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どうなる?ガス自由化~都市ガス、LPガス、電気以外のエネルギーは?

10-26-2016

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電力の自由化に続き、ガスの自由化の議論も進んでいます。資源エネルギー庁の資料によると、日本の都市ガスの会社(一般ガス事業者)は212社(平成20年3月31日時点)で、それぞれの地域で独占供給をしてきました。なかでも東京ガス東邦ガス大阪ガス西部ガスの4社は四大事業者といわれています。

ガスシステム改革の目的は、① 天然ガスの安定供給の確保、② ガス料金を最大限抑制、③ 利用メニューの多様化と事業機会拡大、④ 天然ガス利用方法の拡大とされています。

https://drive.google.com/open?id=0B4hcBzycd7OsWFptS24zUlRacW8

実際にガスの小売り事業者が拡大し消費者にメリットがあるのか、導管を独占してきた一部大手ガス会社の託送料金はどうなるのか、ガス料金の規制はどうなるのかなど、地域や事業規模により、どのような制度設計が望ましいのかは難しいかじ取りが求められています。

(参考)ガスの事業制度については

http://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/gas/


CNJでは、2016年10月

ガス料金の規制に対する意見(要望書)とガスの託送料金に関する意見書を出しました。


ガス料金の規制に対する意見(要望書)

経過措置と料金の監視に関して意見を述べます。

公共料金として消費者保護のあった別記の都市ガスの料金が自由料金となることは、消費者にとって、大きな影響のある変更です。しかしながら、別記のガス会社の消費者は、その事実を知らされないままに自由料金となります。

ガス小売登録申請はまだ三大都市圏の電力三社だけで、電力自由化と同じく地方でのガス小売参入、特にガス導管から孤立する地域では新規参入が困難です。都市ガスでも新規参入があるのは三大都市圏と思われますが、ガス料金が自由料金となるのは、それ以外の全国180私営地方ガス会社の内、別記170会社の約700万世帯となると考えます。

来年4月の家庭都市ガス自由化を知っている消費者も、電力自由化と同様に経過措置料金規制は残ると思い安心しています。

そもそも都市ガス自由化の本旨は「他燃料選択ではなく、新たな都市ガス会社も選べること」にあるはずです。自由料金であるLPガスでは、料金など取引に不満があれば、電話一つで販売店を変更することができます。しかし都市ガスでは、都市ガスの新規参入がなく、従来の都市ガス会社が独占状態であれば、他燃料との競争の激しい新築や業務用ガスでの料金値下げを、家庭用のガスに転嫁する料金値上も想像されます。

その場合に、既存の賃貸や集合世帯ではオール電化やLPへの他燃料変更はできません。また年金や低所得家庭には熱源変更負担も大きく、泣き寝入りしかありません。

別記の対象ガス会社からガス供給を受ける世帯がそれを全く知らず、経済産業省からの地方での説明会もされす、意見提出の機会も周知されないまま来年4月から自由料金に変更されることは消費者にとって不意打ちとなり、保護に欠けます。

以下の点について、要望します。

1今回の意見提出で、別記の都市ガス会社の利用者総数の内、1割にも満たない意見しかなかった都市ガス会社は、電気・ガス取引監視等委員会や消費者委員会等が改めて見直しを提言するべきです。

2ガス料金規制の維持については、「ガス自由化についての意見及び要望」として2015年10月にガスシステム改革小委員会に提出しました。競争状態を確認せずに料金規制撤廃することがないよう、経過措置料金規制の廃止は、別記の都市ガス会社ごとに改めて検針票やチラシなどで丁寧な周知をして、消費者の理解と賛否の意見を集約してから実施してください。

【別記】

◆資源エネルギー庁(本省)3社

東京ガス(群馬地区・群馬南地区・四街道地区)、西部ガス、東部ガス

 

◆北海道経済産業局 9社

釧路ガス、旭川ガス、滝川ガス、美唄ガス、岩見沢ガス、帯広ガス、苫小牧ガス、室蘭ガス、北海道ガス

 

◆東北経済産業局 28社

青森ガス、五所川原ガス、弘前ガス、十和田ガス、八戸ガス、黒石ガス、盛岡ガス、花巻ガス、水沢ガス、一関ガス、釜石ガス、古川ガス、石巻ガス、塩釜ガス、のしろエネルギーサービス、湖東ガス、酒田天然ガス、鶴岡ガス、新庄都市ガス、寒河江ガス、山形ガス、庄内中部ガス、福島ガス、若松ガス、相馬ガス、東北ガス、常磐共同ガス、常磐都市ガス

