消費者のための安全安心情報サイト

予防接種ネット・de・講座 その32 副反応検討部会がめざすのは子宮頸がんワクチン被害の希薄化!?

2017年7月28日、中央労働委員会講堂にて、第28回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会。平成29年度第4回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(以下、副反応検討部会という)が開催されました。

(資料)

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000172884.html

この副反応検討部会は、前回の同部会で「子宮頸がんワクチンの接種歴のない人にも、多様な症状がでていることから、それらについて詳しく情報収集するために専門家からのヒヤリングを行う」との意見をうけて開かれたもののようでした。

 

資料1-1から、1-4にあるように岡山大学小児科准教授の岡田あゆみ氏、JR東京総合病院小児科の奥山伸彦氏、国立障害リハビリテーションセンター病院第三市医療部小児科医長の田島世貴氏、慶応義塾大学病院小児科学教室助教授鴇田夏子氏が発表されました。

 

岡田あゆみ氏の資料

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000172878.pdf

(引用 下線は著者)

様々な契機で慢性の疼痛や運動の障害、各種の神経症状を呈し、日常生活に支障を来して岡山大学病院を受診した3症例について、症状、経過、診療方針、転帰等の報告

【3症例の方の概要】

  • 発症から受診までの期間 : 半年から1年。複数の医療機関で相談歴あり
  • 事例概要

A)全身痛、歩行障害、視力障害、睡眠の質の低下などがあり、登校できない

B)全身痛、食欲低下、易疲労感、集中力の低下などがあり、登校できない

C)全身痛、下痢や便秘、光や匂いへの過敏さ、睡眠の質の低下などがあり、登校できない

  • 診断までの経過:複数の診療科での診察や検査を経て、他の器質的疾患を除外することで診断

「心因性」という評価については、断定・同意が難しい症例もあり「機能性」として対応

*治療方針:心身両面からのアプローチ(心身医学的アプローチ)

・ 患者、家族への十分な説明と信頼関係の構築する

原因を追究するのではなく、「症状があってもできることをさがす」という認知行動療法的なアプローチを開始

生活リズムの改善・体を動かすことを通して筋力低下を予防することなどが重要なことを説明し、日常生活の中でできる活動を少しずつ増やしていく。達成感と共に、周囲の肯定より自己評価の改善を図る

・ 家族や学校に協力を依頼し、周囲が連携して支援する体制を構築する

・ 初診後の転帰:治療期間は約1~5年、3例とも体調に合わせた登校が可能となったが、症状は持続しており軽快と判断できていない

(参考)

身体症状症および関連症群にどのようなものがあるかを挙げ、重症度を段階化している。中略

線維筋痛症については、

  1. 全身的な慢性(3ヶ月以上)の疼痛
  2. 指による触診で、少なくとも特徴的身体の部位 指による触診で、少なくとも特徴的身体の部位、指による触診で、少なくとも特徴的身体の部位 18 ヶ所のうち 11 ヶ所以上に圧痛点を確認する ヶ所以上に圧痛点を確認する ヶ所以上に圧痛点を確認する」ものとしている。

    奥山伸彦氏の資料

    http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000172879.pdf

     

    「多様な症状」を生じた患者に対する診療 -本日の事例概要-

    「多様な症状」が生じてJR東京総合病院小児科を受診した方のうち 6名について、主治医から症状、経過、診療方針、転帰等について報告。

    【6名の方の概要】

    1.発症時8歳女性:手術と帯状疱疹が先行し、両側大腿の紅斑と疼痛が出現、しばしば登校不可能となる。可能な運動を勧奨、7~8年かけて段階的に改善。

    2.発症時12歳女性:転落事故、膝挫傷が先行し、ほてりと全身の関節痛が出現、POTS合併、しばしば登校不可となる。可能な運動を勧奨、7カ月後には自制範囲内に。

    3.発症時9歳女性:インフルエンザワクチン1週間後に下肢痛が出現、2回目で悪化し、全身痛、アロディニア出現し、一時登校困難に。鎮痛剤が一時有効で、自発的運動を制限せず観察が可能となり、1年後には自制内に。

    4.発症時17歳女性:ピル(生理不順の治療)の服用後に手足のしびれ感と下腿の蒼白が出現、血栓症は否定されたが、下肢のミオクローヌスや全身の痛みが持続。ピルが原因との認識を否定せず、可能な運動を推奨。徐々に改善し、約1年半でほぼ症状消失。

    5.発症時7歳男児:日本脳炎ワクチン2回接種1ヶ月後、風邪症状が先行して、下肢痛による歩行障害が出現。神経内科的な精査と並行して、自発的運動を主体に運動を勧奨し、徐々に登校可能に。約1年半後にほぼ生活は正常化

    6.発症時6歳女児:下肢痛と重症口内炎を契機に全身の痛みと下肢の出血斑が出現し、原因不明のまま症状が遷延。2年半後から当院で診療;慢性疼痛として対症的に診療し、徐々に発作的痛みが減少し、生活が改善。10年を経過し、ほぼ普通の生活が可能に。 診療方針:①除外診断、②様々な原因で疼痛を主体とする多様な症状が起き得ることの説明、③対症療法とともに運動を積極的に推奨、④学校や希望進路への積極的支援


     田島 世貴氏の話

    http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000172880.pdf

     

    「多様な症状」を生じた患者の診療 〜機能性身体症候群の観点から

    -本日の事例概要-

    発達障害や光過敏性など生来の特性を背景に、睡眠不足や急性・慢性ストレスが加わることで発症した機能性身体症候群患者4名について、症状、経過、診療方針等について報告。

