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製造物責任(PL)法を知ろう~その2 PL法シンポジウム あなたの自転車大丈夫?

自転車はじめてブック

自転車はじめてブック *PL法問題には触れられていません(本の説明は末尾)

2015年7月1日のシンポジウムの続報と自転車に関する最近の話題について考えてみましょう。

身近な乗り物の自転車ですが、最近事故の多さが問題となっています。事故には交通事故もありますが、自転車そのものによる事故も多発しています。製品が原因の被害ですが、PL法が機能していないのは、法の問題だけでなく、情報化や国際化も関係しているということがわかります。

増加する自転車の事故

日本でも、以前は自転車は車道を走るのが「当たり前」でした。それが1965年代に車が急激に普及し始めて、車と自転車の事故が増加したことから「歩道」での通行が認められるようになりました。暫定的な措置でしたが、結果的に歩道通行が定着しました。

その結果、今度は歩行者と自転車との接触事故が増加。死亡事故や、高度な障害が残る事故も起きており、多額な損害賠償が発生する事案も少なくないようです。警察庁の報告では、2012年の交通事故全体の約2割を占めるなど、割合は増してきています。2001年から2011年までに、自転車と歩行者の事故は1.6倍に増加しています。自転車関連の相手当事者別の交通事故件数の推移の調査では、対自動車や二輪車の事故は減少傾向が見えるのに対し、対歩行者では増加しています。

こうした交通事故とは別に、自転車自体の製造に起因する事故も大きな問題となっています。PL法に関係する問題です。

突然壊れて大事故に

自転車が走行中に突然壊れ、乗っていた人が大けがをする事故が増えています。「気づいたら顔中血だらけ」「まさかサドルがボキッと折れたり、ぐにゃっと曲がってしまうってことは予想してなかったです」そんな被害者の声があります。 走行中に自転車が壊れて、けがをしたり、危険な目にあったという相談の数はこの10年で2倍以上となっています。これらの事故の多くはネット通販で購入された輸入品でした。安く購入できたと喜んでいたらとんでもない大けがをしてしまう。

製品に欠陥があったといって、PL法で責任を追及できる相手は、輸入業者か製造業者(PL法2~3条)。しかし、製品をみただけでは業者名がわからないものもあります。ネット通販業者(ヤフーや楽天)に問い合わせても製造業者がわからない場合があり、現行のPL法では責任追及・被害回復が実現できません。

なぜ増えているのでしょうか?

2015年4月のPLオンブズ会議定例会での「自転車による事故について自転車協会から現状と課題・取組み」についての学習会に続き、2015年7月1日のシンポジウムでは、高橋譲さん(自転車協会専務理事)からの、報告がされました。 事故が多い原因として、まず、法規制が厳格でないという問題があげられます。意外なことですが、「自転車の製品としての安全基準を定めた法律が日本にはない」のです。自転車協会の認定するBAAやSBAA、製品安全協会のSGなどの安全規格はあるものの、あくまでも自主基準なので、法的な拘束力はありません。したがって、これら基準を満たした自転車の数は全体の4分の1程度にとどまっているのです。

輸入製品の安全性のチェックは?店舗販売との違いはどうなのでしょうか?

今や、日本国内で流通する自転車の9割以上は外国製品です。1990年に関税が撤廃されると輸入が増加し、2000年には国産品を上回るようになりました。

大阪港から陸揚げされる台湾製自転車は、メーカー直営店で販売されるものは、入念に複数回のチェックや整備をしてから届けられます。港近くの事務所でフレームの強度、部品の不備などをチェック、さらに試し乗りも行い、異常があれば、その種類全ての出荷を取りやめたりするそうですが、ネット販売の中には、海外工場から直に消費者のもとに届けられるため、十分チェックが行われない場合もあり、欠陥品が出回るリスクが高くなっているようです。