 

◆関東経済産業局 71社

東日本ガス、栃木ガス、鬼怒川ガス、北日本ガス、足利ガス、佐野ガス、沼田ガス、渋川ガス、桐生ガス、館林ガス、伊勢崎ガス、太田都市ガス、本庄ガス、幸手都市ガス、坂戸ガス、入間ガス、東彩ガス、武州ガス、鷲宮ガス、新日本ガス、日高都市ガス、武蔵野ガス、秩父ガス、埼玉ガス、西武ガス、松栄ガス、伊奈都市ガス、堀川産業、東上ガス、角栄ガス、大多喜ガス、野田ガス、総武ガス、房州ガス、東日本ガス、角栄ガス、昭島ガス、青梅ガス、武陽ガス、大東ガス、銚子ガス、東部液化石油、厚木ガス、秦野ガス、小田原ガス、湯河原ガス、日本瓦斯 (南平台・初山地区除く)、新発田ガス、越後天然ガス、北陸ガス、蒲原ガス、白根ガス、栄ガス消費生活協同組合、佐渡ガス、東京ガス山梨、吉田ガス、長野都市ガス、大町ガス、上田ガス、松本ガス、諏訪ガス、信州ガス、伊東ガス、下田ガス、御殿場ガス、静岡ガス、島田ガス、中遠ガス、袋井ガス、東海ガス、湯河原ガス

 

◆中部経済産業局 6社

大垣ガス、犬山ガス、津島ガス、中部ガス、上野都市ガス、名張近鉄ガス

 

◆北陸支局 3社

日本海ガス、高岡ガス、小松ガス

 

◆近畿経済産業局 15社

甲賀協同ガス、丹後ガス、福知山都市ガス、長田野ガスセンター、篠山都市ガス、伊丹産業、洲本ガス、豊岡エネルギー、大和ガス、五条ガス、桜井ガス、大武、新宮ガス、越前エネライン、敦賀ガス

 

◆中国経済産業局 10社

鳥取ガス、米子ガス、出雲ガス、津山ガス、岡山ガス、水島ガス、福山ガス、因の島ガス、広島ガス、山口合同ガス

 

◆四国経済産業局 四国ガス 1社

 

◆九州経済産業局 27社

西日本ガス、久留米ガス、大牟田ガス、直方ガス、飯塚ガス、筑紫ガス、高松ガス、エコア (100MJ地区除く)、唐津ガス、佐賀ガス、伊万里ガス、鳥栖ガス、筑紫ガス、九州ガス、小浜ガス、第一ガス、大牟田ガス、天草ガス、山鹿都市ガス、大分ガス、宮崎ガス、日本ガス、阿久根ガス、南日本ガス、加治木ガス、国分隼人ガス、出水ガス

 

◆沖縄総合事務局 沖縄ガス 1社

以上

 


