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予防接種ネット・de・講座 その26 子宮頸がんワクチン被害救済に今どうしても必要なこと~被害者だれもが被害申請できるように!

CNJではワクチントーク全国、MMR被害児を救援する会とともに、2016年2月22日に子宮頸がんワクチン被害申請を容易にするための申し入れを厚労大臣あてに行いました。

http://consumernet.jp/?p=3164

私たちは、このなかで、「医師は、患者が救済申請の診断書等の作成・交付を求めてきたときには必ず応じること。国はそのことは医師法(注2)に規定された義務であることを広く国民、医師会等に周知または指導すること」を強く要請しました。

ところが、2016年6月16日、予防接種問題についての厚労省とのやり取りのなかで、子宮頸がんワクチン被害については、医師に被害申請のための協力を得るための情報がいきわたっておらず、いまだに因果関係についての医師の所見を求める欄があるために医療費・医療手当診断書の記入に、医師が消極的にならざるを得ないということが明らかになりました。

 厚労省の救済通知の変遷(ブックレット、それでも受けますか予防接種以後の情報)

1救済実務はすすんでいるのか

請求期限は5

2015年10月22日に、厚生労働省結構局健康課と医療・生活衛生局安全対策課は、各都道府県衛生主観部(局)あてに、「子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業」に基づく接種にかかる医薬品副作用被害救済制度の請求期限の周知について(依頼)」として、依頼文を発出しました。

https://www.pmda.go.jp/files/000208632.pdf

この依頼文は、2010年11月26日から行われた、子宮頸がんワクチンの被害について、関連性は否定できないとされたが、「入院相当」に非該当であることから、PMDA法に基づく救済では支給されないものが予算事業の対象とするものですひらたくいうと、事業接種(任意接種)でPMDA対象とならない入院していない副作用被害も、対象とするとしたものです。

しかし、実質は医療費と医療手当の請求期限が支払後、医療を受けた月の翌日から5年以内でないと請求を受け付けないという点に力点がおかれた内容です。5年での除斥期間を周知するためだけにだされたとの疑念もぬぐえません。

具体的な請求方法、必要書類、請求書類の様式や記載方法については、(独)医薬品医療機器総合機構の相談窓口に問い合わせるように周知してほしいとされています。対象者あての通知のひな形や広報誌への掲載分事例も教示してあります。この文書によって、確実に被害申請の数は増えているようです。(QA参照)。しかし、医師に対する通知文書は厚労省が医師会に低姿勢で、いかにも遠慮していのではないかと思われるほど、診断書の記載については高いハードルが課されたままです。

2 医師の診断書の問題点~相変わらず医師に因果関係の所見を

2016年1月15日、厚労省医薬・生活衛生課と総務課医薬品副作用被害対策室長、安全対策課長の三者連名で「独立行政法人医薬品医療機器総合機構が実施する健康被害救済制度に関する協力依頼」が出されました。

https://www.pmda.go.jp/files/000209915.pdf

この文書は医師あてのものですが、ここには、「救済給付の請求は、発現した症状及び経過とその原因とみられる医薬品との因果関係等の証明が必要であり、健康被害に遭われた方等が、請求書と併せて、医師の診断書、薬局等で医薬品を購入した場合は販売証明書等の必要な書類を添えて、独立行政法人医薬品医療機器総合機構に直接行うことが必要です」とされています。

そして、別記1として、医師が書く(作成する)とされている医療費・医療手当診断書

http://www.pmda.go.jp/kenkouhigai/fukusayo_dl/pdf/yosiki2-1.pdf

(4)欄「副作用によるものとみられる疾病の名称又は症状」を記入する欄があり、あいかわらず、医師の副作用に対する意見が必要な様式となっています。この欄については、小さい字で(注)として、「医薬品等の副作用によるものかどうか不明の場合等、(4)(5)の欄は、必ずしも記入の必要はありませんが、(6)以下の欄には、使用された医薬品等、患者に発生した症状・治療等の状況の推移等について記入してください」とあります。

この注についての担当官の説明は、「正当な理由がある場合は書かなくてよい」ということでしたが、医師会が推進している(してきた)予防接種の副作用についての所見が求められているものである以上、書かないことに「正当な理由」を求められれば、大方の医師は躊躇せざるを得なくなるのではないでしょうか。

3 医師にはあえて知らされていない?診断書への留意事項

2016年1月14日に、厚生労働省医薬・生活衛生局安全対策課は各都道府県衛生主管部(局)あてに「子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業」に基づく接種に係る医薬品副作用被害救済制度への救済給付請求に際して必要となる資料に関する留意事項について」の文書を発出しました。

https://www.pmda.go.jp/files/000209731.pdf

この文書には、医師の診断書について、(下線、太字は筆者)

1.診断書について

(1) 診断書の作成ついては、入院、通院を問わず、請求したい健康被害に係る医療に関するもののみでよく、また、受診した全ての医療機関に診断書の作成を依頼する必要はありません