報道された映像では、設計構造に問題のある数千円でネット販売された自転車が、購入後1年未満に、わずか4cmの段差のところで破損し、鼻梁骨折、歯槽骨骨折による大けがで500万円の治療費がかかり、2300万円の賠償請求をしたものの、その時には会社が倒産してしまい賠償を受けられなかったという事例が紹介されました。

高橋さんは、「国が厳格なルール、安全基準をしっかりつくるべき。米国、英国、フランスなど、安全基準がある国もある。不適合製品の販売禁止、検査機関が行う検査で一定の基準を満していないことがわかるとホームページ上にその製品と会社の名前が公表される仕組みになっている」としています。

EU各国のPL法では、販売業者に業者名を問い合わせても回答しない場合や不明な場合は、販売業者が無過失責任を負うという条項がもうけられているようです。日本のPL法にはそのような規定はありませんから、その意味でも20年間の社会の変化に法をはじめ行政の対応がなされていないことになります。

自転車をめぐる状況の変化 輸入は中国から

自転車は外国からの輸入品が9割といわれますが、中国からの輸入が圧倒的で、2014年の貿易統計(財務省)では744万台と約96.3%を占めます。これに台湾の26万7千台(3.4%)を加えるとほとんど100%が中国圏からの輸入となります。

1990年に関税が撤廃されたことから、輸入品の増加、低価格化が進み粗悪な自転車により事故が増加してきているのです。日本からは、電動アシスト車やスポーツ車などは増えていますが、国内向けには一般車の出荷は減少し、1200万台もの放置自転車がでるなど、耐久消費財から消耗品へんと変貌してきているのです。

流通形態の変化

販売ルート別には自転車店が200万台で21%、チェーン・大型店が200万台(21%)、ホームセンター・ディスカウントストアで380万台(40%)、総合スーパー150万台(16%)となっており、小規模な個人店からの購入が減少しています。輸入商社等から590万台(59%)ということで、自転車は身近な生活必要品を地元で購入する形から、ネット販売などで直接購入するものと変化しており、欠陥のチェック以外にも整備や修理などの問題みあることがわかります。業界が安全基準やマークを作ることや、損害保険会社が保険加入をアピールする以前に、行政としても実効性ある公的安全基準やPL法の適用も考慮にいれた根本的な対策を考える必要があります。 また、生活の「足」として不可欠のものであることから、販売店制度や安全な使用にともなう責任のしくみなど、消費者の健康、環境、暮らし方や町の造り方なども住民主体で考えていく必要があります。

(古賀 真子)


 

(参考情報)

『おやこで自転車はじめてブック』(「ぼちぼち自転車くらぶ」)本が出版されました。肩のちからを抜いて、小さなこどものいる人向けに自転車の交通ルールや安全に利用するコツなどが書かれています。PL法の問題とは少し異なりますが、サイクリストにとっては常識の「自転車は原則、車道」を、子乗せ自転車利用者の目線で、解説したり、怖くてムリな人はどうしたらいいかをイラストつきで解説しています。

問い合わせ先 tel 03(3830)0027   fax 03(3830)0028

書 名:おやこで自転車はじめてブック──子乗せで走る、こどもに教える
監 修:疋田智(自転車ツーキニスト、NPO法人自転車活用推進研究会理事、3児の父。
自転車の安全利用促進委員会メンバー)
著 者:ぼちぼち自転車くらぶ(生活の足として自転車を愛する人びと。自分たちの育児経験をふまえ、本書を企画・編集)
体 裁:A5判並製64ページ
定 価:本体1000円+税
発売日:2015年6月22日(全国の大型書店に配本)

【リンク】
子どもの未来社HP
http://www.ab.auone-net.jp/~co-mirai/
ぼちぼち自転車くらぶFacebookページ
https://www.facebook.com/bochibochijitensya?ref=aymt_homepage_panel
ネット通販も取り扱いあり(一例 版元ドットコム)http://www.hanmoto.com/bd/isbn978-4-86412-060-9.html

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