ガス託送料金についての意見

1託送料金の審査方法について、引き続き検討することを求めます
ガスの託送供給料金については、導管を独占する大手のガス会社がある一方で、中小のガス事業者が100 社以上あり、他の熱源との関係や地域性など事業環境等もさまざまであることなどから、託送料金の査定が難しいことはつとに言われてきたところです。
今回は新制度開始前の審査であり、事業者数が多いため、託送供給料金の原価の妥当性については一部ヤードスティック方式による比較査定を実施しています。国が託送供給料金の原価の妥当性を確認するに当たっては、費目ごとに個別に審査することを原則としつつ、規制コストを一定程度軽減しつつ、併せて低廉な託送供給を実現する観点から、一定の費目について事業者間で比較査定を行うことにより、経営効率化が進んでいない事業者に対して更なる経営効率化を求める査定方法として「ヤードスティック方式」が採用されました。
事前認可申請であることから、同一期間内に託送約款申請を行う際の査定としてのルールと思われますが、小売全面自由化後は、一般ガス導管事業者が託送供給料金の値上げをしようとする場合には、「一般ガス事業供給約款料金審査要領」に準じ、各費用項目を審査することとなりますので、営業費などが個別審査ですべきか、ヤードスティック審査でよいかの判断について引き続き検討する余地があります。
特に、今回、国の審査専門会合における審査対象となった東京ガス、大阪ガス、東邦ガスの3 事業者は、平成28 年6月1日時点で経済産業大臣の許可を受けている203 の一般ガス事業者の中での販売量比率は7 割を超えています。主要な営業費が個別の審査対象とはされず、ヤードスティック方式で査定されることになるわけですが、導管部門の法的分離は今後5 年間行われないこと等を考えると、ガス小売り全面自由化の成否を握る新規事業者の参入において重要となる託送料金の審査については、新規参入者や需要家が納得できる査定を行うことが求められます。
2制度開始から一定期間後(遅くとも導管部門の法的分離前)に託送料金査定の査定方法の見直しと事後検証を求めます。
そこで運用開始後一定期間を経た後(遅くとも2022年の導管部門の法的分離前)に、導管部に係る利潤が必要以上に積み上がっていないかなど、事後規制については引き続き厳格に行うことが必要です。今回設定された原価が適正であったかについて検証を行い、必要な見直しを行うべきと考えます。
託送料金の値下げ改定は事業者の任意による届出制となっているため、事業者のコスト削減結果が託送料金の値下げに必ずしも十分に反映されない懸念があります。例えば、原価算定期間を3年とし、その終了後には原価を洗い替えする等の対応により、原価低減を託送料金に反映する機会を適時かつ実質的に確保してください。
4制度変更や都市ガス自由化に関する周知を行ってください。
今回の託送料金認可申請審査に当たり、資源エネルギー庁においては、託送料金の適正性について広く国民の理解を得るため、情報公開とともに透明性の高いプロセスを踏むこととし、国内すべての事業者に対する意見公募を開始しました。しかし、国民の多くは、そもそも都市ガス自由化の目的や意義、制度の仕組み等について十分に知らされていません。電気と違い、国内の約半数の世帯は都市ガスを利用していない状況もあります。資源エネルギー庁は、様々なツール・機会を利用して、エネルギー改革全体の制度変更や都市ガス自由化の広報を積極的に行うとともに、他の熱源(電力やLPガス等)との比較なども可能なようにわかりやすい情報提供を行い、消費者(需要家)の利便性に寄与するようにしてください。
尚、本意見は他の管内における託送料金審査についても汎用していただくことを求めます。
以上


(参考・補足)

LPガスはどうなっていくの?

都市ガスのとおっていない地域などではLPガスが主な熱源となっています。

家庭用LPガスについては、従来より自由市場として事業が行われ、国の関与もありませんでしたが、その販売においては「契約条件や料金が不透明」「解約時に撤去料などの費用を請求された」等、消費者から少なからず問題が指摘されてきました。全国消費者団体連絡会はLPガスについてのアンケート(下記URL参照)を行い、関係庁ほかへの申し入れをしました。(以下紹介)

http://www.shodanren.gr.jp/Annai/518.htm

経済産業大臣、電力・ガス取引監視等委員会委員長、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)、消費者庁長官、消費者委員会委員長、国民生活センター理事長

2016年10月25日

 

家庭向けLPガス販売における価格・取引の透明化を求める要請書

 

一般社団法人 全国消費者団体連絡会

 

2017年4月の都市ガス小売自由化により、家庭用エネルギー(都市ガス、LPガス、電気等)について、消費者が自由に選択できるようになります。

電気と都市ガスは今般の自由化にあたり、国が関与する形で小売営業に関する指針がまとめられることになりました。他方、LPガスは従来より自由市場として事業が行われ、国の関与もありませんでしたが、その販売においては「契約条件や料金が不透明」「解約時に撤去料などの費用を請求された」等、消費者から少なからず問題が指摘されてきました。

こうしたことから、今回全国消団連では、本年8月1日現在のLPガス販売時における情報開示の状況などについて、事業者および都道府県LPガス協会を対象にアンケート調査を行いました。その結果、価格や取引に関して消費者から多数の苦情が寄せられていること、事業者の情報開示が十分とはいえないことが分かりました。また、事業者を対象に実施したアンケートは、大手100社を対象にしたにもかかわらず回答率が59%にとどまり、「企業の消費者志向経営」が重視される中で、残念な結果となりました。

2017年4月の都市ガス自由化を成功させるうえでも、その競争相手と想定されているLPガス業界が、情報開示をはじめとする取引の透明化を図り、消費者が選択できる環境を整備していくことが大変重要と考えます。つきましては、以下の点について要請いたします。

