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予防接種ネット・de・講座 その31 子宮頸がんワクチン訴訟を支援し、予防接種問題を考えましょう

子宮頸がんワクチン訴訟の今~2017年5月10日東京地裁 第2回口頭弁論

HPV薬害訴訟提訴まで

子宮頸がんワクチンは、集団訴訟に至るまで、被害者の会(全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会・各支部)を中心にそれを支える自治体議員、弁護士などが被害者救済のためできるかぎりの活動を続けてきました。

入廷する原告団2016年3月30日に提訴方針の記者会見を行い、2016年7月27日に東京、大阪、名古屋、福岡の各地方裁判所で第一次提、2016年12月14日には第二次提訴で、合計119名の被害者が集団訴訟をおこしています。

これらの訴訟はHPVワクチン薬害訴訟とされていますが、過去の予防接種被害訴訟と同じく、国が勧めて、自治体が実施主体となり、教育機関も協力を求められて勧められた「公的接種」による発生した広範囲かつ重篤な予防接種副作用被害についての責任を国や製薬会社が問われることになった裁判です。

国については、国家賠償責任、損失補償責任を、製薬会社には不法行為責任、製造物責任を問うものですが、予防接種法の枠組みを超えた異例の接種形態がとられたこと、世界戦略のもとで、製薬会社のプロモーション活動を背景に医療・経済界だけでなく国際的、政治的な背景も複雑にからんでいることから、被害の発現と救済の必要性は明白であるものの、難しい訴訟となっています。訴訟にいたるまでには、医療ジャーナリスト等を利用した良心的な研究者や支援者へのバッシングがあり、全国の特に若い弁護団の手弁当による活動やこれまでの薬害・医療被害問題に取り組んできた市民団体の支えのもとにようやく提訴に至ったものです。

リスク回避のために、わずか2か月半で定期接種を実質的に中止した厚労省は、その後、医療相談の協力機関を設けたり、実際は機能していないPMDAに上乗せした救済策を打ち出したり、医療機関の心ない対応に医師会の協力をもとめたりと、事態収拾に狼狽しながらも、着地点を探る厚労省の苦悩が透けて見える一方で、祖父江班の研究発表(注1)は明らかに訴訟対策であり、7年間の引き延ばしにより、世論収まりと導入から今日に至るまでの関係者の責任をあいまいにするものであり、この報告について評価は今まさに、厳しく問われなければならないといえます。

これまでの経緯を振り返りながら、2017年5月10日東京裁判第2回口頭弁論を傍聴した報告と今後の支援のあり方や予防接種問題への対応を考えたいと思います。

子宮頸がんワクチン問題

子宮頸がんワクチン(以下、ワクチン)のグラクソスミス・クライン社のサーバリクスの日本承認は2009年12月、2010年11月から緊急促進事業としての公費助成が始められ、途中ワクチンが不足しているとして、2011年8月にはMSD社のガーダシルが導入されました。2014年4月には私たちの強い反対を押し切って、定期接種とされたものの、わずか2か月半2013年6月の副反応検討部会で、積極的勧奨が中止されました。(この間の関係団体の動きについては、CNJブックレット、それでも受けますか?予防接種の86~90頁参照)

異例の速さでの公費助成と初めて採用された任意接種でありながら「事業接種」という枠組みで開始されたワクチンですが、周知のように、全国的に副作用被害を多発させました。定期接種となる前からも様々な症状に苦しむ少女の様子が報道されましたが、一方で厚労省の検討会等は一貫してワクチン擁護の立場を崩さず、因果関係を否定し続けてきました。積極的勧奨を再開させようとの圧力も、米国を始め、日本の医療界からも強くあり、被害者バッシングも起きる中で起こされた訴訟は、被害者のさまざまな重層的、多様かつ深刻な症状(注2)を乗り越え、連帯の力によって支えられています。

国(厚労省発表)の報告によれば、販売開始から2016年8月末まで、2剤の合計で、約892万回接種(339万人)がされ、有害事象報告3017件、うち重篤1670件とされています。ほとんどがPMDAでの(注3)救済対象ですが、3000件以上の申請のうち、これまで認められたものは数えるほどしかありません。

