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どうなっているの?電力自由化とガス自由化~説明会や審議会が始まりました

2016年4月から、電力小売の全面自由化が始まり、もうすぐ1年が経過します。また、2017年4月には、ガスについての小売全面自由化も始まりガスを利用する全ての需要家はガスの購入先を自由に選べるようになります。

一方で昨年末から、電力システム改革貫徹委員会や東電1F委員会などで、託送料に原子力賠償のための費用の一部や廃炉費用等が上乗せられるとして、新電力や消費者からの反発が出ています。(注)

電気のスイッチングはまだまだ進んでいません。2020年までは経過措置ということで、スイッチングを見合わせている消費者も多くいるようです。

電力・ガス取引等監視委員会の料金審査専門会合では震災後相次いで値上げした電力会社の、原価算定期間終了後の事後評価や託送供給約款認可申請の審査が始まっています。

http://www.emsc.meti.go.jp/activity/emsc_electricity/022_haifu.html

これに対応して、内閣府消費者委員会の公共料金等専門調査会でも、ガスの自由化をにらんだ関係機関からのヒヤリングが始まりました。

http://www.cao.go.jp/consumer/kabusoshiki/kokyoryokin/senmon/025/shiryou/index.html

また、経産省本省における各地での説明会が本格的に始まりました。

http://www.emsc.meti.go.jp/info/session/index.html

原発や使用済み燃料、賠償、除染、電力システム改革、一方で進む民間の再生エネルギーへの取り組みの一方で、GE社による火力発電の参入など、米国の政権交代により温暖化への対策の後退が心配されています。

電力・ガス小売り全面自由化説明会では、都市ガスの小売事業者を選ぶ際のポイントや留意点に加え、電力小売自由化の進捗状況や消費者からの相談の声などについて紹介されています。U-stream中継もされていますので、関心を持ってみていきましょう。


(注)2017年1月、CNJでは電力システム貫徹委員会あてのパブリックコメントに意見を提出しました。

経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部 電力市場整備室

パブリックコメント担当 宛

電力システム改革貫徹のための政策小委員会中間とりまとめに対する意見

総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 電力システム改革貫徹のための政策小委員会 中間とりまとめに対する意見公募

(12月19日~1月17日)

http://search.e-gov.go.jp/servlet/PublicCLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620216013&Mode=0

 

意見1

1 「電力システム改革貫徹のための基本的な考え方」について(P2)

意見内容:基本的な考え方の中に、「脱化石燃料」、「再生可能エネルギーへの転換」に向けた電源構成を目指すことをいれること。

理由

「エネルギー基本計画」においては、原発や石炭をベースロード電源と位置づけ、経済産業省の長期エネルギー需給見通しで、2030年の電源構成として原子力20~22%、石炭26%、LNG27%、再エネ22~24%とするとしているが、福島第一原発事故前と基本的に変わらない方針をとっていることは脱原発を目指す民意に応えていない。

その上、中間とりまとめでは、福島原発事故の検証結果が反映されず、福島原発事故前からのエネルギー政策の基本的方向性に依拠し、「市場原理のみでは解決が困難な安定供給、・・自由化の下での需要家間の公平性確保といった公益的課題の克服・・」などとしており、健全なエネルギー市場を創設するために機能すべき電力システム改革そのものを逆行させる内容となっている。

2016年11月4日の気候変動の国際ルール「パリ協定」では、化石燃料増加にストップをかける時代に向かうことに世界が合意するとともに、再生可能エネルギーのコストは近年急速に大きく低減することを確認し、反面原子力のコストはますます高くなっていることも認識されている。パリ協定の長期目標の達成のためにも、再生可能エネルギーへの転換を世界的に急速に進められている中、日本もこのパリ協定を批准したにもかかわらず、こうした観点がエネルギー政策や電力システム改革の中に全く組み込まれていない。

意見2

2 「ベースロード電源市場の創設」について(P3~7)

意見内容 原発や石炭を想定した「ベースロード電源市場」の創設に反対する。ただし、当面の大型水力による発電を供出し新電力が調達できるようにすることは推奨すべきである。

理由

パリ協定の目的・長期目標の視点を踏まえれば、原発も石炭も、もはや「安い」電源ではない。小委員会での議論でも、原発についてはこれまで「安い」と見せかけてきた説明の破綻が明らかとなり、それを今後、国民に負担を押し付ける結果になっている。

本来、これらを原発や石炭を「ベースロード電源」とする政策そのものを見直し、再生可能エネルギーを中心に電源構成を変え、エネルギーシフトをすすめていくことこそ必要である。ただし、再生可能エネルギーである大型水力については「ベースロード電源」の一部として位置づけられてはいるが、中間とりまとめの中で、「大型の水力発電所および電源開発や公営が所有する電源等については、旧一般電気事業者が、事実上独占している」とされている。大型水力の電力は旧一般電力事業者が独占すべきではなく、FIT外の再エネ電源として、新規参入者に対して開放されるべきである。

