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予防接種ネット・de・講座 その29 増え続けるワクチン市場~前篇 グローバル化で攻め込まれる?日本の市場

予防接種・ネット・de・講座も29回目となりました。今回は、いま、予防接種がどんな状況にあるのか、制度を決めてきたのはどこなのかを中心に、ここ10年の動きを踏まえ、現状の問題点を探ってみたいと思います。

日本ではこの20年余、ワクチンの種類や接種回数、消費量が劇的に増えました。特にこの数年は乳児期に接種すべきとされるワクチンが増加しましたが、突然、病気が増えたわけでも、効果のあるワクチンが開発されたからでもありません。子宮頸がんワクチン禍事件に端的にあらわされているように、日本を有力な市場として、海外メーカーに莫大な利益を上げさせるため、また、それに関連する諸団体の意向を汲んで、国が必要性の疑わしい公的接種を増大させてきたからです。必要なワクチンもありますが、ワクチンは万能ではありません。乳児期に増えつづけるワクチン、CMで盛んに進められる高齢者向けワクチン。言われるがままに効果を信じて打ち続けることに問題はないでしょうか。

ワクチン接種増加の背景

日本では、2000年代前半から、ワクチンで防げる病気は防ぐべき(VPD:Vaccine=ワクチンPreventable=予防可能なDiseases=病気)とか、日本は海外と比較してワクチンの種類が少ないので増やすべき(ワクチンギャップ)という主張(スローガン)が推進派の医師や産業界を中心にされ始めました。海外のワクチンメーカーの協賛という形での大きな講演会が開催され、メーカー主導の患者団体などにより、もっとワクチンを増やすべき、予防接種制度の見直しをすべきとの熱心な運動が展開されました。

日本が、ワクチン接種に慎重になった背景には、1970年代の種痘や他のワクチンによる予防接種禍集団裁判、インフルエンザ集団接種のボイコット運動やMMRワクチン禍訴訟など、効果がなく副作用が問題であるワクチンの接種被害を隠し、強制してきた国の政策に対する国民の予防接種に対する根強い不信感がありました。公害、薬害事件と共通した、被害者を省みない国の姿勢を司法が厳しく弾劾したことが法や制度の改正につながったのです。

国は、1994年に予防接種法を改正し、義務(強制)を努力義務(勧奨)としたうえで、被害の迅速な救済と副作用報告の情報提供を約束しました。しかし一方で、幼児から高校生までのインフルエンザワクチン集団接種やMMRワクチンなど幼児期を中心とした接種に替えて、強制しないでもより多くの国民に安定的にワクチン接種をすすめ、業界の振興を支えるためにはどうしたらよいかが、「ワクチン産業ビジョン」(注1)を中心に議論が始まり、その後複数の審議会が設けられ、ワクチン推進のための議論が公的にされるようになりました。ワクチン産業界の戦略の流れも受けて、確実に接種人口が見込める乳児期や高齢者への接種の推進へと舵をきることになったのです。

法は努力義務となったのに現実はワクチンを自由に選べなくなった

1994年の予防接種法改正時、ワクチントーク全国は、すべてのワクチンの見直しを求め、また義務接種を見直すことをもとめた運動をしました。

一番攻防が大きかったのは、その前からボイコット運動が高まっていたインフルエンザワクチンでした。議員レクをする中で、細菌製剤協会が、国にあてて、「業界にとって死活問題である、インフルエンザワクチンの集団接種をやめないように」との要望書を複数回出していました。94年改正では、対象疾病が大幅に見直され、その後、ワクチン産業は低迷期を迎えることになったのです。

94年改正では、MMR禍事件のために、MMRワクチンを定期接種とすることができませんでした。混合ワクチンに対する懸念が大きかったことがその背景にありましたが、MRワクチンを麻しん、風しんの単独接種から定期接種とするまでに約12年間の年月がかかりました。

94年改正では、それまで日本脳炎ワクチンを流行地での重点対策であった臨時接種から定期接種とし、流行のおそれのない地域での接種を拡大させました。接種率が10数パーセントの横浜市でも今や9割近い接種がされるようになりました。感染のおそれのない北海道で導入されたのも記憶に新しいところです。(注3)

