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「省エネ法の改正(電気料金プラン)に関する要望書」を提出しました

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これまでの家庭用電気料金は、電気をたくさん使うほど電気の単価(kWh当りの料金)が高くなる「3段階料金制」がとられてきました。

誰でも割高な料金は払いたくないので、消費者は自然と節電するようになり、お金や資源のムダ使いや環境への悪影響(大気汚染、CO2排出、放射性廃棄物の増大など)を抑制する効果があります。同時に、電気をたくさん使う裕福な人から多めに徴収した料金を、あまり使わない(使えない)人の電気料金に廻して安くすることができます。

世界でこうした「段階料金制」を採用しているところは少なく(南アフリカ:4段階制、カリフォルニア州:5段階制)、日本の制度は国際的に見ても優れていると言えます。

ところが、電力自由化で電気料金を自由に設定できるようになり、たくさん使っても単価が変わらない料金メニューが増えてきています。これが広がると、資源浪費や環境汚染が増えたり、お金持ちの電気料金が安くなる代わりに貧しい人の電気料金が高くなるような事態にもなりかねません。

現在、経産省で「省エネ法」の改正作業が進められています。電気については、昼間と夜間や季節によって大きく変わる電気の使用量の変動幅を、ピークの抑制などで小さくする「電気需要の平準化」の推進を制度化する方向が検討されています。しかし、危機的な状況にある電気の「3段階料金制」については議論されていないのが現状です。

そこで、CNJでは、従来の「3段階料金制」の制度化を求める要望書を経産省省エネ対策課に提出しました。


省エネ法の改正(電気料金プラン)に関する要望書

2016年8月11日

特定非営利活動法人コンシューマネット・ジャパン

 

【要旨】電力小売の全面自由化に対応するため、省エネ法において、小売電気事業者に対して、消費者の電気使用量が増大するにつれ実質単価が逓増するタイプの料金プランを設定・提供することを義務付けるべきである。

東日本大震災後に改正された省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)第81条7項では電気需要の平準化を目的として、電気事業者(小売電気事業者等)に対して、「その供給する電気を使用する者による電気の需要の平準化に資する取組を促すための電気の料金その他の供給条件の整備」が、義務付けられている。これに該当する代表的な電気料金プランとしては、時間帯別料金プランが挙げられる。

他方、2016年4月から電力小売の全面自由化が開始され、旧一般電気事業者経過措置による規制料金を除いては、小売電気事業者は自由に料金プランを設定できることとなった。

従来、例えば東京電力における「従量電灯B」プランを代表例として、一般家庭向けの規制料金の多くは逓増型料金制度(いわゆる三段階料金制度)を採用しており、電気の使用量が増大するにつれ料金単価が逓増することは、一般消費者の省エネを促進する優れた施策であったと評価できる。

ところが、電力小売全面自由化後の新規参入者の中には、まったく単価を逓増させない料金プラン(基本料金を考慮すると実質的には単価が逓減となる料金プラン)のみを提供する者が現れており、旧一般電気事業者の新しい料金プランでもその単価逓増が緩やかとなっている事例が複数見られる。実質的に単価が逓減する料金プランの場合、省エネインセンティブが全く働かないどころか、仮にこのような料金プランが広く普及する場合、省エネ家電の普及が抑制されるなど、省エネ政策に広範な悪影響が表れることが懸念される。

省エネ促進の観点からは、電気の使用量が増大するにつれ実質単価が逓減するタイプの料金プランは許容すべきではないと考える。よって、以下のように省エネ法の改正を要望する。

  1. 電気事業者(小売電気事業者等)に対して、消費者の電気使用量が増大するにつれ実質単価(総合単価)が逓減するタイプの料金プランを設定・提供することを禁ずる。
  2. 電気事業者(小売電気事業者等)に対して、消費者の電気使用量が増大するにつれ実質単価(総合単価)が逓増するタイプの料金プランを少なくとも1つは設定・提供することを義務付ける。

省エネ法の最大の使命は省エネの推進である。電気需要の平準化を促すための電気料金プランがすでに義務化されているならば、省エネを促すための電気料金プランの提供こそ義務化すべきと考える。


三段階料金に関する参考情報

・東京電力ホームページから引用「三段階料金制度とは」

http://www.tepco.co.jp/ep/private/charge2/oshirase.html

三段階料金 図1

三段階料金制度とは、省エネルギー推進などの目的から、昭和49年6月に採用したもので、電気のご使用量に応じて、料金単価に格差を設けた制度のことです。第1段階は、ナショナル・ミニマム(国が保障すべき最低生活水準)の考え方を導入した比較的低い料金、第2段階は標準的なご家庭の1か月のご使用量をふまえた

平均的な料金、第3段階はやや割高な料金となっています。

・関西電力ホームページから引用「3段階料金制」

http://www.kepco.co.jp/home/ryoukin/shikumi/style.html
三段階料金 図4高福祉社会の実現・省エネルギーの観点から下記の3段階に設定。

  • 第1段階:比較的低廉(生活に必要不可欠な部分)
  • 第2段階:平均的
  • 第3段階:割高

※昭和49年3月の電気事業審議会料金制度部会答申を受けて同年6月より導入。(従量電灯A・B、時間帯別電灯 等

・三段階料金制度の経緯(経産省資料から引用)

http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/electric_power_industry_subcommittee/001_034/pdf/034_008.pdf

  • 電気事業審議会料金制度部会中間報告(昭和49年3月)

中間報告を受け、一般電気事業者各社は昭和49年6月以降、3段階料金制度を導入。

本制度は法律に基づくものではなく、あくまで電気事業者の自主的取組であることに留意。

⬇︎

エネルギー情勢の緩和基調や物価上昇の鈍化、電源の多様化の進展等により、供給原価の上昇傾向が制度設定当時に比べ大幅に緩和

  • 電気事業審議会料金制度部会中間報告(昭和62年12月)
  • 昭和62年の料金制度部会中間報告を受け、電力各社は、昭和63年の料金改定以降、料金改定の都度、三段階料金の格差率を段階的に縮小。(※引用ここまで)

【コンシューマネット・ジャパンによる三段階料金関連意見書】

以上