 

1.事業者による標準的な料金メニュー(料金表)の設定・開示について、事業者に徹底させるべきです。

大手100社を対象に実施した全国消団連の調査結果では、家庭向けLPガスの標準的な料金メニュー(料金表)をすでに設定しているのは38事業者(家庭向けLPガス事業を行っている事業者の73%)、うち標準的な料金メニューをすでに公開しているのは25事業者(すでに設定している事業者の66%)と、設定・開示ともに十分ではない実態が分かりました。

今回の調査の回答率が59%にとどまり未回答事業者の実情が不明であること、LPガス事業者は全国で約2万社存在することを勘案すると、業界全体での設定・開示状況はさらに不十分と考えられます。国として、今回の調査対象事業者のうち未だ標準的な料金メニューの公表を行っていない事業者をはじめ、標準的な料金メニューの設定・開示が進むよう事業者に徹底させてください。

 

2.料金明細(基本料金・従量料金の別など)について、請求書等への記載を事業者に徹底させるべきです。

全国消団連の調査結果では、検針票などに記載している項目のうち、合計金額の内訳にあたる基本料金(家庭向けLPガス事業を行っている事業者の40%)、従量料金(同38%)等の項目を記載している事業者はまだ多くないことが分かりました。また、都道府県LPガス協会に対して「LPガス料金が不透明」「毎月の料金明細書に基本料金や単価が記載されていない」等の苦情が寄せられていることも分かりました。料金明細(基本料金・従量料金の別など)について、請求書等への記載を事業者に徹底させてください。

 

3.契約内容に関する苦情も多いことから、契約時の書面交付の指導を徹底するとともに、対面での説明を事業者に徹底させるべきです。

都道府県LPガス協会に対して「業者の切り替えについて一切お金がかからないと言っていたのに清算金が必要だった」「撤去量を請求された」等、契約に関する苦情が消費者から寄せられていることも分かりました。契約時の書面交付とともに、対面での説明を事業者に徹底させてください。なお、消費者からすると、引っ越しの慌ただしい際に書面交付や説明がなされても落ち着いて対応することが難しいことから、消費者に理解してもらえるような形での書面交付・説明の徹底を求めます。

 

4.都道府県LPガス協会の役割は重要であり、ここを通じた価格・取引透明化の取り組みが促進されるよう、国として指導してください。

全国LPガス協会が業界自主ルールとして平成12年に策定した「LPガス販売指針」の事業者への周知について、都道府県協会の周知の実施状況(事業者への指針の配布、講習会等)にはばらつきがあること、事業者の指針の遵守状況は都道府県協会としてはほとんど把握していないことが分かりました。また、複数の都道府県協会より「指針の遵守状況を事業者団体として確認することは強制と受け止められ、独占禁止法に抵触するとの見方があるためしていない」との回答がありましたが、そもそも指針は事業者に遵守いただくために策定しているものと捉えるべきです。LPガス事業者数が全国で約2万社あることを踏まえると、都道府県LPガス協会の役割は重要であり、都道府県協会を通じた価格・取引透明化の取り組みが促進されるよう、国として指導してください。

 

5.国による「LPガス事業における取引指針」を早期に策定し、上記の事項を盛り込んでください。

本年5月にとりまとめられた液化石油ガス流通ワーキンググループ報告書では、「今後、国においてはガイドラインの作成等具体的な手段が講じられ、また、LPガス販売事業者はこれにしっかりと応えていくことが必要である」と言及されています。上記で述べた事項の実効化を図るために、電力や都市ガスと同様に、「LPガス事業における取引指針」を国が早期に策定し、業界の価格・取引透明化を促進することを求めます。

LPガス事業においては「集合住宅での過大投資とLPガス料金への転嫁の慣習化」などの指摘もされており、こうした事案への対応も取れるようにしてください。

 

6.LPガスは自由料金市場であること、悪質事業者によるトラブルも存在することなどについて、消費者に一層の周知を図ってください。

そもそもLPガスは自由料金市場であり、消費者が事業者を自ら選択できること、悪質事業者によるトラブルも存在すること(例えば公的機関や消費者団体と誤認するような名称でインターネット等で勧誘をしている業者がいることなど)が消費者に十分知られていません。国はこうしたことについて、消費者に一層の周知を図ってください。

以上

 

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