また、1988年にWHOが絶滅宣言をし、世界的に絶滅宣言がされるなか、2次感染の問題もあり、いつやめるべきかとの議論がされていたポリオ生ワクチン接種が、止める方向ではなく、不活化ワクチンの接種へと舵が切られました。神奈川県が国の意向を無視して不活化ポリオとして輸入・実施したのを皮切りに国が追認する形でなし崩し的に導入が決められました。三種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風:DPT)のなかで、百日咳ワクチンの副作用について慎重な立場から、94年の法改正前後には百日咳ワクチンを除いた2種混合ワクチンでの接種がなされていたことを考えると、いまや不活化ワクチンを入れた4種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風:不活化ポリオ:DPT iPV)しかメーカーが作らなくなってしまったことは、混合ワクチンに対する根本的な考え方の変更を迫るものとなりました。

2010年には子宮頸がんワクチンと一緒にヒブや肺炎球菌ワクチンも事業接種として勧められるようになったわけですが、当時のDPTワクチンとヒブや肺炎球菌ワクチンの同時接種後死亡が問題になりながら、4種混合ワクチンとなったDPTiPVとヒブ肺炎球菌は今、同時接種が多くされています。

1歳までの接種回数は同時接種しないとこなせない?~トレンドは4本一気打ち+経口でロタワクチン!?

北海道の郡部に住むお母さんから、耳を疑うような情報が寄せられました。最近の乳児への接種はDPTIpv(ジフテリア、百日咳、破傷風、不活化ポリオの4種混合)ワクチンとヒブ、肺炎球菌、B型肝炎ワクチンを同時接種し、合わせてロタワクチン(任意接種)を飲ませるものが主流(スタンダード、トレンド?)になっているというものです。

2011年から、ヒブと肺炎球菌を三種混合ワクチンとの同時接種で、判明しているだけでも、毎年10名前後の同時接種後死亡がでていますが、最近はロタやB型肝炎ワクチンも一緒に接種がされている例が見られます。自然界では起きえない8種類の病原体を一度に体内に入れるようなトレンドがなぜ生じるのでしょうか。これらのワクチンは不活化ワクチンであるために複数回の接種が必要です。

〔2016年10月1日~〕 全年齢 ※画像をクリックするとPDF(リンク先:国立感染症研究所)が表示されます。

〔2015年5月18日~2016年9月30日〕 全年齢 ※画像をクリックするとPDF(リンク先:国立感染症研究所)が表示されます。

スケジュール表(国立感染症研究所ウェブサイト:http://www.nih.go.jp/niid/ja/vaccine-j/2525-v-schedule.html

を見ると、現状、定期接種となったものだけでも、仮に一つずつ単独で接種するとすれば、経口摂取のロタワクチンを除いても1才までに13回も、赤ちゃんに針を刺さなければならなくなります。同時接種は医師の裁量で必要な場合に許されることになっているのですが、接種される子どもや親の負担軽減を理由に同時接種が恒常化し、原則と例外が逆になっているということです(注2)。

2014年7月には、医師にすすめられるままに、DPTIpv(4種混合)に加えて、ヒブ、肺炎球菌、MR(麻疹、風しん)、おたふくかぜ、水痘、B型肝炎の7種のワクチン(ウイルスとしては11種)を同時接種した1歳の女児が急性脳症を発症し重い後遺症が起きたとの報告がありました。そもそも乳児期に不要なMRやおたふくかぜ、水痘を接種したこと自体大問題ですが、同時接種による突然死もほとんどが「原因不明」とされているのと同様、この女児についても評価不能とされ原因究明はされていません。

インフルエンザワクチン接種はやめるべき

これまでのワクチンのなかでも、特段の接種拡大が行われたのは、やはり、インフルエンザワクチンでした。インフルエンザワクチンの学童への集団接種がなくなったことによる打撃をどう埋めるのかが、当面の業界の関心事項でした。

学童への集団接種の廃止に(社)細菌製剤協会などが強く抵抗してことは前述しましたが、2000年の少し前頃から新型インフルエンザの脅威論がマスコミを中心に強調されるようになりました。季節性インフルエンザについても「インフルエンザはかぜじゃない」とのスローガンに基づき、乳児のインフルエンザ脳症(実際、多くは解熱剤のよる脳炎・脳症)や特に高齢者施設を中心に高齢者のインフルエンザによる肺炎死亡が強調されるようになりました。

