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シェールガス:ドイツは健康・環境を優先して開発中止を決定

ドイツ・ノルトライン=ヴェストファーレン州の畑に立てられた「水圧破砕法反対」の看板

環境保護を求める市民やビール製造業者の反対が実を結び、ドイツの連邦経済省と環境省は2021年まで水圧破砕法hydraulic fracturing)による掘削・採掘を禁止すると発表しました。

水圧破砕法は、これまで採掘不可能とされていた岩盤のすき間にある天然ガスや石油の採掘を可能にし、価格の大幅な低下と可採資源量の飛躍的増大をもたらす新技術として世界中で注目を集めています。アメリカはこの技術により石油・天然ガスの中東依存から完全に脱却し、エネルギー輸出大国になるといわれており、空前の開発ブームに沸いています。

しかし、水圧破砕法では、酸や防腐剤・ゲル化剤・摩擦低減剤などの化学物質を添加した大量の水が高圧で地中に注入して地下の広範囲の岩盤を粉砕するため、水道水や井戸など思わぬところからガスが噴き出したり、地震の多発や地下水などの環境汚染を招く恐れがあると言われています。

このため、とくにヨーロッパやアメリカでは環境保護団体をはじめ、水道業者、ビール製造業者など地下水に依存する業界が水圧破砕法によるシェールガスやシェールオイルの開発に強く反対しています。

今回のドイツの決定は、「環境・安全か?安い化石燃料か?」の論争に対して、前者を優先した決定と言えます。ジグマール・ガブリエル経済・エネルギー相とバルバラ・ヘンドリックス環境・自然保護・原子力安全相は、禁止の理由を「法的根拠があいまいで、きちんとした科学的研究も存在しないため、水圧破砕法による掘削・採掘は禁止する必要がある」としています。

禁止措置の有効期限は2021年までで、その時点で、科学技術の動向を踏まえてあらためて開発の是非を議論することになっています。従来の方法での掘削は継続できますが、水質保全の新たな規制の適用対象となります。

出典:Süddeutsche Zeitung 2014.07.04

(真下 俊樹)