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日本脳炎の定期接種化反対、ワクチントーク北海道が道庁に申し入れ

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第5回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会

「北海道における日本脳炎の定期接種について」,コンシューマネットは、他団体とともに厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会や、北海道知事に申し入れを行っています。

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2014年10月8日の第5回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の議論をうけて、再度の要請文を北海道の知事あてに提出し、10月9日に札幌市でワクチントーク北海道ほか有志が、道庁との交渉をしました。

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地域保健課の課長に要請書を手渡し

2014年10月8日、第5回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会が厚労省内で開かれました。議題の1つが、「北海道における日本脳炎の定期接種について」でしたが、ワクチントーク全国の青野典子さん、元国立公衆衛生院疫学部感染症室長の母里啓子さん、コンシューマネットの古賀が、傍聴者としてそれぞれ2分の発言を許されました。(末尾参照)

分科会での結論は、北海道の日本脳炎ワクチンの定期接種化を決めるのは北海道であること、政令改正してまで日本脳炎ワクチンの区域指定(自治体判断での予防接種をしない判断)をなくす必要はないというものでした。

一方で、北海道知事が、定期接種化に前向きな発言をしていることが強調されましたが、10月9日にワクチントーク北海道が北海道庁と意見交換した結果、知事の発言は報道によりかなり歪曲されており、道庁は報道に修正を求めているということがわかりました。以下、要請文と、要請の報告を紹介します。


2014年10月9日

北海道知事 高橋 はるみ 様

 

ワクチントーク全国代表  母里 啓子

コンシューマネット・ジャパン 共同代表 古賀 真子

MMR被害児を救援する会 栗原 敦

 ワクチントーク北海道代表 荻原 敏子

下川わわわ大学子育てゼミ代表  普久原涼太

 

北海道で日本脳炎予防接種の定期接種を行なわないよう求める要請書

 

ワクチントーク全国ほか、上記の団体は2014年9月11日の申し入れに続き、9月11日と10月8日両日の厚労省での審議会の議論も踏まえ、再度申し入れをさせて頂きます。

2014年10月8日に、第5回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会(以下分科会)が開催されました。議題の1が北海道における日本脳炎の定期接種についてでした。ワクチントーク全国のメンバーのうち、青野典子、母里啓子、古賀真子が傍聴者として発言を認められました。(発言の要旨は別紙の通りです。)

分科会は、北海道での定期接種化について総務省が「厚労省(厚生科学審議会)に審議していただくことが適当」としたことを受けて開催されたものですが、10月8日の分科会の結論は、概ね9月11日私たちが貴職に提出した意見書と同じものでした。

予防接種法(昭和23年法律第68号)第5条第2項の規定に基づき予防接種法施行令第2条において日本脳炎を規定していること(区域指定として北海道が独自の判断で日本脳炎ワクチンを定期接種としないこと)に関しては、「政令を変えて定期接種としてすすめるべきではない。②医学的・科学的な面から言えば、日本にとって日本脳炎ワクチンは現在もまだ残念ながら必要であり、これはオールジャパンとして必要なもの③最終的な判断は、自治体が行うものであり、その結論は尊重する。」というものでした。②のワクチンの必要性について、全国的に必要かどうかについては疑問がありますが、北海道において、地域の実情と科学的・医学的根拠に基づいて、区域指定をして、定期接種としないことは尊重されるべきとのコンセンサスが得られたものと理解できるものでした。

10月8日の議論の中では、北海道の任意接種率がどれくらいか厚労省が把握していないこと(したがって、接種自体についてのニーズがあるかどうかは明らかではないと思われます)、2013年4月から予防接種の費用は9割が国の交付金でまかなわれるとされるところ、この交付の実態や総務省や自治体の費用負担については明確でないこと、病気のリスクが極めてひくいところで将来の移動を考えても、感染のリスクは極めて低いという科学的、医学的結果をみると、接種導入については自治体の選択にゆだねるべきこと等の意見が出されました。