厚生労働省の副反応検討部会は、2014年1月に、「接種の痛みと痛みに対する恐怖が惹起する身の反応(機能性身体症状)」であり、ワクチンの成分や設計は関係ない」とし、その後も一貫した姿勢です。接種数が激減(1%以下)今、新規の被害発生の実態は明らかにされていませんが、国の副反応検討部会等は「これまでと変わったことは起きていない」との常套文句で、副作用についての検証を避けています。

チャレンジングなワクチンによる新規の副作用

しかし、実際は、このワクチンの特異性に関わる問題点が指摘され始めています。自然免疫の強力な活性化とそれに続く炎症反応は、遺伝子組み換えによってつくられこのワクチンの設計や成分に起因するもので、とりわけ、高い抗体価を維持して感染を予防する目的で作られた点で従来のワクチンとは一線を画するものであるという指摘です。

このワクチン(サーバリクス)は、アジュバンド(ワクチンと一緒に投与して、その効果(免疫原性)を増強する目的で使用される物質(因子)の総称)複合体として、バキュロウイルス((Baculovirus:昆虫を主な宿主として感染する核多角体病ウイルス)を使用しており、この組換えウイルスを昆虫細胞に感染させることでタンパク質を大量に発現させて作られています。

4大訴訟の証人として活躍した白木博次博士がいみじくも15年前に著書「冒される日本人の脳」で指摘した、「遺伝子組み換えワクチンによる新たな副反応と発生機序の解明が困難な新しいワクチン」が登場し世界的に短期間に普及したことによる「未知の副作用」の蔓延が起きているのです。

新しい作り方により、持続的な感染を可能とすることにより、従来国が原則的に副反応発生期間として認めてきた「28日間の壁」がこのワクチンには適用されないという考え方も当然されはじめています。平均9か月以上たってから様々な症状がでている少女の訴えは、これまでのワクチンと隔絶した製法に起因すると考えられるでしょう。

そして、有害な自己免疫反応は、予防や治療用ワクチンに伴うことがあるという考えもだされています。つまり、ワクチンの抗原とヒトタンパク質との交差反応が、有害な自己免疫反応発生の根幹にある可能性があるというものです。病原体に特有でヒトタンパク質に存在しないペプチドを抗原として使用することで、安全かつ有効なワクチンが得られる可能性がある反面、未知の副作用発生の可能もありうるということです。

しかし、残念なことに、国は「ワクチンで副作用が出やすい人のDNA分析」の研究はしたものの、原因究明どころか、「ワクチンをしていてもしなくても同様の症状はでる」との「疫学調査」(注1)を振りかざし、ワクチン自体の問題点についての真摯な究明する姿勢を見せていません。「投与してもしなくても同じ結果がでる」ことを目指した疫学調査など、全く無意味であり、責任回避のためとしか思えません。これはタミフル薬害訴訟等と同じ論理構造で、薬害、食品公害、公害を問われたときのメーカーと保身のための国の累々としたポリシーであり、再発防止の政策がとられない根源的な問題といえます。

5月10日第2回口頭弁論

5月10日の口頭弁論と支援の行動の詳細は下記HP参照
https://www.hpv-yakugai.net/2017/05/10/tokyo/

傍聴者が長蛇の列で並ぶ中、原告および代理人と抽選により許された傍聴者が入廷しました。訴訟資料の確認後、2名の弁護士が2つの書面にもとづく主張をしました。

1つは、HPVワクチンの性質や原告らの症状の共通性、国内で確認された他覚的所見や研究結果などから、HPVワクチンには原告に生じている副反応を引き起こす危険性があるというものです。 ワクチン副作用の発現の機序、抗抗体価維持のための設計と全身症状を発生させること、平均9.5か月を経て症状が発現すること、症状の様子(注2)や、その他の症状について弁論を行いました。

もう1つは、HPVワクチンの対象や効果は極めて限定的であり、子宮頸がんは検診による早期発見・治療が可能であることなどから、HPVワクチンには有用性がないというものです。そして、被告GSK等は、もとの病気にかかるリスクについて、被告は総体リスクの評価していない点で誤っているとの指摘をしました。