(2) 診断書については、ワクチン接種との因果関係を判断するための情報、例えば、ワクチンの接種日、症状の発症までの経過に関する情報が重要であり、可能な範囲で記載されたものを提出するようご協力ください。なお、診断書の作成を依頼した医療機関での治療以外の情報(例えば、症状がはっきりとせず複数の医療機関を受診した期間の診療に関する情報や、その受診のきっかけとなった症状など。)を含めても差し支えありません。

その際には、他の医療機関に関する情報が分かる資料(住所、電話番号、受診日、カルテ番号、担当医、受診のきっかけとなった症状等の情報。)を、医療機関ではなく請求する方が作成したものや、一部の情報のみのものでも差し支えありませんので、できるだけ添付くださいますようご協力ください。

2.投薬・使用証明書について

(1) 診断書の作成を依頼した医師又は医療機関でワクチンを接種した場合には、投薬証明書は不要です。

(2) 可能であれば、ワクチン接種前の予診票、又はその他参考になる資料(例えば検温結果、問診又は診察事項など)を添付いただくようご依頼ください。

3.その他

(1) 請求された医療費・医療手当が、入院治療が必要な程度の疾病と認められなかった等の理由により、医薬品副作用被害救済制度に基づく救済給付がなされない旨の結果が通知された場合でも、結果通知書の「副作用の原因と考えられる又は推定される医薬品」に事業の対象となるワクチンの記載がある場合、事業による健康管理支援手当の支給が受けられる場合があります。

(2) 事業の詳細については、厚生労働省健康局健康課予防接種室健康被害救済給付係(03(5253)1111 内線2100、2907)にお問い合わせください。

*厚労省に、この文書がなぜ医師会や医師あてでなく、自治体衛生主管部あてなのか医師にはどの程度この内容が周知されているのを聞きましたが、明確な回答はなく、医師あての文書は前述のとおり、①因果関係についての所見を原則もとめるものであり、②別記1にあるように、(医師あてには)「救済の請求は、発言した症状及び経過とその原因とみられる医薬品との因果関係等の証明が必要であり、健康被害に遭われた方等が、請求書と併せて、医師の診断書、薬局等で医薬品を購入した場合は販売証明書等の必要な書類を添えて、独立行政法人医薬品医療機器総合機構に直接行うことが必要です」とされています。

4 救済の実態は?

厚労省が私たちに提供された資料をもとに口頭できいた回答結果は以下のとおりです。

Q.子宮頸がんワクチンの副作用被害申請は何件くらいありますか?

A.2014年度が83件、2015年度が152件です。2015年の12月から2016年の3月の間に110件ありました。2016年3月末では235件です。

Q.2015年末から2016年初めにかけて急に増えたのは、2015年12月1日付で、厚労省健康局健康課が各都道府県衛生主管部(局)あてに、子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業による健康被害の救済について(依頼)文書をだしたからですね。

A.PMDA法では入院治療を必要とする程度の医療(入院相当)に該当しない場合には医療費、医療手当は不支給となりますが、(公財)予防接種リサーチセンターが、医療費。医療手当相当額を健康管理支援手当として支給することにしたので知らせました。

Q2013年4月以降、定期接種になってからの申請はどれくらいありますか。

A.16件です。9件が認定、5件が否認、2件が保留です。

Q事業接種を始めるに当たり、損保ジャパンなどの保険加入を自治体に義務づけたと思いますが、これまで、保険が支払われた事例ありますか。

A数件あるようです。2016年4月以降2件あります。詳細はわかりません。


ところが、その後、患者なっとくの会INCAで宮崎での救済事例が紹介されていました。

http://inca-inca.net/index.php?子宮頸がん(HPV)ワクチン被害実態#q5de7cb0

子宮頸がんワクチン副作用 保険初適用 2170万円補償 宮崎 16.5.31

(宮崎日日新聞 2016年5月31日)

宮崎市は30日、子宮頸(けい)がん予防ワクチン接種との因果関係が否定できない症状を訴えた同市在住の10代女性に 対し、補償金2170万円を支払うと発表した。市が加入している全国市長会予防接種事故賠償補償保険から支払われる。子宮頸がんワクチン接種に関連した同保険による補償は、同市では初めて。

同ワクチンは、接種後に体の痛みや運動障害などの副反応が出る事例が全国的に報告されている。

市健康支援課によるとこの女性は、2011年1月~13年3月に同市内の医療機関でワクチンを接種。その後、日常生活に支障が生じるレベルの症状が出た。保護者らが市に救済措置を申請し、同保険の補償対象となった。

補償費は、6月定例市議会に提案する本年度一般会計補正予算に盛り込んだ。


被害者のために国が早急におこなうべきこと

  1. 被害者の掘り起しを、HPなどで大々的によびかける。救済のためのていねいな対応を行うとする記者会見もすべき。
  2. 被害救済書類の様式を簡素化し、医師会に対して、診断書に因果関係についての所見をもとめない様式に変更する。自治体衛生主管部あての通知を医師に徹底して伝える
  3. 自治体の支援を促し、全国市長会予防接種事故賠償補償保険の活用を促し、被害者の迅速な救済をおこなう

(古賀真子)

 

(参考)

医薬品副作用被害救済制度の請求に必要な書類

http://www.pmda.go.jp/kenkouhigai/fukusayo_dl/shoruiitiran.html

医療費・医療手当の請求に必要な書類