こうした経緯に鑑み、北海道で日本脳炎ワクチンの区域指定を外すかは、北海道、なかんずく知事の判断にかかるところ、①道内での感染リスクがゼロに近いだけでなく、日本全体でも患者の発生がまれであるという病気の実態、②ADEMをはじめとする脳神経系の重篤な副作用が確実に発現するであろうリスク、③当該ワクチンについては国の審議会においても、定期接種化しない合理性を認め、定期接種化を自治体の判断にするという見解、④どうしても接種を希望する人には任意接種でうつことができるという事実、④定期接種化した場合の、接種費用だけでも100億単位の莫大な行政支出が、北海道の他の必要な医療や経済に与える影響を鑑み、日本脳炎ワクチンを定期接種としないこと、すなわち、区域指定を継続することが真に道民の利益にかなうとの英断をされることを強く求めます。

以上

 


北海道で日本脳炎予防接種の定期接種を行わないよう求める要請書を道(地域保健課 課長)に手渡しました

 北海道への申し入れは、9月11日に予定していましたが、悪天候で延期となり10月9日に実現しました。

北海道の回答は、「日本脳炎は、区域指定のできる予防接種で、毎年感染症流行調査専門委員会が、審議し区域指定を検討している。今後も同じように検討していく」との回答でした。

今回の道議会で複数の党から日本脳炎を定期接種としないのかという質問がでましたが、「10年間の道内や道外へのうごき」や今年度「有識者でまとめた北海道における日本脳炎のあり方の報告書」をふまえ、来年度の日本脳炎のありかたについて判断する」との回答でした。

調査方法で、感染した豚があらわれているとの報告もあり、北海道で発生するかどうかもみきわめていきたいとの回答でした。今後は、「北海道感染症危機管理対策協議会感染症流行調査専門委員会」を開く際には、公開傍聴とするよう要望しました。

大事なことを決める場となるので、ぜひとも公開傍聴となるよう実現に向けて、とりくんで、いきたいと思います。

参加者からは、子どもたちのために命を守るという観点で、北海道が区域指定をしたということを大事にしてほしいということなどを多数の方々が意見をあげました。

他に新聞報道は、高橋知事が前向きなように書いてあるが真実ではないという回答があり、違うのであれば道民に正しい情報を、正しく発信して欲しいと要望しました。

厚生労働省が法改正をしないという判断をしましたが、日本脳炎の定期接種に関しては各自治体が判断できるという予防接種法のもと、動きが出てくる可能性があります。今、北海道で発症している病気ではないこと、発症した場合に医療を充実させることが重要ではないかということなど、まだまだみなさんと学習会などを重ねながら、とりくんでいきたいと思います。本日参加の14名のみなさん、お疲れ様でした。


 

傍聴者発言の要旨

ワクチントーク全国という市民団体の青野典子です。2分という制限の中で、十分に説明できませんが、9月9日付で「北海道での日本脳炎予防接種の定期接種を行わないよう求める要望書」を北海道在住の方たちと一緒に提出していますので、お読みいただきたいと思います。

本日は発言の機会をいただきましたので、2点申し上げたいと思います。

1点は、国及び自治体における疫学的実情把握に基づきこれまでの科学的判断を踏襲すべきということです。

2点目は、日本脳炎予防接種を定期接種化したら、不利益のほうが大きいということです。

まず1点目ですが、北海道(感染症危機管理対策協議会感染症流行調査)専門委員会の議事録を読みましたが、感染者について、副作用について、様々な視点から検討されていました。その上で「北海道で危険が高まっている状況はない」としています。問題は社会的な要請であるから政治的判断が必要としています。5~6%の人が移動しているということは、ここ数年始まったことではなく、40年もの間定期接種をしていなくても問題は起きていません。