次に中学一年で接種後、目がちかちかして後、頭痛、発熱、全身のだるさ、手足のうずく痛みが続き、得意のピアノが譜面も読めなくなり、通信制の学校への転校を余儀なくされた少女が、接種から現在までの症状について陳述しました。

被告の陳述と問題点

これに対してGSKは、相変わらず、子宮頸がんが1万人発症し、3000人が死亡すること。特に20~30代の若い女性に病気が増えていること、ワクチンに含まれている16型.18型で50%は防げるとされるが、他の3つの論文では59.5%や64,9%効果があるというものもあること話しました。

これについてはワクチンの有効性をはじめ、がんの死亡率など反論の材料は多くあります。メーカーや推進派が強調して初期導入時の「有効論、必要論」を敷衍するものであり、7年後の甚大な被害実態を直視しないであいかわらずの必要論は的外れなものといえます。

また、GSKは、検診で予防できるとされているが、若い女性には抵抗のある検診方法であること、検診率は2013年に42.1%と低く、米国の84.5%、英国の81.5%、スウェーデンの79.7%に比較しても低いこと、OECD加盟の35か国の中でも下から5番目で、20代での検診は2013年には22%しかないと陳述しました。

その一方で、海外でも検診が高くても予防できないこと(英国で新規患者が2700人、死亡が1000人、米国で新規患者が13000人、死亡が7000人ある)。細胞診やHPV検査の併用は保険適用されず負担が大きいことなどから検診には限界があることを長々と話しました。

しかし、検診の限界を述べても、ワクチン自体の大きな限界を争っているのですから、いつまでの「ワクチンと検診が車の両輪」というのは、有効性論のもたれ合いであり、ワクチンの有用性、安全性の証明にはなりえません。

また、MSDの代理人は、ワクチンは外科的治療ができないなか、がん予防の科学医学の成功例とし、科学的根拠のあるものをしないことで(本弁論では科学的根拠が示されたわけでは全くない)日本女性をHPV疾患にさらすことの危険性を訴えました。

原告と被告の主張は必ずしもかみ合わないまま、第2回の口頭弁論は終了しました。

途中、傍聴している被害者(少女)が失神をお越し、また原告席の被害者(同じく少女)が体調悪化で退廷しました。

今後の予定は、2017年8月23日、2018年2月14日の同時刻との期日が告知されました。

医学的根拠とはなにか

日本の公害、薬害、予防接種被害、3.11による甲状腺がん・白血病等の放射線障害、(遠からず起きる、フッ素洗口等による子どもの予防医学的見地からの薬物汚染)などに、共通する問題はなんでしょう。

2013年11月に岩波新書から。岡山大学の津田敏秀さんの、「医学的根拠とは何か」という本が出されました。津田さんは、「病気を含めて人間に関する問題で、日本の医学専門家は科学的根拠に基づいた判断ができない。」とし、「世界の医学研究は、実験室から診療室、病室、地域社会へと帰ってきている。臨床研究における鍵は、臨床経験を数量化し、統計学によって分析を行う方法論であるが、日本の大学医学部には人材や組織がなく、開存をすすめる構造もない。動物実験や遺伝子実験はできるが、薬品の認可に必要な臨床での治験や既存の薬剤の長期的な効果に関するような臨床研究を行っても、データは外注する状況である。2013年に大きな問題となった降圧剤の薬害データ改ざん事件も、公害・薬害などの事件における被害拡大の問題と同源なのである。」とし、これまでの日本の、たばこの有害性、PM2.5、O157、水俣病、乳児突然死症候群や放射線による発がんの問題についてそれぞれ、科学に基づいた医療や保健政策がとられなかったことを明確に論証されています。

共通するのは、「数量化して分析する疫学の助けなしには人の病気の因果関係は明らかにできないので、裁判では、裁判官は因果関係の方法論を疫学以外の原因を具体的に上げることができないと、ただ疫学を否定してしまい、科学的証拠を認めない判決が続いている」とし、医学界だけでなく、法曹界や官僚も含め、この点の理解がないことを問題の本質にいきつかず、科学的にもおかしな判決がでてしまう限界としています。

