹介します。

EBMの前進:WHOタミフルを重症患者に限定使用、に格下げ (NEWS No.502 p01)

By admin– 2017年7月7日

6月6日に発表されたWHOが世界中で使用する基本的薬品リスト1)の中で、これまで「中核的薬剤」とされていたタミフルが、「補助的薬剤」に格下げされました。しかも、使用は入院・重症に限るとなっています。 このことが英国医学雑誌BMJ2)に載っていることを、読者の方に教えてもらいました。

この中で、BMJの編集長は、臨床試験データの入手と独立したレビューへの闘いの一里塚、と述べています。 今回のWHOの決定は、医問研の運動によって公表された3)日本小児科学会の見解と似ています。重症に効くとの確かな証拠もないので、使用を重症に限定することは妥協の産物かも知れませんが、重症はまれですから重篤な副作用をほぼなくせます。

ご存じの様に2009年インフルエンザ・パンデミックの最中、米疾病管理センターCDCを先頭にWHOも含めてほとんどの政府・国際機関は抗インフルエンザ薬を推奨しました。 しかも、EBMの砦であるコクランレビューも、備蓄や臨床使用の根拠である入院や肺炎を防ぐとしていたのです。タミフルを使用していない医問研の仲間は窮地に立ちました。

ところで、コクランレビューにはその結論などへの反論を「Feedback」する制度があり、すでにインフルエンザワクチンでFeedbackが掲載されていた私は同年7月に投稿しました。内容は、このタミフルのレビューに採用した文献には、タミフルの製造販売企業ロシュ社の内部資料的な怪しい文献も入っており、それを除けば、統計的有意のある効果はないこと、ロシュ社から利益を受けている著者達の文献が使われているなど、データが信用できないとの指摘でした。 このレビューを率いるT・ジェファーソン氏は、このFeedbackに応じレビューの再検討を開始、正確なレビューにするためにロシュ社に元データの公開を要求しました。ロシュ社はそれを拒否、コクラン・BMJ・英国営放送BBCなどがデータ開示運動を展開して公開させ、EBMの「革命的」4)前進を勝ち取りました。そのデータも含めて、浜六郎氏も参加したレビューが現在のものです。 その結論に基づけば、タミフルは「中心的」薬剤ではないことが明白になったため、WHOのエッセンシャル・ドラッグが改訂されたのです。

今回のWHOの改訂は、コクランなどのEBMを発展させようとする世界の仲間と協力すれば、EBMをゆがめる製薬企業との闘いに勝利できることを示した大きな成果です。

はやし小児科 林 敬次

1)WHO Model List of Essential Medicines 20th List (March 2017)

2)Kmietowicz Z. BMJ 2017; 357 J2841 doi: 10.1136/bmj.j2841

3)http://ebm-jp.com/2016/04/report20151102/

4)ベン・ゴールドエイカー「悪の製薬」青土社2015年

公衆衛生学会誌林のサムネイル

タミフル報道の裏側の一端です。日本で薬害が根絶されないのはなぜか。引き続き皆様からの情報をお待ちしています。

(古賀 真子)

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