疫学的実情把握に基づき科学的判断をしたことは北海道の英断であり、これは発病者のいない他県もみならうべきことと考えます。

2点目は、感染症の流行状況と一定の副反応が不可避的に発生するワクチン接種の特性を考えることが必要だということです。

2013年度に副反応検討会で、公表されている副反応だけでも、11か月間で重篤なケースが62例97件あります。とくに旧ワクチンが接種中止となった原因であるADEM8件を含む神経系障害が41件あります。それに対し発病者は年間10人に満たない状況です。病気の無いところで必要と思われないワクチン接種による被害を広げる方向に進むべきではないと考えます。

本件は将来かかる地域に行くかもしれない病気に対する免疫をつけたいという少数の方に、接種費用および救済補助をするために定期接種とすべきかという、極めて限定された行政判断が求められているのです。任意で接種する人たちに自治体が補償する制度も今までにありますので定期接種にする必要はありません。

最後に、厚労省と自治体が住民への情報提供をきちんと行い、様々な意見を聞き、冷静に、必要性について判断されることを望むとともに、当審議会が合理的な制度設計のもとに定められた法や政令の趣旨を尊重する賢明な判断をお願いします。


母里啓子提出

 

 2014年9月11日付、貴分科会における結論を支持する立場からの発言希望

日本脳炎ウイルスの研究者から、公衆衛生の実務(保健所長等)を経て、日本脳炎ワクチンについて、その開発の経緯から病気の実情、副作用リスク等勘案して以下の発言を求めます。

(要旨)

1 北海道で定期接種が実施されてこなかったことについての見解

  1. 日本脳炎ワクチンの開発の経緯
  2. 九州地方での臨時接種として行われていた過剰接種をやめるために、定期接種とした経緯
  3. 病気と抗体分析からワクチンの必要性を判断することの合理性

 

2基礎免疫の考え方とうつる病気についての考え方

  1. 病気の現状とワクチンの有効性
  2. 公費負担での接種における副作用リスクの判断についての考え方

 


 

消費者団体として、日本脳炎ワクチンの北海道への定期接種化問題に係る、予防接種行政についての発言を希望します。

(要旨)

  1. 総務省のあっせんについて、法・行政政策上の問題点(地方自治と国家的公衆衛生判断について)
  2. 本件における予防接種法第5条と予防接種法施行令第2条の見直しの必要性について
  3. 感染症流行調査専門委員会に答申を出す、北海道感染症危機管理対策協議会感染症流行調査専門委員会における議論についての厚労省の対応についての当方からの要望
  4. 北海道の市民団体との意見交換を通して、住民への情報提供の必要性について

総務省行政評価局は、行政苦情救済推進会議の意見を踏まえて、関係省庁等に審議の斡旋をする機関ですが、2014年8月22日に厚生労働省に対して、北海道における日本脳炎に係る定期の予防接種を実施することについての検討を出しました。コンシューマネット・ジャパンでは、ワクチントーク全国や北海道の市民団体とともに、2014年9月11日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会に対して、9月9日に申し入れをしました。引き続き、北海道庁への申し入れと交渉を予定しています。厚労省に対しては、これまでのご見解を変更する必要はないこと、北海道知事に対しては、区域指定(注1)をやめるべきではなく、北海道の実情に応じて、定期接種化については、知事のこれまでの対応を見直すべき理由はないという趣旨の申し入れをしています。

 総務省の斡旋は、日本脳炎予防接種について、定期接種化について検討を要するとしていますが、科学的根拠に欠き、これまでの厚労省の見解にも反するものおせっかいなものといえます。区域指定で定期接種としないことには合理的理由があり、自治体の区域指定の判断を尊重し、今までどおり、科学的根拠に基づいた政策をとることをすすめて頂きたいと思います。

*日本脳炎ワクチンについては、病気発生の可能性の低い地域において、科学的、疫学的に根拠のある感染症対策を、地域住民の健康を第一に考える自治体の判断を尊重し、予防接種法第5条第2項の規定に基づく予防接種法施行令第2条において区域指定できるとした法の趣旨を踏まえ、厚労省におけるこれまでの判断を継続して、定期接種化を自治体に勧めることがないよう、賢明なる提言をされることを求めます。

