消費者のための安全安心情報サイト

ネガワット取引に関する要望書を出しました

デマンドレスポンスなどの需要側の取り組みを活用する新しい電力システムに向けた改革が進みむなか、ネガワット取引はその一つの形態として大いに評価できるものです。このネガワット取引の担い手の一つとして、ネガワット事業者の出現が期待されています。

2016年年5月25日、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部新産業・社会システム推進室はネガワット取引に関する意見募集を始め、6月23日がしめきりとなっています。

2015年3月に、有識者による検討会及びパブリックコメントを経て「ネガワット取引に関するガイドライン」が策定されました。このガイドラインにおいて、需要削減量を測定するための基準となるベースラインなどが規定されました。

電気事業法第3弾の改正にむけて、ネガワット取引の類型1②(一の小売電気事業者と小売契約をしている需要家の需要削減量を他の小売電気事業者が調達する類型)において、2015年6月の電気事業法改正(第3弾)により、需要削減量(ネガワット量)についても、発電した電力量と同様に、一般送配電事業者が行う電力量調整供給(インバランス供給)の対象と位置付けられました。
2015年11月の「未来投資に向けた官民対話」において、2017年中までに類型1②に関連したネガワット取引市場を創設するとの総理発言がなされ、事業者間の取引ルールを策定することとされました。2016年4月に策定された「エネルギー革新戦略」においても、その旨明記されています。

そこで、ネガワット取引市場の創設に合わせて、ネガワット取引の普及が期待され、現行の「ネガワット取引に関するガイドライン」では、類型1②におけるベースラインの在り方や需要削減により売上が減少する小売電気事業者に対する売上補填の在り方が規定されていなかったため、「ネガワット取引に関するガイドライン」が改定されることとなり、パブリックコメントが求められているのです。

*パブコメ「ネガワット取引に関するガイドライン改定案に対する意見募集について」

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620116032&Mode=0


2016年4月以降、新たな小売電気事業者は電気事業法上の登録を行うことが必要とされていますが、ネガワット事業者は電気事業法上の位置づけが無いため、どのような事業者でも事業を行うことが可能となっており、知識のない消費者をねらった、便乗商法などが起きる可能性があります。今回のパブコメでは、この点に関する意見を出しても、「関連意見。その他の意見」とされるため、CNJでは、2016年6月23日、下記の要望書を提出しました。

 

2016年6月23日

資源エネルギー庁長官 日下部 聡 様

電力取引監視等委員会委員長 八田 達夫 様

 

特定非営利活動法人 コンシューマネット・ジャパン

 

ネガワット事業者を登録制とすることを求める要望書

 

【要旨】:ネガワットを口実とした便乗商法から消費者を保護すると同時に、健全なネガワット事業者を育成するために、ネガワット事業者を登録制とすることを要望する。

現在、デマンドレスポンスなどの需要側の取り組みを活用する新しい電力システムに向けた改革が進みつつあり、ネガワット取引はその一形態として大いに評価できる。

このネガワット取引の担い手の一つとして、ネガワット事業者の出現が期待されている。

2016年4月以降、新たな小売電気事業者は電気事業法上の登録を行うことが必要とされているが、ネガワット事業者は電気事業法上の位置づけは無いため、どのような事業者でも事業を行うことが可能となっている。

ネガワットとは一般的な言葉では、消費者の「節電・省エネ」行動により生み出される電力的エネルギーのことであり、当面は大規模な需要家が対象となることが想定されるが、将来的には一般家庭や個人もネガワットの創出者となることが期待されている。

ネガワット事業者は一般家庭に対して何らかの方法で通知を行うことにより、消費者の節電行動を呼び起こす必要があるため、節電に役立つ情報や何らかの通信手段そのもの、設備機器類の提供を行うことが一般的であると考えられる。

つまり、ネガワット事業者は一般家庭と直接に対面し、契約を行い、通知連絡を行う立場にあり、消費者と非常に近い関係にある。事業者がネガワット「電力」を買い取ることやその説明を行うことは、消費者の目には、あたかも電力会社であるかのようなイメージを与えることが考えられる。

ところが、このような節電支援情報や通信手段、機器類はすでに一般的に販売されており、事業者の販売行動が、ネガワット取引を目的としたものであるか、それを口実とした単なるマーケティング手段の方便なのか、消費者が区別することは非常に難しいと考えられる。ネガワット取引の実態を伴わない後者のような事業者の場合は、いわゆる便乗商法に該当すると考えられる。

よって、ネガワットを口実とした便乗商法から消費者を保護すると同時に、健全なネガワット事業者を育成するために、以下要望する。

要望1.ネガワット事業者は、電気事業法上の登録を求めるものとする。

事業者の登録申請について、電気事業法に規定された「電気の使用者の利益の保護のために適切でないと認められる者」に該当するか否かを事前に確認するものとする。

このことにより、「自称」ネガワット事業者を排除することが可能となり、消費者は安心して事業者を比較選択することが可能となる。

仮にネガワット事業者を登録制とすることが困難な場合、次善策として以下要望する。ネガワット事業者が、真にネガワット事業をおこなっていることを外部の一般消費者からも分かりやすく確認することを目的とする。

要望2. ネガワット事業者と契約関係を持つ事業者は、契約ネガワット事業者の名称、連絡先等の基礎的情報を、自己のホームページ等の分かりやすい場所に開示することを義務付ける。

具体的には、ネガワット事業者と電力量調整供給契約を締結する一般送配電事業者、ネガワット事業者と特定卸供給契約を締結する小売電気事業者、が該当する。

これら当該一般送配電事業者と当該小売電気事業者は、その約款および契約書において、需要家保護の観点からネガワット事業者が適切な情報管理体制を保有することなどを定めるものとする。

 

以上

カテゴリー