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民法(債権法)が改正(成立)されました~知っておきたいミニ知識

民法については債権法と親族相続法の改正が長い間議論されてきました。消費者契約法など関連法や18歳に成年年齢を引き下げる議論への対応なども消費者委員会などで進められています(注1)が、親族相続法の改正に先駆け、企業や消費者の契約ルールを定める債権関係規定(債権法)に関する契約ルールを大幅に見直す民法改正案が2017年4月14日に衆院本会議で与野党の賛成多数で可決され、5月25日には、参院法務委員会で自民、公明両党と日本維新の会、共産党などの賛成多数で可決。5月26日の本会議で可決、成立しました。

民法改正案は2009年に千葉景子法相(当時)が法制審議会(法相の諮問機関)に改正を諮問しました。法制審議会が5年以上かけて改正要綱案をまとめ、それを基に政府が2015年3月に国会に法案を提出していたものです。公布から3年以内に施行されるとされています。

企業が消費者に示す契約条項(約款)が無効となる基準を示すこと等が柱で、契約分野の大幅改正は明治時代の民法制定以降初めてです。債権部分の抜本改正は民法制定以来、約120年ぶりで時代の変化に対応するのが狙いで、判例で定着したルールを法案に明記したものとされています。

日本弁護士連合会などは、これまで、何度か親族法分野も含め、意見書をだしていましたが、(債権法への意見書は下記)保証人保護の拡充や約款ルールの新設など、利害の対立する複数の契約当事者間の適正な利益調整を図り、かつ、健全な取引社会を実現するために、必要かつ合理的な改正提案として評価されていました。

https://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2015/150319.html

今回の改正法は「約款に合意すれば内容を理解していなくても契約が成立すると定める一方、一方的に消費者の不利益となる内容は無効とする」との趣旨での改正であり、消費者契約法や特定商取引法など関連の消費者保護関連法の改正も議論されるなか、ようやく改正に至ったものであり、広くかつ、わかりやすく周知されることが望まれます。

改正法要綱案は94ページに及ぶものです

http://www.moj.go.jp/content/001142180.pdf

で民法総則の意思表示や代理、時効等についての改正、債権部門では法定利息や契約ルール(損害賠償や履行債務、保証、連帯債務)等多岐にわたります。

主な改正点は、(新聞記事などの要約に限って引用)

1 未払い金や滞納金を請求する権利がなくなる期限(消滅時効)のルールも変更。原則として「請求できると知った時から5年」に統一する。

2 当事者間で利息を定めていない場合に適用する「法定利率」の引き下げです。現在は年5%に固定されている利率を低金利時代の実勢に合わせ3%に引き下げる。さらに3年ごとに見直す変動制を導入しました。

3 インターネット通販など不特定多数の消費者に示す「約款」に関する規定も新たに設けます。一方的に利益を害すると認められた内容は無効になると定め、消費者保護を打ち出しています。

4 短期消滅時効(飲食代のツケなど)の支払い時効については、は飲食代は1年、医師の診療報酬は3年など業種ごとに異なる「短期消滅時効期間」を廃止します。新たに「権利が行使できると知ったときから5年」とする一般原則がつくられます。

5 ながらく問題とされていた、連帯保証制度は、中小零細企業への融資などで第三者が個人で保証人になる場合、公証人による自発的な意思の確認が必要となります。親族らがリスクを十分に認識せずに保証人になって、自己破産に追い込まれる例などが考慮されました。

このほか、判例によってすでに定着しているルールも書き込まれます。重度の認知症など判断能力がない人の法律行為は無効であると明記され、賃貸住宅の敷金返還のルールも新たに加えられます。

民法改正をうけて、他の消費者関連法も早期により消費者保護のための改正がすすめられることが望まれます。

(古賀 真子)

(注1)消費者委員会での消費者関連法の議論

 


(参考)

法務省HP

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00175.html

 

新旧対象条文

http://www.moj.go.jp/content/001142671.pdhttp://www.moj.go.jp/content/001142671.pdf

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