(続き)意見3

3「非化石価値取引市場の創設」について(P11~)

意見内容非化石価値取引市場の創設は、消費者に対して再生可能エネルギーと「原発」を混同させるものであり、原発の電源を小売事業者に供給することを制度化することになる。

理由非化石価値取引市場の創設は、エネルギー供給構造高度化法で定められた非化石電源比率を2030年度に44%以上にするという小売事業者の目標を達成し、需要家にとっての選択肢を拡大し、FITの国民負担の軽減という2つの目的を達するためだとされているが、多くの消費者は、電源の選択において、非化石電源か化石電源化かの選別を求めているのではなく原発か再エネかの選択を求めている。本来、CO2排出係数の低減は発電事業者においてこそ可能であり、率先して取り組むべきであるが、CO2排出係数が最も大きい石炭火力発電所の建設計画が国内で急増し、エネルギー供給構造高度化法はその責任を小売事業者に負わせる構造となっている。石炭火力発電の増加を黙認し、再生可能エネルギーへの制約を強めながら、CO2排出係数低減対策として、小売事業者向けに非化石価値取引市場を創設することは、新規参入小売事業者への電力供給要望に乗じて原発再稼働を促そうとするものに他ならない。CO2を排出しないという環境価値をつけるのであれば、放射能や原発リスクの価値と切り離すし、グリーン電力市場として再生可能エネルギーの価値を切り離すべきである。本中間とりまとめでは、再生可能エネルギー由来の証書については、電源構成外にて実質再エネ100%等の表示を許容することも考えられ、具体的な規定は検討の場を別にゆだねているが、電力システム改革を「貫徹」するのであれば、再エネか原発かを混同させておくべきではなく、再生可能エネルギーの環境価値のみを切り分けておくことが必要である

意見4

3.2.原子力事故に係る賠償への備えに関する負担の在り方(P17~21)

意見内容

原子力事業者が従来確保してこなかった賠償への備え(一般負担金の過去分)について、託送料金に上乗せして回収する案には反対する。

理由

東京電力福島第一原子力発電所の事故に係る賠償費用は、発災事業者である東電が、福島原発事故にかかる国家賠償法に基づく責任を負う国とともに負担すべきである。

原発事業は資産を過剰に見積もり、世界的にみても高額な電気料金を消費者に負担させてきた。事故が起きた場合の損害賠償費用についても、事故が起きた後に「過去分」などとして積み上げるのは筋違いである。

託送料金は原則通り、送配電のネットワークに要する費用として限定すべきであり、これ以外の費用を政策コストとして上乗せすべきではない。費用の上乗せは、送配電部門を独占する一般電気事業者への優遇であり、競争中立的に託送料金の低減化をめざすべき制度の体系そのものをゆがめるものである。

特に過去分についての回収を将来発生する託送料金で全部または一部回収する点について、「過去分を国民全体で負担するに当たっては、特定の供給区域内の全ての需要家に一律に負担を求める託送料金の仕組みを利用することが適当」としているが、本来負担すべきではないはずのコストを遡って国民に負担させるとするのであれば、より慎重に国民的論議が必要である。

意見5

3.2.福島第一原子力発電所の廃炉の資金管理・確保の在り方(P17~21)

意見内容

福島第一原子力発電所の廃炉の資金に送配電事業の合理化分を充当する案には反対する。

理由

託送収支の事後評価に例外を設け、東京電力パワーグリッドの合理化分を福島第一原子力発電所の廃炉の資金に充てることは、「送配電事業者の経営合理化の結果は託送料金の引き下げに充てる」とする原則を曲げ、本来合理化により下げるべき託送料金を下げないことであり、電力システム改革の発送電分離の考えにも反するものである。

意見6

3.4.廃炉に関する会計制度の扱い(P22~24)

意見内容

東京電力以外の電力会社の廃炉費用についても託送料金の仕組みを利用して回収できるようにする制度変更に反対する。

理由

託送料金は、送配電のネットワークに要する費用として限定すべきであり、これ以外の費用を上乗せすべきではない。廃炉費用は、特定の発電源の発電にかかるコストの一部であり、発電部門で回収すべきものを託送料金に特定の発電のコストを上乗せすることになり許されない。廃炉費用は原子力発電所を持っている事業者が電気料金で回収すべきであり、特定の発電方法を優遇することとなり認められない。

6.おわりに(P30~31)

意見内容今後の施策の決定と実施に当たっては、国民が十分な理解を需要家ができる内容とはなってエネルギー政策全般について広く国民的論議を経ることが必要である。