     

    【4名の方の概要】

    診療方針:発達や感覚の生来特性認知と負荷因子軽減のための環境調整

    • 知的に十分な力があるために学校等で見過ごされた特性を整理し本人、家族、支援者へ十分な説明を行う。
    • 特性を知らないうちは「努力で解決できる」と本人、周囲共に考え、努力しハンディキャップを補う戦略をとっているため、覚知後は特性を踏まえ、ハンディキャップを小さくする環境調整を行う。
    • その上で、対処療法があれば医療的対応を行う。
    発症年齢

    ・性別

    主要症状 発症関連因子 診断
    17歳男子 痛み、倦怠感、まとまらない思考、睡眠異常、感覚過敏 睡眠不足蓄積、注意欠陥多動性障害 慢性疲労症候群
    11歳女子 痛み、過度の眠気、化学物質過敏、脱力 睡眠不足蓄積、月経、自閉スペクトラム症、注意欠陥多動性障害 線維筋痛症
    14歳男子 過度の眠気、痛み、脱力 睡眠不足蓄積、自閉スペクトラム症、注意欠陥多動性障害 線維筋痛症
    12歳女子 羞明、腹部症状、立ちくらみ、脱力を伴う倦怠感 学習時の見えづらさによる慢性ストレス、アーレン症候群(光過敏) 起立性調節障害

    鴇田 夏子氏の資料

    http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000172881.pdf

    「多様な症状」を生じた患者の診療-本日の事例概要-

    多様な神経症状を生じて慶応義塾大学病院小児科を受診し、症状が軽快した方のうち2名について、主治医から症状、経過、診療方針、転帰等について報告。

    【2名の方の概要】

    • HPVワクチン接種歴なし
    • 発症から慶応義塾大学病院を受診するまでの期間:11ヵ月~1年4ヵ月

    (その間は近医受診など)

    • 事例概要

    A)上下肢の伸展、意識障害を認め、当院受診まで神経内科、精神科へ入院していた。

    B)頭痛、吐気に加え、脱力感、歩行不能を認め、徐々に学校に行けなくなった。

    診療方針:患者・家族へのカウンセリングと患者への食事介助

    ・ 患者、家族への十分な説明

    ・ 家族への面接により患者の成育歴、気質を十分に聴取し、家族の患者に対する適切な支援を指導

    ・ 症例A)は入院中の食事介助や定期面接を通じて、症例B)は外来面接を通じて信頼関係を構築し、過去の対人関係での辛かった思いを傾聴

    ・ 過去の辛い思いを家族、治療者が受け止めていくことにより症状は軽快。

    ・ 慶應大学病院初診から6〜9ヶ月で症状はほぼ消失。現在社会復帰に向けて外来診療を継続中。

     

    副反応検討部会が行うべき議論か?

    副反応検討部会が果たす役割は「ワクチン接種とそれによって生じた症状についての原因究明を公正な立場から行うもの」ではないのでしょうか。

    これまで、厚労省は、祖父江班の報告や名古屋での疫学的報告を重視し、「ワクチンを打たなくても男女を問わず同じような「さまざまな症状が発生する」ゆえに、子宮頸がんワクチンで生じているのは副反応ではなく、「心因性」または「機能性」の症状であるとの説明へと誘導し、現に激烈かつ重層的で多様な副作用被害を発症している多くの少女たちの被害を認めようとませんでした。

    今回の部会では、4名の専門家は共通して、接種していない思春期前後の通院や入院した事例を報告し(させられ)、その対処方法として、原因を追究するのではなく、「症状があってもできることをさがす」という認知行動療法的なアプローチを開始し、その結果ある程度改善できたものやそうでないものについての説明をさせられています。

    しかし、この部会はそもそも、ワクチンの副反応について検討すべき審議会です。ワクチンを打たなくても同じような重篤な症状が、原因不明(でないものもありそうですがインフルエンザワクチンや日本脳炎ワクチンの副反応と思われるものも混在しています)で起きることについての治療実績をヒヤリングすることに何の意味があるというのでしょうか。

    百歩譲って、背後に今後の子宮頸がんワクチン被害者の治療方法を模索検討するという隠れた意図が仮にあるとすれば、そのことを前面に出して議論をすべきでしょう。(この部会ですることではなく別の部会ですべきかもしれませんが)。その場合はHANSなど症例研究を真摯な治療のなかから提唱している医学者の方の意見をなぜ聞こうとしないのでしょうか。

    子宮頸がんワクチン被害者救済を迷走させない!

    2010年の接種開始から7年目。訴訟が起きる中、原告の数も125名となりました。厚労省は相変わらず、因果関係の検証を避け、社会の関心が薄れていくことを待っているようにしか思えません。

    2017年7月9日のワクチントーク全国集会では被害者連絡会からご提供いただいたものを栗原敦さんがまとめた、これまでの被害申請や認定の一覧表を資料に入れています。

    HPV被害申請給付実績

    これを見ると提訴した方だけでなく、多くの方が申請をだしながら、認められず苦しい思いをされていることが垣間見えます。

    厚労省は被害救済と併せて治療方法の確立のための特措法を早期に制定すべきです。


    *2017ワクチントーク全国集会資料をご希望の方は事務局の青い保育園にお問い合わせください。

    1冊700円(送料込)でお分けしています。(問い合わせ先)℡03-3777-7470(青野)

    (古賀 真子)

カテゴリー