2000年には高齢者へ努力義務のない定期接種(B類接種)という形でのインフルエンザワクチン接種が公的接種として復活したのです。

インフルエンザについては、インフルエンザワクチン需要検討会(現在の厚労省のHPでは、第6回の2003年6月24日から、第14回の2011年7月29日までしか掲載されていません)が(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-iyaku.html?tid=128728)、定期接種となる前から、毎年6月から7月ごろ、医薬食品局血液対策課が、国立感染症研究所と(社)細菌製剤協会と学者、マスコミ代表を集め、需要予測のための調査結果、次シーズンの需要予測、次シーズンのインフルエンザワクチンの安定供給のためとして、各年齢層でのワクチン需要を喚起する会議を開催し、インフルエンザワクチンの生産量を増大させました。

いまでもインフルエンザワクチンがワクチン全体の3割強を占めることを考えると、効くという確証のないまま、常に供給が需要を喚起してきたのがインフルエンザワクチンなのです。

新型インフルエンザ騒動で一気に外国製ワクチン導入

年々施設を中心に強制の度合いが強くなる中、2009年の新型インフルエンザ騒動をきっかけとして、舛添厚労大臣(当時)の時に、外国製のワクチンを容易に導入できる法改正(新型インフルエンザ特措法)が行われ、外国製のワクチン導入に道筋がつけられました。1994年には30万本にまで減ったワクチンが現在5500万本。国民の二人に一人がお金を出して接種するというのは異常な事態と言わざるを得ません。

ちなみに、2010年に大量に余った新型インフルエンザワクチンの返品と引き換えに導入されたのが子宮頸がんワクチンの認可・販売でした。私たちの度重なる反対にもかかわらず、子宮頸がんワクチンについては紙面の関係で詳述はできませんが、ヒブや肺炎球菌ワクチンとともに、自治体への莫大な交付金による事業接種として、2010年11月26日から2013年4月に定期接種化されるまで3年間続けられ、その間多くの少女が犠牲になっていたことが最近の報告書でも明らかになっています。子宮頸がんワクチンは2015年6月に全国での集団訴訟が提訴されました。今年は国の責任が問われる年となります。子宮頸がんワクチンの接種再開がもくろまれる中、定期接種でありながら、「積極的勧奨がされない」このワクチンの2014年の実際の接種率は0.7~1.1%となっています。同じ2社のロタワクチンが子宮頸がんワクチンの代わりに定期接種化されることがもくろまれていると考えるのは憶測に過ぎないと言えるでしょうか。

なぜ、これほどワクチンが増えたのか

2012年5月の第22回感染症分科会予防接種部会での「予防接種制度の見直しについて(第二次提言)」http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002b6r0.htmlで、今後進められるべきワクチンについての提言がされました。この数年厚労省は子宮頸がんワクチン被害の対応に追われていますが、一方で提言に沿って他のワクチンの推進も着実に進められています。

2013年4月から事業接種として行われていた3ワクチン(子宮頸がん、小児肺炎球菌、ヒブ)が定期接種となり(子宮頸がんワクチンが2月半で接種勧奨中止)ました。2013年11月には水ぼうそうワクチンと成人用肺炎球菌ワクチン(B類型)が定期接種とされ、2016年10月にはB型肝炎ワクチンも多くの疑問の声を無視して定期接種とされました。2次提言でのこされているのは、ロタワクチンとおたふくかぜワクチンになりました。このうちおたふくかぜワクチンはMMR事件のこともあり慎重に導入検討が進められています。ロタワクチンは定期接種化の議論が進められ、現実に定期接種並みの接種が進められています。

B型肝炎ワクチンは必要か?

