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公益通報者保護制度ガイドライン改正が公表

2017年3月21日公益通報者保護法を踏まえた国の行政機関の通報対応に関するガイドラインが改正が公表されました。

http://www.caa.go.jp/planning/koueki/gyosei/index.html

 今回のガイドラインの改正は「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」最終報告書(平成28 12 月)で、「ガイドラインの改正等、制度の運用改善により対応可能なものについてはできる限り早期に実現を図るべき」との提言等を踏まえ、消費者庁がガイドラインの改正案(「内部の職員等からの通報」、「外部の労働者等からの通報」の2種類等)を策定し、関係省庁との協議を経て、「公益通報関係省庁連絡会議」(各省庁の局長・審議官級をメンバーとし、消費者庁次長が議長)から公表されました。

内部の職員等からの通報への適切な対応を促進するためのものである旨が明確にされたことと、各行政機関が通報事案に対してより誠実かつ丁寧に対応することを促す観点から「通報処理」ではなく、「通報対応」としたこと、迅速かつ適切な通報対応を担保するため、通報対応の仕組みの整備のみならず、それを適切に運用する必要性についても明確にされました。また、秘密保持義務の対象を、通報者の秘密のみならず、通報に関する秘密全般にまで広げること、各地方支分部局等においても適切な通報対応を行うための周知、体制整備等の必要な措置を講じるべき旨を明確にされました。消費者庁は、通報対応の仕組みの適切な整備及び運用に関して、各行政機関の職員への周知、研修等を実施するとともに、各行政機関が当該行政機関の職員等に対して同様の取組を行うに際して、資料の提供、説明その他必要な協力を行うものとする。とされています。

新旧対照表
http://www.caa.go.jp/planning/koueki/gyosei/files/gyosei_guideline_170321_0004.pdf

今後は、2017年度のできるだけ早期に関係省庁が改正ガイドラインを踏まえた内部規程の改定等を行い、制度の整備・改善が順次進められるとされています。

今回の改正について、(公益社団法人)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会NACS 消費生活研究所主任研究員の土田あつ子さんは以下のように述べられています。

今回の改正のポイントは、行政の取り組みとして、ガイドラインには消費者庁の役割の強化(相談受付、各省庁の取り組み助言等)が明記され、消費者庁が各省庁の公益通報窓口設置の促進することが明確にされました。

大きな改正点は

  • 通報者の個人情報の保護です。
  • 通報者へ通報の受理の可否についてフィードバックすること。
  • 匿名の通報であっても受付し調査すること。
  • 消費者庁の権限強化。通報に適切に対応するように各行政機関に協力を求めることができます。

 また、各省庁が設置した窓口で公益通報を放置したり、通報者の個人情報の漏えい防止に取り組むことはガイドラインに記載されました。通報に対しての調査方法を適正化し、放置すれば消費者庁から該当省庁へ協力を求めることができるようになりましたが、『協力』にとどまります。この点は、法所管である消費者庁の権限をより強化すべきです。

ガイドラインには公益通報は保護法を改正をしなくてもできる範囲が述べられています。

http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201701/4.html#section2

検討会の最終報告では法改正も視野に入れるとあり、そのため検討会の後半は、法律家による法律の改正検討会WGが設置されましたが、再度検討するための議論が続けられます。

公益通報者の範囲(退職者、役員、取引事業者等々)、不利益取扱いに対する罰則(行政のよる指導、勧告等や刑事罰等)をどうするかの詳細はまだこれから議論されますが、規制強化(通報者保護)には経済界が反対しそうです。消費者庁が通報者を保護するための『本気度』が試されると思っています。


公益通報者保護ガイドライン改正ほかについての詳細な資料は

http://www.caa.go.jp/planning/koueki/gyosei/index.html

*わかりやすい制度説明としては、

消費者庁のHPには以下のように説明されています。(下線等 筆者)

http://www.caa.go.jp/planning/koueki/gyosei/files/ryuiten.pdf

行政機関が公益通報か否かを判断する際の留意点は、

○法律によれば行政機関に対する公益通報の要件は、

(1)「労働者」であること
(2)「不正の目的」でないこと
(3)「通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしている旨」の通報であること
(4)(3)であると「信ずるに足りる相当の理由がある」こと
(5)「通報対象事実について処分若しくは勧告等をする権限を有する行政機関」に対するものであること とされています。

○これらの考え方は、

(1)「労働者」
本制度による保護を行う通報者としての「労働者」は労働基準法第9条における「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。」と定義される労働者を指す。したがって、正社員に限らずパートタイマー、アルバイトを含む。また、派遣労働者や取引先の労働者も含まれる。(なお、取締役については、法人その他の団体との委任関係(商法第254 条の3)に基づき、法人その他の団体の事業を執行する権限を有する立場にあることから、一般的には、事業に「使用」される者としての労働者には当たらない。)
(2)「不正の目的」
通報を手段として金品を授受するなど、不正すなわち公序良俗、信義則に反する形で自己又は他人の不当な利益を図る図利目的としての「不正の利益を得る目的」及び事業者の従業者など他人に対して、財産上の損害、信用の失墜その他の有形無形の損害を加える加害目的としての「他人に損害を加える目的」のほか、「その他の不正の目的」として、公序良俗や信義則に反する目的の通報など社会通念上違法性が高い通報が考えられる。
(3)「通報対象事実」
国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法律として法律及び政令で定められた413本の法律の規定に基づく犯罪行為の事実又は当該犯罪行為と関連する法令違反の事実である。具体的には、①罰金や懲役等の刑罰に処せられる「犯罪行為」、②行政機関による「指示」(→(指示違反))→「命令」(→(命令違反))等の後、刑罰に至る「犯罪行為につながる法令違反」である。
(4)「通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしている旨」の通報であること
「まさに生じようとしている」とは、通報対象事実の発生が切迫しており、発生する蓋然性が高い場合を指すが、必ずしも発生する直前のみをいうわけではない。例えば、誰が、いつ、どこでやるといったことが社内で確定しているような場合であれば、実行日まで間がある場合であっても(犯罪行為の場合は、実行の着手以前の時点であっても)「まさに生じようとしている」といえるものである。
具体的なケースを想定すれば、例えば廃棄物の不法投棄について、事業者が不法投棄をする方針を固めただけでは、通報対象事実が「生ずるおそれがある」とはいえても、「まさに生じようとしている」とはいえないが、いつ、どこに、誰がやるといったことが確定したような場合には、通報対象事実が「まさに生じようとしている」といえる。
(5)「信ずるに足りる相当の理由がある」こと
「信ずるに足りる相当の理由がある」こととは、通報の事案について単なる伝聞等ではなく、通報事実を裏付けると思われる内部資料等の証拠を有する場合など、相当の根拠を有する場合である。
(6)「通報対象事実について処分若しくは勧告等をする権限を有する行政機関」
通報先としての行政機関を「当該通報対象事実について処分(命令、取消しその他公権力の行使に当たる行為をいう。)若しくは勧告等(勧告その他処分に当たらない行為をいう。)をする権限を有する行政機関」と定めるものであるが、どの行政機関が、どのような行為を行う権限を有するかは、各法令や行政機関設置法令などの規定によって定まっており、通報先となる行政機関は、これらの法令の規定に応じて定まることとなる。
なお、本法では、処分権限を有しない行政機関に誤って通報がされた場合には、当該行政機関は、処分権限を有する行政機関を公益通報者に教示しなければならない旨の規定(第11条)を置いているところである。

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