疫学データの数量的な分析が遅れ、直感と権威に頼る医学界では経済的強者や確信犯的な医学者の付け入るすきを与えてきているという点は全く同意できます。そして、保身のために、年月をかけて「なかったとことにする」のは原発でも公害でみ薬害でも同じです。

しかし、国や製薬会社がどんなに覆い隠そうとしても、被害に遭った少女たちやその家族の訴えは、「現実」として強いインパクトがあることをだれも否定できないでしょう。市民運動も裁判でも解決できない、すべてがあいまいな政治判断で左右されることは自立した個人が生きる民主国家にとって不幸なことではないでしょうか。

予防接種についていえば、 「すべての人間は個々に違う。すべての人間にとって、摂取するものは歴史的に受け入れられてきたもの以外はアレルギーになる可能性がある。0才児にこれほどのワクチンはいらない」と母里啓子さんは言います。

子宮頸がんワクチンに含まれる様々な新規の「物質」、アジュバンドといわれるものは今、乳児に1才までに15回接種されるとするワクチンのうち、昨年定期接種化されたB型肝炎ワクチンにも同じものが使われています。そのことをどれほどの人が知り、接種をためらうお母さんにプレッシャーを与えている現実を知ってほしいと思います。

「新しいもの、科学の発達による恩恵、国がすすめるものはすべてよいものですか?」ワクチンスケジュールのアプリを探しているスマホから手を放し、そんな素朴な疑問をもって、特に小さなお子さんを持つ保護者の方は子どもを見つめて、考えてほしいと思います。

増えすぎているワクチン、接種の強制的色合いがすすむ現状のもとで、科学的根拠はなにかを問いながら、予防接種だけでなく、いまこそ、CMに洗脳され、化学物質に囲まれた日常生活を考え直すことを、この訴訟は私たち一人ひとりに問うていると思います。

あらためて、私たち自身の問題として、子宮頸がんワクチン訴訟の支援をよびかけます。

(古賀 真子)


(注1)HPV祖父江班報告書と反論

①第23回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成28年度第9回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会 資料

資料4  全国疫学調査(子宮頸がんワクチンの有効性と安全性の評価に関する疫学研究)(PDF14,878KB)

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000147016.pdf

②第26回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成29年度第1回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催) 資料

追加分析結果

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000161352.pdf

(以上、厚労省資料)

子宮頸(けい)がんワクチンの副作用を調査してきた厚生労働省研究班(代表・祖父江友孝大阪大教授)が2017年4月10日、2016年の第23回の報告①の追加の分析結果を有識者検討部会に報告した②。接種歴がなくても、複数の症状がでる子どもが一定数存在したとし、「接種と症状との因果関係には言及できない」とした。点が強調報道された。これに対して「全国疫学調査」追加分析結果に対する弁護団コメントがだされている。

(全文引用)

全国疫学調査追加分析結果について

2017年4月24日

HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団

はじめに

2017年4月10日、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会及び薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同会議(以下、「副反応検討部会」という)が開催され、厚生労働科学研究「青少年における『疼痛又は運動障害を中心とする多様な症状』の受療状況に関する全国疫学調査」(研究代表者:祖父江友孝。以下、「本調査」という)の追加分析結果が報告された(副反応検討部会資料4。以下、「追加分析」という)。

その「結論」は、2016年12月26日に報告された本調査の結果報告(以下、「初回結果報告」という)と同じく、「HPVワクチン接種歴のない者においても、HPVワクチン接種後に報告されている症状と同様の『多様な症状』を呈する者が、一定数存在した」というものであるが、追加分析を含め、本調査には、このような結論を導く科学的根拠は全くなく、結論は誤りである。

副反応検討部会資料4

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000161352.pdf

 

1 本調査初回結果報告の問題点

当弁護団は、初回結果報告に対して、2016年12月30日、その問題点を指摘した弁護団コメント(https://www.hpv-yakugai.net/2016/12/30/ekigaku-comment/)を公表した。

その要点は以下のとおりである。

① 接種歴なしの女子に副反応症状と同様の症状が発生していることは確認できない

調査対象症例基準で「少なくとも1つ以上」の症状があることしか要求せず、また症状の内容に関する基準は全く定められていない。つまり、研究対象である副反応症状の明確な定義が行われていない。