1について

総務省のあっせんに対して、「厚労省担当課の見解」を読みました。「審議会で議題としたとしても、感染症対策、あるいは予防接種施策という観点から専門家が評価することになるため、感染症の流行状況など、疫学的な点でも引き続き北海道が日本脳炎を定期の予防接種として実施しないことや、科学的根拠に基づき日本脳炎を全国一律に定期の予防接種として実施する必要性がないことについて、議題とする利益は乏しいと考えられる。」というものでした。

総務省のあっせんは、厚労省の政策に対する過剰な干渉であり、貴部会においても本来検討する必要のない議題と思いますが、厚労省としては北海道においては定期接種化に関しては議論する必要はないとの立場であり、この妥当な判断を維持していただきたいと思います。

 

2について

法令のたてつけはこうです。

第五条  市町村長は、A類疾病及びB類疾病のうち政令で定めるものについて、当該市町村の区域内に居住する者であって政令で定めるものに対し、保健所長(特別区及び地域保健法 (昭和二十二年法律第百一号)第五条第一項 の規定に基づく政令で定める市(第十条において「保健所を設置する市」という。)にあっては、都道府県知事)の指示を受け期日又は期間を指定して、予防接種を行わなければならない。

 都道府県知事は、前項に規定する疾病のうち政令で定めるものについて、当該疾病の発生状況等を勘案して、当該都道府県の区域のうち当該疾病に係る予防接種を行う必要がないと認められる区域を指定することができる。

 前項の規定による指定があったときは、その区域の全部が当該指定に係る区域に含まれる市町村の長は、第一項の規定にかかわらず、当該指定に係る疾病について予防接種を行うことを要しない。

予防接種法施行令

(市町村長が予防接種を行うことを要しない疾病)

第二条  法第五条第二項 の政令で定める疾病は、日本脳炎とする。

制定および日本脳炎の病気の現状のから、見直す必要はないと思います。

3について

総務省のあっせんに対して、知事の見解はかなり前のめりの感がしましたが、

北海道保健福祉部健康安全局地域保健課は総務省のあっせんに対して、こう回答しています。

「転居や旅行などにより日本脳炎に感染する危険性が高い地域を訪れる際は、各自の判断で、任意の予防接種を受けるなどして対処してほしい」

また、

札幌市保健所感染症総合対策課も

「転入者からの定期接種化(無料化)の要望はあるものの、北海道に居住している限り、日本脳炎に感染・発症する可能性は限りなく低く、日本脳炎の予防接種に対する需要もほとんどないとされ、感染可能性が高い地域を訪れる際は各自の事情や判断に基づき接種すべき」としており、これらの判断を尊重すべきです。

4について

北海道では、本件について、検討する委員会において、「A類の定期接種の対象疾病の中で日本脳炎のみ区域指定ができることとなっている。区域指定をするしないに関わらず、国のワクチン接種に係る地方交付税措置はされている。実施にあたっては、実施主体の市町村には交付税措置がされている」としていますが、日本脳炎ワクチンの定期接種に莫大な交付税を使うかどうかは道民の意見を良く聞き、真に住民の利益ではないものに支出をされることは厳にいましめるべきです。

先ほどの事務局のかたの説明では、定期接種として実施した場合の費用が10数億円といわれました。しかし7000円4回接種必要なら、未成年者に追加も含めて接種すれば、ゆうに200億円を超えますが、これには救済の補償額は入っていません。

案件は異なりますが、北電の値上げ申請についての札幌公聴会に行きました。北海道での経済における切実なる危機感を感じました。ワクチンについては費用対効果と言う視点も重視していただきたいと思います。

(*母里さんと古賀は当日、審議会開始直前に発言許可を得たため発言内容については準備不足でした)

(古賀 真子)