B型肝炎ワクチンは2016年10月1日から、定期接種A類となり、全ての赤ちゃんへの接種が始まりまっています。水平感染の実態が不明であるのに、定期接種としてユニバーサル化をすることは疑問があります。長期的な費用対効果についても他のワクチンと比べてよい結果ではありません。他のワクチンとの同時接種後死亡がおきていますが、副作用被害についてもきちんと検討されておらず、接種には慎重な選択が必要です。(詳細は予防接種・ネット・de・講座27 http://consumernet.jp/?p=3559 参照)


(注1)
ワクチン産業ビジョン 2007年3月に厚労省が発表。2005年4月以降、「ワクチンの研究開発、供給体制等の在り方に関する検討会」での審議内容及び当該検討会の下での「生物学的製剤の研究開発に関するワーキンググループ」での検討結果を受けて報告書を作成。

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0322-13d.pdf

これに基づき

ワクチン産業ビジョン推進委員会(16名の委員のなかにはグラクソスミス・クライン社取締役(日本製薬団体連合会)や社団法人細菌製剤協会(アステラス製薬(株)代表取締役も委員)。2007年3月22日から2011年3月10日まで開催。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-iyaku.html?tid=128738

(注2)
1歳までに任意接種のロタワクチンを入れると接種回数が15~6回になり、ワクチン株では種類は9種類となる。定期接種が①ヒブ(4回)、②肺炎球菌(4回)、③DPTiPV(ジフテリア・百日咳・破傷風・不活化ポリオ)3回、④BCG(1回)、⑤B型肝炎(3回)となる。任意接種のロタは経口接種で2~3回(メーカーでちがう)飲ませることになる。

  1. (1)単独でうつと接種回数としては15回、接種ワクチンの種類としては8種類、任意のロタも打つと接種ワクチンの種類としては9種類、ロタ経口接種で+2~3回となるので、接種回数は17~20回となる。
  2. (2)同時接種をしないで打つと、接種回数としては13回、接種ワクチンの種類としては8種類、任意のロタも打つと経口接種で+2~3回となるので、接種回数は15~16回となる。
  3. (3)法的に推奨されている定期接種だけを同時接種しないで打つと、接種回数としては13回、接種ワクチンの種類としては8種類、これに任意のロタも打つと経口接種で+2~3回増えるので、種類としては9種類、接種回数は15~16回となる。

しかし、実際はもっと複雑で、①②(+③)が同時接種されるが、最近では①②③⑤が同時接種され、ロタ(任意接種)を経口接種するトレンド?としては種類にこだわって見ると「1歳までに9種類、接種回数は単独なら17~18回(ロタは2回接種のものと3回接種のものがある)」ということになる。

加えて、麻しんや水ぼうそう、インフルエンザも推奨年齢外で接種がすすめられているので、整理するのが難しく、同時接種の「選択」(医師の裁量)により、どんな打ち方が個々にされているか不明となっている。

(注3)
日本脳炎ワクチン問題についてのCNJのサイト

  • 予防接種:ネット・de・講座 ワクトク集会質問 その1「日本脳炎ワクチン、どうする?」
    http://consumernet.jp/?p=319
  • 予防接種ネット・de・講座 その4 日本脳炎ワクチンを病気のない北海道で莫大な予算をつかって定期接種するのは非常識!
    http://consumernet.jp/?p=890
  • 北海道に日本脳炎ワクチンは必要か?~住民への正確な情報提供と意見聴取が必要
    http://consumernet.jp/?p=924
  • 日本脳炎の定期接種化反対、ワクチントーク北海道が道庁に申し入れ
    http://consumernet.jp/?p=1119
  • この時期に、なぜこれほど接種を勧奨するの?日本脳炎ワクチンはいりません!
    http://consumernet.jp/?p=1374
  • 2015年度はしません!北海道での日本脳炎ワクチン定期接種
    http://consumernet.jp/?p=1702
  • 北海道での日本脳炎ワクチン定期接種化にNO! 署名にご協力を!~病気のない北海道で年間11億円超の交付税を使って定期接種するのはだれのため?
    http://consumernet.jp/?p=2131
  • 道民35,243人の署名で反対した日本脳炎ワクチン定期接種化の決定に抗議~ワクチントーク北海道が再度要請書と質問書を提出
    http://consumernet.jp/?p=2546
  • 「日本脳炎ワクチンの北海道での定期接種化決定」の見直しを求める要請文を提出しました~莫大なお金を使って病気のないところにワクチンを導入するのはだれのため?
    http://consumernet.jp/?p=2641

(古賀真子)

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