そのため、本報告が言う「HPVワクチン接種後に生じたとされる症状と同様の『多様な症状』を呈する者」の中には、症状が1つしかない症例をはじめ実際には「多様な症状」とは言えない症例が含まれており、またたとえ症状の数は多くても、内容において副反応症状と「同様」と言えない。

② 本報告が示す、接種歴のない女子における副反応と同様の症状の発症率は、明らかに過大である

本調査における「多様な症状」の判定基準は不適切であるため、実際には副反応症状と同様の多彩な症状が生じていない症例が含まれる。

また、「『多様な症状』を呈する者」の判定を2つの方法で行い、より大きな推計値が得られた「取り扱い②」による推計値を結論であるかのように記載しているが、「取り扱い②」をより正しい推計値とする理由を全く示していない。

③ 接種歴あり群と接種歴なし群に見られる差は、副反応とHPVワクチンの因果関係を示唆するものというべき「多様な症状」を有するとされた女子の個別症状の割合を見ると、接種歴あり群の方が接種歴なし群よりも各症状の有症率が全体的に高く、特に、光に対する過敏、脱力発作、月経異常、記銘力の低下など、副反応患者に特徴的な症状において接種歴あり群の方が著しく高い有症率を示している。

これはHPVワクチンと副反応症状の因果関係を示唆するものというべきである。

2 追加分析でも問題点は解消されていない

当弁護団は、上記弁護団コメントをふまえて、2017年1月23日、原告団と連名の要望書(https://www.hpv-yakugai.net/2017/01/23/ekigaku/)を厚生労働大臣、桃井眞里子副反応検討部会長、及び五十嵐隆安全対策調査会長に対して提出し、弁護団コメントに指摘した本調査の問題点その他本調査に対する批判的意見をふまえて再度本調査について審議し、本調査の結論の妥当性について十分な検討を行うことを求めていた。

しかし、追加分析及びこれについての副反応検討部会の審議では、弁護団コメントに指摘した問題点をふまえた本報告の批判的検討はなされなかった。したがって、弁護団コメントに指摘した問題点は、全く解消されていない。

3 症状数10以上でも、副反応症状と同様の症状とはいえない

(1) 症状の数を10以上に限った分析結果

追加分析の中で、唯一弁護団コメントを意識したと思われるのは、症状の数ごとにみた期間有訴率の分析であり、「小括」において、「症状の数を10以上に限っても、『A群:接種歴なし』の有訴率は、10万人当たり5.3人で、ゼロではなかった」とした部分である。

(2) 副反応症状を定義しなければ、それと「同様」の症状と判断できない

しかし、たとえ症状の数が多くても、内容において副反応症状と同様といえないことは、弁護団コメントで指摘したとおりである。副反応症状と同様の症状の存在を確認するためには、まず、副反応症状を分析したうえで、どのような症状がどのように現れている場合に副反応症状と判断するかという定義付けをすることが不可欠である。本調査の致命的な欠陥は、この定義付けがなされていないことである。例えば、副反応症状の研究者によって提唱されているHANS予備診断基準は、異なる系統の症状が1人の患者に現れる、まさに「多様」な症状を呈するHPVワクチン副反応症状の特徴を捉えることを意図して作られている。これと対比すれば、本調査における「HPVワクチン接種後に報告されている症状と同様の『多様な症状』」の判定基準の杜撰さは明らかである。本調査において、必ずしもHANSの診断基準を採用する必要はないとしても、副反応症状の特徴を捉えて、これとは異なる症状と区別できる何らかの基準を定めることは必須である。

横田ら:日本医事新報No.4758 p48より

(3) 都合の良い数値だけ示し、不都合な数値は隠蔽

しかも、追加分析報告が示した「10万人当たり5.3人」という推計値は、弁護団コメントの上記②においてその不当性を指摘した、「取り扱い②」による推計値である。そして、初回報告では併記されていた「取り扱い①」による推計値は、追加分析報告では記載されていない。

症状の数で限定しない初回報告でも、取り扱い②での10万人当たり20.4人に対し、取り扱い①では同2.8人と大きな差があったことからすると、症状の数で限定した場合の取り扱い①による推計値はきわめて小さな値であったと推測される。これを記載しないのは、意図した結論を導くに支障となるデータを隠蔽する、きわめて恣意的で不公正な分析である。

4 副反応症状を調査せず非接種者を詳細調査するのは本末転倒

報道によれば、副反応検討部会では、今後、非接種者の具体的な症状について調査するとされている。

しかし、副反応症状を定義していないという本調査の欠陥は、そもそも国が副反応症状について十分な調査・分析を行ってこなかったことに起因する。そのような段階で非接種者の症状の調査を進めるのは本末転倒である。

国は、これまで、被害者らが要求してきた接種者全員の追跡調査を行わず、限られた件数しか把握できない自発報告(副反応報告)に基づくきわめて不十分な調査しか行っていない。まずは、副反応の発生状況とその症状についての徹底した調査を行うべきである。

5 一般傍聴をしづらくするため開催案内のHP掲載を遅らせた厚労省

ところで、今回、4月10日月曜日開催の副反応検討部会の開催案内が厚生労働省のホームページに掲載されたのは、同月7日金曜日の夕刻以降であり、弁護団が知ったのは午後7時過ぎである。傍聴申込は開催当日である10日月曜日午前9時必着とされている。日付だけで見れば案内掲載から3日後の開催だが、営業日・営業時間単位で考えれば申込期間はほぼ無いに等しいという、常識では考えられないスケジュールである。これは一般の傍聴を困難にするもので、会議を公開とする趣旨に著しく反する。例えば被害者の保護者の会社員が金曜夜に開催を知っても、翌週月曜に休暇を取って傍聴するのはほぼ不可能である。

しかも、このようなやり方は、今回が初めてではない。本調査の初回結果報告がなされた2016年12月26日(月)開催の副反応検討部会も、開催案内は金曜日に掲載され、傍聴申込の締切は休日である同月25日日曜日午前9時とされていた。

一方、今回の副反応検討部会と同じく2017年4月7日(金)に開催案内が厚生労働省ホームページに掲載された他の4件の審議会等は、1件(※1)が4月21日(金)開催、3件(※2)は4月12日(水)開催であり、副反応検討部会におけるやり方が厚生労働省の通常のやり方とは異なることが分かる。

厚労省は、HPVワクチン、あるいは全国疫学調査の審議にかかる副反応検討部会の一般傍聴を困難にしようという意図を持って、開催案内のホームページへの掲載時期を遅らせているとしか思えない。

厚生労働省は、今後このような姑息な手段を用いることなく、十分な傍聴申込期間が確保されるように開催案内を掲載することを求める。

(※1)薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会

(※2)中央社会保険医療協議会、厚生科学審議会第1回遺伝子治療等臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会、第182回労働政策審議会雇用均等分科会


(注2)ワクチンでは、多様な副反応が発生し、1人の人に感覚系(頭痛,関節痛,筋肉痛,視覚障害,しびれ等)、運動系(不随意運動,脱力,筋力低下,けいれん等)、認知・情動系(学習障害,記憶障害,睡眠障害等)、・自立神経・内分泌系(発熱,月経異常,過呼吸等)の症状が報告されています。加えて、時の経過とともに変化したり重層化したり遅発性の場合もある。発症の時期にかかわらず共通した症状がHANSとして報告されています。いずれも、既存の疾患では説明しきれないこと、海外でも同様の副作用報告がされていることが明らかになっている。

被害の実態は、これまでCNJのweb上でも紹介してきましたが、身体的な被害-苦痛や生活の変化、進路変更・将来の夢の喪失、治療・看護にかかる経済的負担、医療や看護に携わる家族の生活や仕事への影響、そして被害者でありながら周りに理解してもらえない苦しみと被害者や家族が戦っているのです。

他のワクチンと比較しても、同じ有害報告として比較して、100万接種あたりでも、けた違いの副作用報告がでています。

(注3)独立行政法人医薬品医療機器総合機構( Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)は、厚生労働省所管の独立行政法


HPV訴訟支援等の問い合わせは

HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団へ
https://www.hpv-yakugai.net/

〇 東京訴訟第3回期日

日時:2017年8月23日(水)15:00~

場所:東京地方裁判所

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